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米欧格付け大手が米国債を格下げした余波が日米の債券市場に広がっている。3日の東京債券市場では、長期金利の代表的な指標とされる新発10年物国債の流通利回りが一時、0・655%まで上昇(債券価格は下落)した。2014年1月以来、約9年半ぶりの高水準となった。
日本銀行が7月28日の金融政策決定会合で、金融政策を修正してから、長期金利は上昇傾向にある。これまでは、「プラスマイナス0・5%程度」まで変動することを容認していたが、変動幅を柔軟にし、事実上1・0%まで認めた。決定以降、0・6%前後で推移している。
さらに、米長期金利の上昇につられる形になっている。格付け会社のフィッチ・レーティングスが1日、財政悪化懸念を理由に米長期国債の格付けを最上位の「トリプルA」から1段階引き下げた。2日の米債券市場では、国債が売られ、10年物国債の利回りが一時、約4・1%まで上昇した。
イエレン米財務長官は2日の演説で、米国債の格下げについて、「米国経済の力強さに照らして明らかに不可解だ」と改めて批判した。政府の借入金上限を定めた「債務上限」を巡る混乱などがきっかけだが、財政悪化への懸念に対し、優先的に取り組む姿勢も強調した。
長期金利が上昇すると、固定型の住宅ローン金利が高くなる可能性がある。野村総合研究所の木内登英氏は「日本の長期金利は0・7~0・75%程度まで上昇するだろう」としている。