元プロ棋士の橋本崇載容疑者(39)が17日、滋賀県警大津署に名誉毀損の疑いで逮捕された。ツイッター上での衝撃的な投稿の数々にネット上では心配の声が寄せられていた矢先だった。

 逮捕容疑は昨年11月29日にツイッターに「僕のすべてを潰した殺人鬼」「僕を地獄の底に落とした殺人鬼」などと投稿し、元妻(32)の名誉を毀損した疑い。

 橋本容疑者は18歳でプロ棋士としてデビューし、金髪で奇抜なファッションと陽気なキャラから“ハッシー”“橋本八段”として、人気と実力を兼ね備えた棋士として活躍していた。ところが、2020年10月から棋戦を休場し、翌年4月には突如、引退を発表した。

 長期休場および引退の理由はすぐさま本人の口から明かされた。19年に生まれた息子が生後4か月で妻に連れ去られたと主張し、一部で社会問題となっている「実子誘拐ビジネス」の当事者になったとネット上で告白した。

 溺愛する息子を失ったショックで、うつ病を患い、休養を余儀なくされたが、問題解決のために棋士を引退し、立ち上がることを決意。21年4月には日本の親権制度の不備を訴える署名活動の街頭活動でも先頭に立っていた。

「愛するわが子を奪った人を絶対に許すわけにはいかない。バカな仕組みを作ったのは最高裁、裁判官ら。弁護士の一部が悪用している。政治、裁判所、日弁連が腐りきっている。法改正までもうあと一歩」と呼びかけ、参院選直前とあって、国政転身の動きもあったほどだ。

 その後、表舞台から姿を消し、心配されていたが、昨年夏にはユーチューブで将棋チャンネルを開設。活動を再開したかに見えたが、元妻との調停は不調に終わっており、息子と会えない日々が続く中、ツイッター上で何度も自死をほのめかすなど精神的に追いつめられていたようだ。同時に元妻やその家族、関係者らへの攻撃はエスカレートし、物騒な言葉も並ぶ事態となっていて、ネット上では「警察が動いた方がいい」との声が寄せられていた。

 昨年12月にも大津署は、一昨年8月に元妻らの写真や中傷する記述を投稿するなどした名誉毀損容疑で同容疑者を逮捕していたが、今年になって、元妻が刑事告訴していた。同容疑者は「投稿した記憶がない」と容疑を否認している。