サッカーW杯、ロシア大会で日本を救ったFPPって何? 世界から称賛された日本のフェアプレー精神

2022年11月18日 12時00分
<サッカーW杯 知っ得!⑧警告カード>
 サッカーのワールドカップ(W杯)には前回2018年ロシア大会から、4チームずつで争う1次リーグの順位を決める項目に「フェアプレーポイント(FPP)」が導入された。前回大会は西野朗監督時代の日本がセネガルとH組突破を争った際に話題になったものだ。20日に開幕するカタール大会も、混戦の組ではFPPが重要になる場面が出てくるかもしれない。

レッドカードを提示する審判

 前回大会、H組の最終戦。1勝1分けで勝ち点4の日本は、2連敗のポーランドに1点のリードを許す展開だったが、終盤は時間稼ぎとなる後方でのパス回しを続けた。消極的な戦いとして批判も多かったが、1次リーグの順位を決める勝ち点や得失点差など4つの項目でまったく同じだったセネガルに対し、日本がその時点で上位にいたのがFPP。同じ時間帯にコロンビアに1点のリードを許していたセネガルがそのまま敗れた場合、FPPも日本が上回ったままなら、コロンビアの1位通過と日本の2位通過が確定するためだった。
 1次リーグの順位の決め方は、①勝ち点 ②得失点差 ③総得点 ④当該チームの直接対決の結果ーの順で比較し、FPPはそれでも差がつかなかった場合に用いられる。警告1枚目で1ポイント(P)、警告の累積による退場が3P、一発退場が4P、警告後に一発退場が5Pのマイナスで累計し、マイナスポイントが少ない方が上位となる=表
 サッカーでは、選手のラフプレーや判定に異議を唱えるなどの行為に対し主審から警告(イエローカード)を与えられることがある。1試合で同じ選手が2度警告を受けたり、乱暴な行為や得点機会を阻止したと判定されると退場(レッドカード)になる。
 H組最終戦は結局、日本、セネガルともに0―1で敗れたことで、2位はFPPの比較になった。マイナスポイントで試合前は日本3、セネガル5が、試合後は日本4、セネガル6に。よりフェアプレーという意味で日本の決勝トーナメント進出が決定。FPPでも差がつかなかった場合は抽選だった。

◆なでしこは優勝と同時に受賞、ピッチ外でも

 サッカーの各種国際大会で日本のフェアプレーは、男女世代別を含めて以前から世界に認識されている。2011年の女子W杯ドイツ大会を制した日本代表「なでしこジャパン」は優勝とともに、その大会で警告などが少なかったチームとしてフェアプレー賞を受賞した。上位に入らないと対象にならないため男子は過去6回出場のW杯で受賞したことがないが、ロシア大会ではピッチ外の「フェアプレー」が注目された。

2018年ロシアW杯 試合後にスタンドでごみ拾いをする日本サポーターたち=ロシア・サランスクで

 逆転負けを喫した決勝トーナメント1回戦のベルギー戦後。大会を去る日本チームのスタジアム内のロッカールームが、ゴミ一つなくきれいに整えられていた。感動した国際サッカー連盟(FIFA)のスタッフがその様子を写真とともに交流サイト(SNS)にツイートして話題に。日本のサポーターも大会のたびに、試合後は大きなポリ袋を持って観客席のごみを拾う姿が話題になるなど世界から称賛されている。(唐沢裕亮)

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