<Q&A>物価高は?住宅ローンは? 日銀の長期金利「1%」容認で何が変わる? 

2023年7月28日 21時42分
 日銀は28日の金融政策決定会合で、大規模な金融緩和の修正を決めました。金利を低い水準に抑える政策の運用を柔軟化。長期金利は上限としていた「0.5%程度」を維持しながら、1%まで上昇することは容認するものです。政策変更には物価高に歯止めをかける効果も期待されますが、私たちの暮らしにどのような影響があるのでしょう。(大島宏一郎)
 Q 物価高はどの程度抑えられるでしょうか。
 A 政策を修正し、日本の金利が上がれば米国の金利との差が縮まって円が買われやすくなるため、輸入物価を押し上げてきた円安の進行を抑える効果があります。ただ、海外の金利上昇ペースと比べれば緩やかなため効果は限られそうです。また、最近の物価高は、人件費上昇の影響なども出始めており「物価の上振れリスクは大きい」(日銀)状況が続きそうです。米欧では利上げをしても必ずしも物価を抑えられておらず、日本の先行きも不透明です。
 Q 金利はどうなりますか。
 A 長期金利は、返済期間10年の国債の利回りを指標としています。今回の修正で「金利が0.5%を超えていく可能性も視野に入れる」(日銀の植田和男総裁)方針としたことで、28日の国債市場では、10年物の国債利回りが0.5%を超え、一時約8年10カ月ぶりの高い水準に達しました。今後も長期金利は上昇しやすくなり、銀行の貸出金利に影響が出そうです。
 日銀が昨年12月に長期金利の上限を0.5%程度に拡大した際に、大手銀行の一部で住宅ローンの固定金利を引き上げる動きがありました。今回の修正でも住宅ローンの固定金利や企業向け融資の金利が上がり、これから借りる人の負担が増える恐れがあります。
 Q 金利上昇のメリットはありますか。
 A 生命保険や企業年金は長期国債などで資金を運用しているため、長期金利が上がることで運用益が出やすくなります。低金利下では、大手の生命保険会社が運用する国債の利回りも低下し、契約時に約束した利回り(予定利率)を確保できず、貯蓄性の高い一時払い終身保険の販売を一時停止する動きもありました。今後金利が上がれば商品によっては既に加入している人の配当が増えたり、保険料の支払いが安い商品が販売されたりすることも期待できそうです。

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