「株主代表訴訟」って何?賠償金払えないとどうなるの?東電旧経営陣に13兆円支払い命令

2022年7月15日 06時00分
 東京電力福島第一原発事故を巡る株主代表訴訟で、東京地裁は13日、旧経営陣4人に総額13兆3000億円の賠償を東電に支払うよう命じる判決を出しました。史上最高とみられる賠償金が認められた株主代表訴訟とは何か。判決が確定した場合、個人で背負いきれない賠償金の支払いはどのような手続きで進むのでしょうか。(小野沢健太)
 Q 株主代表訴訟とは何ですか。
 A 会社法に基づき、株主が会社に代わって取締役などの責任を追及する訴訟です。会社が負った損害を賠償するため、賠償金は全て東電に支払われます。原告の株主には1円も入りません。高額の賠償請求の訴訟は原告が負担する手数料もそれに応じて高くなりますが、株主代表訴訟は請求額が今回のように22兆円であっても一律1万3000円と決まっています。
 Q 支払いはどのように行われるのですか。
 A 判決が確定すれば、東電が債権者となって元会長ら4人に支払いを求めます。これに応じない場合、東電が4人の不動産や貯金額などを調べて保有する財産を特定した上で、裁判所に強制執行を申し立てて、その財産を差し押さえて回収することができます。
 Q 13兆円もの賠償金を個人から回収することは不可能ですが、その場合はどうなるのですか。
 A 株主の権利弁護団事務局長の前川拓郎弁護士によると、東電には債権回収に努める義務がありますが、旧経営陣が自己破産を裁判所に申し立てて免責許可を得られれば、債務が免除されます。また東電が債権回収のために、旧経営陣の破産を申し立てることができますが、旧経営陣への遠慮があるので申し立てる可能性は低いでしょう。
 Q そもそも訴訟で旧経営陣側の補助参加人として支援した東電が、賠償金の支払いを求めるでしょうか。
 A 東電の広報担当者は取材に「回答を控える」と話しました。東電が債権回収を怠った場合、現経営陣に対する新たな株主代表訴訟が起きる可能性があります。前川氏は「東電の動向を注視する必要がある」と指摘しています。

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