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Q 病院と診療所の違い

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入院と外来 それぞれ分担


  家の近くに新しいクリニックができたわ。この前、風邪をひいたときに診てもらったのよ。

  それは「診療所」だね。日本人は普段、「うちの祖父は病院嫌いだ」とか「念のため、病院に行った方がいいよ」とか、医療機関をひっくるめて「病院」と呼ぶことが多いけど、法律上は「病院」と「診療所」に大きく分かれるんだ。


  どう違うの?

  病院は入院ベッドが20床以上、診療所は入院設備がないか、入院ベッドがあっても19床以下とされているよ。


  病院と診療所ってどう見分けるの?

  名称を見るといいよ。例えば、「○○病院」「○○総合病院」なら、病院だね。「○○診療所」「○○クリニック」「○○医院」「○○内科」などは、おおむね診療所だ。診療所が、病院と思わせるような紛らわしい名前を付けるのは法律で禁じられている。

 

  病院と診療所は、それぞれどんな役割があるのかしら?

  一般的に、病院は、外来患者も多いけど、手術をするなど入院を伴う医療が中心になる。大きな病院になるほど、設備や医療機器も充実し、専門的な検査を実施できたり、重症患者や救急患者に対応できたりもする。一方、診療所は、風邪など比較的軽い病気を診るなど、外来が中心だ。体調不良の相談に乗り、慢性的な病気の管理をする「かかりつけ医」の役割も担うよ。


  病気になったら、病院でも診療所でも、どっちに行ってもいいの?

  日本では、健康保険証さえあれば、どの医療機関でも自由に受診できるよ。でも本当は、病院と診療所の違いを理解して、使い分ける必要があるんだ。


  どういうこと?

  日本人は大病院志向が強い。ちょっとした体調不良でも「大きな病院の方が安心」と考え、大学病院や総合病院などに行きたがる傾向がある。大きな病院は重症患者の治療を担うべきなのに、軽症患者がたくさん来てしまっては、本来の役割を果たせなくなってしまうんだよ。


  それは困るわ。どうしたらいいのかしら?

  近所に信頼できる診療所を見つけて、かかりつけ医になってもらうことだね。もし、専門的な治療が必要と判断されたら、大きな病院を紹介してもらえる。診療所から、病状や治療経過などを書いた「紹介状」をもらって持って行けば、大きな病院でもスムーズに受診できるよ。


  病院に紹介されたら、もう診療所に行かなくていいの?

  病院でしか出来ない治療が終わり、症状が落ち着いたら、逆に、診療所を紹介されることもあるよ。例えば、診療所で高血圧の治療を受けていた高齢患者が、脳梗塞を起こして病院で治療を受けた後に、また自宅に戻る時などがそうだ。きめ細かい管理をしないといけないからね。


  病院と診療所の連携って大切なんだね。

  高齢化が進む中、大きな病院だけですべての患者を診るのは難しい。慢性的な病気を持ち、自宅や介護施設で暮らしているお年寄りのサポートを診療所が担うなど、病院と診療所の役割分担をさらに明確にしていく必要があるね。

(小林直貴)

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