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日米両政府が米ワシントンで16日に行う日米首脳会談の成果として、経済協力、気候変動の各分野で個別に共同文書を発表する方向で調整に入った。複数の日本政府関係者が明らかにした。共同文書は安全保障分野を加えた3本柱で構成される。中国に対する戦略的な連携を打ち出す内容となる。
共同文書のうち全体文書は、安全保障分野が中心となる。これとは別に、経済協力、気候変動の各分野について独立した文書を発表し、具体策を記す。日米両政府は会談の成果の目玉としたい考えだ。
経済協力に関する文書では、日米以外の第三国のインフラ(社会資本)整備を共同で進める方針を明記する。人工知能(AI)や量子技術などで協力することを盛り込み、高速・大容量通信規格「5G」通信網整備に向けた連携も記す。両国の技術を結集し、こうした先端分野で対中競争に備える狙いがある。
新型コロナウイルスワクチンをアジア諸国などに分配するための協力にも触れる。中国が自国産ワクチンを外国に売り込んで影響力を高める「ワクチン外交」に対抗する狙いがある。
気候変動を巡る文書では、日米のパートナーシップ協定の創設を明記する方向で検討している。
協定は、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするとの日米両国の目標実現に向けた道筋を示す内容となる見通しだ。
気候変動関連の文書には脱炭素分野の協力策も記す見込みだ。具体的には、水素の活用や、大気中の二酸化炭素(CO2)を回収して貯蔵や再利用する技術の利用に触れる。石炭火力発電所の立地抑制策も盛り込む。
米政府は22~23日にオンライン形式で気候変動に関する首脳会議を主催する。直前となる今回の首脳会談で積極姿勢を示すことで、世界最大のCO2排出国である中国の協力を引き出す狙いもある。
全体文書では、米国の対日防衛義務を定めた日米安保条約5条を沖縄県・尖閣諸島に適用すると明記する。「台湾海峡の平和と安定」の重要性を確認するほか、香港や新疆ウイグル自治区の人権状況に対する懸念も指摘する方向だ。