日米韓、北に非核化行動要求 防衛相会談 ミサイル発射非難なし

2019年6月3日 02時00分
 【シンガポール=共同】岩屋毅防衛相は二日、訪問先のシンガポールで米国のシャナハン国防長官代行、韓国の鄭景斗(チョンギョンドゥ)国防相と会談した。三氏は終了後に共同声明を発表し、北朝鮮に完全非核化への具体的行動を要求。国連安全保障理事会決議に従った北朝鮮による国際的義務の順守が「国際社会の共通目標」と明記した。停滞状況が続く米朝両首脳の交渉の再開を後押しする狙いだ。五月の短距離弾道ミサイル発射については、三カ国の認識の違いを踏まえて非難を避けた。
 今後の米朝交渉や北朝鮮の挑発行動に対し、日米韓が歩調を合わせて対応できるかどうかが課題となりそうだ。
 共同声明は北朝鮮の非核化に関し、国際社会による国連安保理決議の履行が重要だと指摘。北朝鮮が制裁逃れのため海上で積み荷を移し替える「瀬取り」を行っているとして、撲滅に向けた国際協力も盛り込んだ。
 ミサイル発射については「防衛当局として引き続き警戒することを確認した」との表現にとどめた。トランプ米大統領が問題視しない意向を示すなど日米韓での立場の差が背景にあるとみられる。昨年に続き「圧力」という表現は使わなかった。
 岩屋氏は会談で「北朝鮮の核、ミサイル廃棄は進んでいない」と指摘。五月のミサイル発射について「明確に国連安保理決議に違反する。誤解を与えないようにすることが大事だ」と述べた。
 三氏は北朝鮮を含む安保上の課題で連携し、防衛協力を強化すると確認。中国が軍事拠点化を進める南シナ海を巡る問題を念頭に、紛争は国際法の原則に従って解決すべきだとの考えで一致した。岩屋氏によると、韓国海軍艦艇の自衛隊機へのレーダー照射問題は議題にならなかった。
 会談後、岩屋氏は「非核化実現の基軸になるのは日米韓連携だ」と記者団に強調した。鄭氏は朝鮮半島情勢などを巡って認識を共有したと説明し「非常に生産的な時間だった」と語った。

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