完了しました
第105回全国高校野球選手権記念大会は22日が休養日で、23日午後2時から決勝戦が行われる。2004年、05年の駒大苫小牧(南北海道)以来、史上7校目の夏連覇を目指す仙台育英(宮城)と、優勝の最長ブランクとなる107年ぶりの制覇がかかる慶応(神奈川)との顔合わせ。仙台育英の強力投手陣に、慶応打線が挑む構図となりそうだ。
仙台育英 ダブルエース 勢い
仙台育英の投手陣を支えるのが、昨夏の優勝メンバーで、エース高橋と湯田。初戦は、先発の湯田が五回途中で4失点とピリッとしなかった。2番手の高橋も4回5失点で、乱打戦の末に2回戦に進んだ。
ここから、両投手とも徐々に調子を上げた。共通するのは、勝負所でギアを1、2段階上げるところ。球速は150キロ前後に達し、変化球の切れもすごみを増す。高橋は14回で16三振、湯田は21回1/3で27三振とイニング数を上回る奪三振数を誇り、強豪校がそろうトーナメントを勝ち抜いた。
1世紀以上の空白を埋める快挙へ、慶応の大応援団は、球場全体を巻き込むほどの勢いで、投手陣にのしかかってくる。先手を許してのみ込まれないよう、異様な空気の中でも、冷静なマウンドさばきが求められる。
今春の選抜初戦は慶応に2―1でサヨナラ勝ちしており、湯田は「春よりも応援がすごいと思う。楽しみたい」と落ち着いた表情を見せた。
仙台育英・須江監督 「慶応は勢いだけではなく、真の実力があり知性が高い。選手が自分で考えてプレーを選択しており、一番強いチームが勝ち上がってきた」
慶応 3、4番の復調 カギ
慶応打線で鍵を握るのは、3番の渡辺千、4番の加藤になる。神奈川大会で、渡辺千は2本塁打で12打点。加藤は打率3割8分1厘で中軸の役割を果たした。ところが甲子園で様子は一変。加藤は準々決勝で走者一掃の逆転二塁打を放ったものの、渡辺千とともに全4試合で3安打にとどまる。
準決勝の土浦日大(茨城)戦が、2人の不振を物語った。渡辺千は一回無死二、三塁で捕邪飛に倒れると、その後に2度の犠打。加藤は無安打で、七回にはスクイズを失敗した。
1番丸田が3試合で複数安打を放ち、2番八木は、ここ2試合連続で3安打。5番延末も全試合で安打をマークしており、3、4番が復調すれば、一気に得点力は上がる。加藤は「調子は少しずつ上向いている。打ち崩したい」と意気込む。
慶応の魅力は、一気に攻め込む集中打。狙い球を絞って、いかに「線」となって立ち向かえるか。渡辺千、加藤のバットに命運がかかっている。
慶応・森林監督 「チームの最終戦で、集大成としてぶつかるには最高の相手。素晴らしいチームと、決勝で試合ができる。単純にうれしいし、ワクワクする」
球数制限 適用見込みなし 1週間で500球
決勝を戦う両チームで、完投したのは、21日の準決勝で118球完封した慶応・
仙台育英は、19日の準々決勝で4人の投手リレー。21日の準決勝は、高橋(82球)と湯田(43球)でつないだ。決勝の23日は2人とも300球以上を残す。
慶応の小宅は19日の準々決勝の球数が5で、決勝は残り300球以上。ただ、完封してから中1日の登板となり起用法が注目される。
昨夏の決勝に残った仙台育英と下関国際(山口)は、ともに大会を通じて完投した投手はいなかった。