四つどもえ総裁選、候補者の立ち位置は 安倍・菅路線、コロナ対策などで比べてみると…

2021年9月17日 06時00分
 菅義偉首相の退陣表明に伴う自民党総裁選が17日に告示される。野田聖子幹事長代行(61)が16日、立候補を表明し、岸田文雄前政調会長(64)、高市早苗前総務相(60)、河野太郎行政改革担当相(58)の4氏で争う構図が固まった。投開票は29日。野党第1党の立憲民主党も加えて主張や政策を比較すると、第2次安倍政権、後継の菅政権との距離感や新型コロナウイルス対策などの違いが見えてくる。(生島章弘)

◆信頼回復にはどう取り組む?

 安倍晋三前首相と菅義偉首相の8年8カ月で、新自由主義的な政策によって格差が拡大し、敵味方を峻別する手法は社会を分断。「桜を見る会」や森友・加計学園の問題など説明しない政治で国民不信を招いた。
 政治の信頼回復に関し、岸田、高市、河野の3氏は財務省の決裁文書改ざんに発展した森友学園問題の再調査を否定。立民と共産、社民、れいわ新選組の野党4党は安全保障関連法廃止を訴えるグループ「市民連合」と結んだ政策協定に、森友・加計学園問題や「桜を見る会」などの「真相究明を行う」と盛り込んだ。
 安倍・菅政治に最も近いのは高市氏。河野氏は支持拡大を念頭に独自色を薄め、大きな違いは見えない。岸田氏は「転換」をアピールし、立民は対極に位置する。

◆経済は路線継承か中間層重視か

 経済政策「アベノミクス」を巡っては、高市氏は内容をほぼ踏襲した「サナエノミクス」を提唱。河野氏は民間の競争を促し、産業の活性化につなげるのが持論だが「個人重視の経済」に軸足を移しつつある。
 一方、岸田氏は「成長の果実を分配しないと社会の分断・格差が広がってしまう」と中間層の底上げを訴える。立民は「支え合う社会」を掲げ、社会保障の充実や所得再分配の強化などによって、中間層の不安解消や消費拡大を図る考え。

◆コロナは抑制と経済両立

 コロナ対応では、高市氏は治療環境の整備と並行して「経済の立て直しに向けた対策」が急務とし、岸田氏は「ウィズコロナ時代の経済活動のあり方を検討する」と主張。現職閣僚の河野氏は感染抑制と経済活動の両立を目指してきたこれまでの政府方針に近い。
 立民は、菅政権が楽観的な見通しで状況を見誤り、対応も小出しで後手に回ったとして、感染封じ込めと十分な補償をセットにした「ゼロコロナ」戦略を掲げる。官房長官がトップの「新型コロナウイルス対応調整室」を新設し、省庁の権限と役割の明確化を図る。

◆野田氏はきょう政策発表

 野田氏は17日以降に政策を発表する予定で、森友学園問題など安倍・菅政治への評価をまだ明らかにしていない。コロナ対応では、会員制交流サイト(SNS)で「コロナ禍で女性たちが抱える孤独感や困難に寄り添う」と訴えている。

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