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(写真:伊藤朝輝、以下同じ)
(写真:伊藤朝輝、以下同じ)
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 インターネットで提供される複数のサービスで同一のアカウントとパスワードを利用すると、1カ所からユーザー情報が流出するだけで他のサービスも芋づる式に危険にさらされる可能性がある。パスワードの使い回しを避けるのは大原則だ。

 iPhoneにはユーザーが複数のアカウントとパスワードを安全に運用するための機能が搭載されている。今回はその根幹となる「キーチェーン」の使い方を紹介しよう。

強固なパスワードを自動生成

 初めて利用するサービスでアカウントを作成する際、iPhoneの「Safari」や対応アプリを使うと「強力なパスワード」として「tanquq-fomsyb-8nigdU」のような脈絡のない文字列が提案され、自動的にパスワード欄に入力される。確認のための再入力欄にも同じものが入力されるため、ユーザーが手入力することなく手続きを進められる。

 アカウントと自動生成されたパスワードは、入力したサービスのURLと併せてiPhoneの「キーチェーン」に保存される。以後、このURLのログイン画面にアクセスすると、保存されたアカウントとパスワードが自動的に入力される仕組みになっている。

 そのためユーザーはパスワードを覚えておく必要がない。筆者は完全にキーチェーンに依存しており、覚えているのはApple IDのパスワードぐらいだ。

「Safari」や対応アプリでは、新規アカウントを作成する際に「強力なパスワード」が自動生成される。画面はSafariでパスワードが自動生成された例(赤い枠は筆者が付けた)
「Safari」や対応アプリでは、新規アカウントを作成する際に「強力なパスワード」が自動生成される。画面はSafariでパスワードが自動生成された例(赤い枠は筆者が付けた)
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 キーチェーンに保存したパスワードを自動入力するには、「設定」→「パスワード」→「パスワードを自動入力」とタップし、表示された画面であらかじめ「キーチェーン」または「iCloudキーチェーン」を選択しておく。キーチェーンとiCloudキーチェーンの違いは後述する。なお、この画面でキーチェーン以外のサードパーティー製のパスワード管理アプリを選択することも可能だ。

 キーチェーンは強固に暗号化されてiPhone内に保存される。情報を読み出す際には顔認証(Face ID)や指紋認証(Touch ID)、またはパスコードなどで本人認証が必要になる。そのためiPhone自体を不正に使用されないように対策しておけば、キーチェーンを第三者に悪用される危険性は極めて低くなる。

キーチェーンに保存されたアカウントとパスワードを自動入力するには「設定」→「パスワード」→「パスワードを自動入力」とタップして表示された画面で「キーチェーン」または「iCloudキーチェーン」を選択しておく(赤い枠は筆者が付けた)
キーチェーンに保存されたアカウントとパスワードを自動入力するには「設定」→「パスワード」→「パスワードを自動入力」とタップして表示された画面で「キーチェーン」または「iCloudキーチェーン」を選択しておく(赤い枠は筆者が付けた)
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キーチェーンに保存されたアカウントとパスワードは、Safariやアプリでログイン画面を開いた際に自動で、またはユーザーが選択することで入力される。画面はキーチェーンに保存されているアカウントでパスワードを呼び出している様子
キーチェーンに保存されたアカウントとパスワードは、Safariやアプリでログイン画面を開いた際に自動で、またはユーザーが選択することで入力される。画面はキーチェーンに保存されているアカウントでパスワードを呼び出している様子
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