ラグビーワールドカップ 決勝トーナメント

フランスで行われるラグビーワールドカップ2023大会の決勝トーナメントのページです。日程、結果、8強の情報などをお伝えします。

決勝トーナメント組み合わせ・日程

決勝トーナメント以降の試合の進め方

 試合時間は前後半40分ずつの計80分で、同点の場合は20分(10分ハーフ)の延長戦を実施。決着がつかない場合は最大10分間の再延長に入り、どちらかのチームに得点が入った場合に終了する「サドンデス方式」で行われる。それでも決着しない場合は、両チーム5人ずつがキックを蹴って成功数を争う「キッキングコンペティション」を実施する。

(統括団体「ワールドラグビー」HPより)

 キッキングコンペティションは、両チームから5人ずつ出て、22メートルライン上で場所を変えてゴールキックをする。サッカーのPK戦のようなものだ。
1人目はゴールポスト正面(Position1)、2人目がポストに向かって左(Position2)、3人目は右(Position3)から蹴り、4人目はまた中央(Position1)に戻る。
5人ずつ蹴って同点の場合、6人目以降はサドンデスとなるが、キッカーは最初の5人に限定される。

決勝トーナメント進出8チームの横顔

 ラグビーのワールドカップ(W杯)フランス大会は決勝トーナメント進出の8チームが決まった。
頂点を狙う各チームの横顔を紹介する。(試合開始時間は日本時間)

準々決勝

10月15日午前0時
マッチページ

ウェールズ(C組1位)

ウェールズ
世界ランキング : 10位(9月4日現在)
出場回数 : 10大会連続10度目
最高成績 : 3位
ウェールズの快足スター、リースザミット

 赤いジャージーとウェールズの旗に描かれた竜にちなみ「レッド・ドラゴン」と呼ばれ、1970年代にはバックスにタレントをそろえて黄金時代を築いた。
 W杯開幕まで1年を切った2022年12月にニュージーランド出身のウェイン・ピバック・ヘッドコーチ(HC)が解任され、前回2019年大会でチームをベスト4に導いたウォーレン・ガトランド氏が指揮官に復帰した。今大会開幕を4か月後に控えた今年5月、元主将で経験豊富なロックのアラン・ウィン・ジョーンズらベテラン2人が代表引退を発表するという激震に見舞われたが、FWのタウルペ・ファレタウ、BK陣のダン・ビガーら経験豊かなメンバーに、22歳のスピードスター・WTBリースザミットらを擁して悲願の頂点を狙う。
 英国の連合王国を構成する4地域の一つだが、独自の「国歌」である「ランド・オブ・マイ・ファーザーズ」を持つ。ラグビーが「国技」とされ、サッカーより人気は高いほどで、代表チームは人々の誇りだ。前回大会は4位、過去9回のW杯で準決勝に3度進んだが、いずれも決勝には届かなかった。人口約300万人の「小国」が世界の頂点に立つ日を熱狂的なファンが待っている。
 今大会は、1次リーグC組でオーストラリアに40-6で圧勝するなど、同組を4戦全勝で首位通過した。

アルゼンチン(D組2位)

アルゼンチン
世界ランキング : 6位(9月4日現在)
出場回数 : 10大会連続10度目
最高成績 : 3位
キックとモールが脅威となるアルゼンチン

 ネコ科のピューマを表す「ロス・プーマス」の愛称で知られる。サッカーの強豪国で、ラグビーのジャージーも、サッカーと同じ水色と白の縞模様を用いる。ただし、縞模様はサッカーが縦、ラグビーは横だ。
 2007年大会で3位に躍進したことなどが考慮され、伝統的な強豪国・地域が属する「ティア1」に仲間入りした。南半球の強豪国による「チャンピオンシップ」に2012年から参戦し、ニュージーランド、南アフリカ、オーストラリアと定期的に対戦して、着実に実力をつけている。7月に行われた南半球4カ国対抗でも1勝2敗ながら、南アフリカと21―22の大接戦を演じた。
 伝統的にFWが強く、22年の世界ベストフィフティーンに選ばれたFWマテーラらを擁してフィジカルの強さを生かしたラグビーが特徴だが、BKの展開力も向上している。日本との対戦では、16年11月のテストマッチで、日本が20―54で完敗している。
 22年3月には、15年大会で豪州を準優勝に導いたマイケル・チェイカHCが就任。昨年はアウエーでニュージーランドを破る歴史的勝利を挙げ、イングランドにも30―29で勝っている。今大会は、1次リーグD組初戦でイングランドに10-27で敗れたものの、決勝トーナメント進出をかけた最終戦で日本から5つのトライを奪って39-27で勝利した。 タックルされながら味方につなぐ「オフロードパス」を巧みに使える選手が多く、たたみかけるように前へ前へと進んでくる。60メートルのロングレンジのキックも決めるボフェリを筆頭とするキッキングゲームと、フィジカルを生かしてグラウンド中盤からでも仕掛けるモールにも、対戦相手は要警戒だ。マテーラは1次リーグの日本戦で太ももを負傷し、決勝トーナメントの出場が危ぶまれている。

準々決勝

アイルランド(B組1位)

アイルランド
世界ランキング : 1位(9月4日現在)
出場回数 : 10大会連続10度目
最高成績 : 準々決勝
1次リーグ、スコットランドを破って喜ぶアイルランドの選手たち(ロイター)

 昨秋には前回大会王者の南アフリカを19―16で破った。W杯イヤーの欧州6カ国対抗(シックス・ネーションズ)では、最終戦でイングランドを29-16で下して5年ぶりの優勝を全勝で飾った。勢いを持ってW杯に乗り込む。
 22年の世界年間最優秀選手に輝いたフランカーのバンダーフリアーや世界的スタンドオフのセクストンらが健在。特に世界屈指のスタンドオフとの誉れ高い38歳のセクストンは今W杯を最後に引退すると伝えられており、有終の美を目指す。相手チームにとっては、この司令塔の動きをどう封じるかが大事なゲームプランとなりそうだ。
 代表はアイルランド共和国と英国の北アイルランドの統一チームで、試合前には代表チームの歌(ラグビー・アンセム)「Ireland’s Call(アイルランズ・コール)」を歌う。政治と宗教の問題で分断された紛争の歴史を振り返れば、肩を組んで歌う選手の姿を見るだけで心を揺さぶられる。アイルランドのラグビーはまさに「魂のラグビー」だ。強い結束力でひたむきに、ひたすらに勝利を追い求める。
 今大会は南アフリカやスコットランドなどが入って「死の組」と言われたB組で、前回大会優勝の南アフリカに13−8と競り勝つなど、無傷の4連勝で突破し、世界ランキング1位の底力を見せた。ニュージーランド出身で驚異の突破力を誇るCTBアキはキーマンの一人。準々決勝は、初の準決勝進出をかけて、そのニュージーランドと激突する。

ニュージーランド(A組2位)

ニュージーランド
世界ランキング : 4位(9月4日現在)
出場回数 : 10大会連続10度目
最高成績 : 優勝3回
1987年、2011年、2015年)
戦いの儀式、ハカを披露するニュージーランドの選手たち(AP)

 試合前の情熱的な踊り「ハカ」のパフォーマンスで知られワールドラグビー史上最強チームとして有名な「オールブラックス」。プロップからフルバックまでの15人だけでなく、控えの選手も、それぞれ個性ある「超一流」だ。ポジションに関係なく、相手のタックルを受けながらボールをつなぐオフロードや股の間を通すトリッキーなパスを、さりげなく見せてくれる。
 華麗なプレーに目を奪われがちだが、チームの強みはあくまでも基本に忠実なラグビーで、特にフォワードは密集での「痛いプレー」をいとわない。「世界最強」は地味で献身的なプレーが支えだ。
 4年前の大会では準決勝でイングランドの鉄壁のディフェンスの前に3連覇の夢を絶たれた。22年はアイルランド、南アフリカ、アルゼンチンに黒星を喫するという近年まれに見る不調の時期があったが、その後は復調の気配を見せた。代表89キャップのFWケーンが主将を務め、日本のトップリーグ、パナソニックでもプレーした伝説的なキャプテン、サム・ホワイトロック、世界年間最優秀選手2度のSOボーデン・バレットらがW杯の舞台を虎視眈々と見据える。
 開幕直前に行われた南半球4カ国対抗戦ではオーストラリアを38-7で圧倒するなど3戦全勝で優勝を決めた。史上最多の4度目優勝を目指す今大会は、開幕戦で開催国フランスに敗れたが、残る3試合を圧勝して2位通過。4試合の総得点253、トライ数38は出場20チーム中でトップ。世界ランキング1位のアイルランドとの準々決勝は激闘必至だ。

準々決勝

10月16日午前0時
マッチページ

イングランド(D組1位)

イングランド
世界ランキング : 8位(9月4日現在)
出場回数 : 10大会連続10度目
最高成績 : 優勝(2003年)
準々決勝でフィジーに競り勝って喜ぶイングランドの選手たち(15日)(AP)

 飾り気のない純白のジャージーの左胸に赤いバラのエンブレムがあしらわれ、「ラグビーの母国」の威厳とプライドが漂う。北半球のチームで唯一、ワールドカップ(W杯)を制している(2003年大会)。33選手中17人がW杯経験者で、攻撃の中心となるSOファレルが準優勝した前回19年大会を含む3大会連続で主将を務める。W杯4大会目出場となるFWのコール、ロウズ、イトジェらが主力として残っており、選手の合計キャップ数は1400を超える。23歳のSOスミスへの期待も大きい。
 2022年の欧州6カ国対抗(シックス・ネーションズ)では3位、秋のテストマッチ4連戦も日本代表に勝っただけで1勝1分け2敗と結果を出せず、W杯開幕まで1年を切った昨年12月に、エディー・ジョーンズ氏が監督を解任されてスティーブ・ボーズウィック氏が新監督に就任。現役時代はロックでイングランド代表主将、日本代表のコーチも務めたことがある指揮官のもと、再建を進めてきた。今年のシックス・ネーションズも4位と振るわなかったが、W杯に照準を合わせている。
 強力なFWと、攻撃ではキックを多用するのが伝統的なスタイルだ。日本とは今大会1次リーグD組での対戦を含めて過去11度対戦し、全勝している。
 今大会は初戦のアルゼンチン戦で開始早々にフランカーのカリーがレッドカードでいきなり退場というピンチに見舞われたが、司令塔のフォードがPGとDG計9本で全得点をたたき出す離れ業でノートライながら27-10で勝利。勢いに乗ってD組を4連勝で駆け抜けた。

フィジー(C組2位)

フィジー
世界ランキング : 7位(9月4日現在
出場回数 : 7大会連続9度目
最高成績 : 準々決勝
4大会ぶりの8強進出を果たしたフィジーの選手たち

 言わずと知れた「セブンズ王国」だ。2016年リオデジャネイロ・オリンピックで初めて採用された7人制ラグビーで金メダルに輝いた。これがフィジー初のオリンピックメダル獲得で、21年東京オリンピックでは連覇を果たしている。15人制でもそのスタイルは生きており、15人が走ってボールをつないでゴールエリアを目指すランニングラグビーが信条だ。試合前には戦いの儀式である「シビ」を舞うのもおなじみの風景だ。
2020年から指揮を執っていたヘッドコーチが突然、退任し、W杯イヤーとなった今年2月に、元同国代表主将のサイモン・ライワルイ氏が就任した。 開幕直前には敵地でイングランドを破り、勢いをもって臨んだ今大会でも、1次リーグC組で強豪のオーストラリアを69年ぶりに破る歴史的勝利を挙げた。
最終戦では格下のポルトガルに不覚をとったが、オーストラリアからの勝利が効き、2勝2敗、勝ち点11で並びながら直接対決の結果で上回って決勝トーナメント進出を果たした。
 メンバーのうち9人が前回W杯を経験し、主将のCTBナヤザレブなど中心メンバーの多くはフランスのプロリーグをはじめとする欧州のクラブに所属する。4大会ぶりの8強進出で、W杯では過去最高だったベスト8(1987、2007年)を上回る成績を目指す。

準々決勝

10月16日午前4時
マッチページ

フランス(A組1位)

フランス
世界ランキング : 3位(9月4日現在)
出場回数 : 10大会連続10度目
最高成績 : 準優勝3回
突進するフランスのウイング、モエファナ

 開催国であるだけでなく、今大会の優勝候補の一つでもあるフランスの魅力は「想定外」だろう。華やかで才能にあふれ、ひらめきに満ちた「シャンパンラグビー」と評されるプレーは相手にとって予測不可能だ。フランスラグビーはそのたびにスタジアムをどよめかせる。
 驚きはプレーだけではない。ワールドカップ(W杯)では準優勝3回の実績がある。前評判は必ずしも高くなかったが、1999、2007年大会では大本命のニュージーランドを破る名勝負を見せてくれた。
 今年の欧州6カ国対抗(シックス・ネーションズ)では、ラグビーの聖地であるトゥイッケナム(ロンドン郊外)でイングランドを53-10で破った。国内リーグも世界最高峰で、スター選手がそろう。
 今大会は開幕戦でニュージーランドをシーソーゲームの末に27-13で破り、そのまま4連勝でグループ1位通過。ワールドラグビーの年間最優秀選手にも選ばれたSHアントワーヌ・デュポンを中心とするハーフ団は世界屈指で、ウイングのプノーは今大会出場選手最多の6トライを挙げて好調だ。総失点32は出場チーム中最少で、守りも堅い。
青いジャージで躍動する「レ・ブルー」は自国開催で悲願の初優勝を狙う。

南アフリカ(B組2位)

南アフリカ
世界ランキング : 2位(9月4日現在)
出場回数 : 8大会連続8度目
最高成績 : 優勝3回
(1995年、2007年、2019年)
トンガ戦、タックルされながらも突進する南アフリカのフランカー、スミス

 ニュージーランドと並んでW杯過去3度優勝を誇り、前回優勝のディフェンディングチャンピオンとして今大会に臨んでいる。愛称の「スプリングボックス」は、アフリカ南部に生息し、驚異的な跳躍力を持つガゼルに似た哺乳類からとった。そのラグビーの特徴は驚異的な身体能力だ。タックルやコンタクトプレーは「当たる」ではなく「刺さる」と表現すべきだろう。開幕直前に行われた南半球4カ国対抗ではアルゼンチン、オーストラリアに勝って2勝1敗の成績だった。
 長い間国内にはびこってきたアパルトヘイト(人種隔離政策)を撤廃へと導いたネルソン・マンデラ氏が大統領に就任して迎えた1995年、自国開催のW杯で初優勝したストーリーは、後にクリント・イーストウッド監督により映画化され、全世界に感動を与えた。
 体の強さとセットプレーが持ち味で、リーグワンの横浜に加入した身長1メートル71の「小さな巨人」SHファフ・デクラークら、前回大会の優勝メンバーも数多く残っている。2019年の代表で黒人選手初のキャプテンとなったシヤ・コリシは今年4月の試合で膝に大けがを負ったが、メンバー入りを果たし、2大会連続で主将を務める。
 アイルランド、スコットランなどとともに「死の組」と言われた1次リーグB組ではアイルランドに敗れたが3勝1敗で2位通過、単独での過去最多となる4度目の優勝を狙う。

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