各スポーツ紙の映画担当記者が投票で選ぶ「ブルーリボン賞」の受賞者インタビューで先日、今年度の主演女優賞・貫地谷しほり(28)の各紙合同取材に行ってきた。

 実は7年前に一度、TBS系ドラマ「花より男子2」の番宣絡みで貫地谷を取材している。同ドラマはジャニーズの松本潤(30)が主演で、本来なら“ジャニーズの天敵”である本紙に取材機会などない。そこを尽力してくれたのが、貫地谷の担当女性マネジャーSさん。

 当時、Sさんが貫地谷を売り込みに本紙編集局をアポなし訪問したのがそもそものきっかけだった。そんな目的で、女優のマネジャーが東スポを訪ねるなんてことはめったにないから正直、驚いた。インタビューでも貫地谷は天真らんまんにぶっちゃけトークを展開。取材後、本紙カメラマンは「カワイイっすね。絶対(人気が)きますよ!」と漏らしたほどだ。

 カメラマンの予想は的中する。その年の秋、NHK朝ドラ「ちりとてちん」のヒロインに抜てき。その後もドラマや映画で着実にキャリアを積んでいく。今回の受賞作「くちづけ」は意外にも映画初主演で、知的障害という“個性”をもった女の子をかわいらしく演じ、評価された。
 貫地谷の主演女優賞受賞を知り、友人のベテラン映画ライターは「彼女って演技はうまいし実物もかわいいけど、主演ってタマじゃないから、この作品で賞をあげられてよかったかもね」と言った。

 実は貫地谷、これまで自分で仕事を選んだことがなく、Sマネジャーが「しほりにやらせてあげたい」と受けた役をただひたすら演じてきたという。合同取材で「“朝ドラの主役も張ったのに、なんで映画の主役(オファー)が来ねえんだ?”みたいな気持ちはどっかになかったのか」と聞かれても、本人は「なかったですねぇ。なんでですかね。今思うと不思議ですけど」と答えていた。

「ビミョ〜な芸能人でした」「今どきの方に比べて普通」「地味ですからね〜私」とあまりに謙虚なもんだから、本紙が「私が私がみたいな感じがないとこが魅力だと思う」と振ると、こんな答えが返ってきた。

「いや、(自分が自分が感を)出したいし、出せたらいいんでしょうけど、でも恥ずかしいんですよね。だから同年代とかそういう子をみると、なんかそれを反省してる子(女優さん)が周りにいて、でも私はそれはもう素晴らしいことだと思います。やりたいことがやりたいって」

 ただ、今回の受賞は確実に転機となりそうだ。今後はSマネジャーの役選びにも口を挟んでいくという。将来的には「朝ドラのお母さん(役)をやるような女優になりたいです」と即答。「もしかしたら大女優にはなれないかもしれないですけど、面白い女優人生になると思います!」と語る笑顔からは、貫地谷の内に秘めたる自信がうかがえた。