※日経エンタテインメント! 2023年7月号の記事を再構成

2023年上半期のエンタテインメントヒットをランキングで見る特集、前回の「テレビ」に続き、今回取り上げるのは「音楽」。「ビルボード総合チャート」1位は、Official髭男dismの『Subtitle』。トップ20には、ヒゲダン、Ado、YOASOBI、NewJeansが複数曲ランクインした。アルバムではボーイズグループの強さが光った。

ビルボードJAPAN調べ。集計期間は2022年12月26日~23年5月7日。「2023年ビルボード上半期ランキング」の集計期間とは異なる。各項目の表記は、R=ラジオ、CD=CDセールス、DL=ダウンロード、STR=ストリーミング、MV=ミュージックビデオ、K=カラオケ。数字は順位
ビルボードJAPAN調べ。集計期間は2022年12月26日~23年5月7日。「2023年ビルボード上半期ランキング」の集計期間とは異なる。各項目の表記は、R=ラジオ、CD=CDセールス、DL=ダウンロード、STR=ストリーミング、MV=ミュージックビデオ、K=カラオケ。数字は順位

 CDセールス、ダウンロード、ストリーミング、MV(ミュージックビデオ)など、計6指標からなるビルボード総合チャートで1位となったのは、Official髭男dism『Subtitle』。昨年10月末から約半年にわたりトップ3をキープする。ドラマ『silent』の主題歌として大きな話題になりつつ、ドラマ終盤頃には『FNS歌謡祭』『NHK紅白歌合戦』など注目度の高い音楽特番に出ることで、さらなるロングヒットに。加えてヒゲダンは、今年1月リリースのアニメ『東京リベンジャーズ』のテーマ曲『ホワイトノイズ』も18位にランクインしている。

 2位は、男性シンガーソングライターVaundy『怪獣の花唄』。20年発売のアルバム収録曲で、21年前半からストリーミングとカラオケでは長くトップ100入りしていたが、22年末の『紅白』初出場で、ストリーミング、カラオケともに初のトップ10入り。ダウンロードでも初の1位となり、リスナーが一気に広がった。彼は『紅白』で披露されたAimer×milet×幾田りらによる『おもかげ』や、Ado『いばら』など、楽曲提供でもヒット実績を着実に重ねている。

4位に『スラダン』主題歌

 4位は、10-FEET『第ゼロ感』。97年結成の3人組ロックバンドで、これまで自身が主催する大型フェス「京都大作戦」などのライブや、CDアルバムにおいて絶大な人気を維持してきたが、本作が映画『THE FIRST SLAM DUNK』のエンディング曲に起用され、1億回再生を超える初のストリーミングヒットに。

 劇場版アニメ『名探偵コナン』の主題歌に『美しい鰭』が起用されたスピッツや、テレビアニメ『鬼滅の刃』のテーマ曲『コイコガレ』をmiletとコラボするMAN WITH A MISSIONなども、それぞれストリーミングでは初のトップ10ヒットに。中堅やベテランのアーティストが、アニメタイアップで新たなファン層を獲得するというトレンドが起きそうだ。

 7位は、テレビアニメ『【推しの子】』の主題歌となっているYOASOBI『アイドル』。リリースから4週時点で、ロングヒットの多いストリーミングでは4週連続1位ながらも上半期では16位。一方、ダウンロードとミュージックビデオでは上半期2位だ。YOASOBIらしい疾走感のあるサビやAメロのラップパートなど、どの部分を切り取ってもキャッチーで、TikTokなどのショート動画でも大きくバズる要素が強い。

 新人の注目は、14位『Ditto』、16位『OMG』と2曲がランクインした韓国の女性5人組、NewJeans。ガールズグループで唯一、上半期トップ30入りしている。2000年代はじめに流行したファッションとR&Bサウンドの楽曲、それに合わせたダンスが、ストリーミングやMVのロングヒットにつながっている。

サウンドスキャン調べ。集計期間は2022年12月26日~23年5月7日
サウンドスキャン調べ。集計期間は2022年12月26日~23年5月7日

 アルバムセールスを見ると、1位はKing & Princeのベスト盤『Mr.5』。発売3週間で133万枚と圧倒的な強さを見せる。メンバー3人の脱退が報道されて以来、ファンの間で過去の作品を購入する運動が進んでおり、デビューシングル『シンデレラガール』は、発売から丸5年を経てミリオンセラーとなった。

 2位以下も、日韓のボーイズグループが多数並ぶなかで、8位にback numberのアルバム『ユーモア』がランクイン。ロックバンドのアルバムで累計20万枚を突破したのはOfficial髭男dism『Editorial』以来およそ1年半ぶり。コロナ禍以降、マカロニえんぴつやSaucy Dogなど、バンドもストリーミングがヒットの主な基準となってきたが、フェスが多数再開されることで、再びCDセールスにも反映されるのか注目したい。

 10位は、アニメ『ぼっち・ざ・ろっく』内の劇中バンド、結束バンドの作品。アニメは昨年末に終了したが、CDやダウンロードではロングヒットを継続中。作品の人気のみならず、シンガーソングライターのヒグチアイやKANA-BOONの谷口鮪など実際の音楽シーンでも注目されるアーティストが楽曲を提供することで、ハイブリッドな人気となっている。

3
この記事をいいね!する