小雪 12年ぶり映画主演、本格的女優業再開 盲ろうで東大教授・福島智氏支えた母役

[ 2022年9月1日 08:00 ]

小雪の12年ぶり映画主演作となる「桜色の風が咲く」のワンシーン
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 女優の小雪(45)が映画「桜色の風が咲く」(監督松本准平、11月4日公開)に主演する。盲ろう者で東京大教授の福島智氏を献身的に支え、指点字を発案した母親、令子さんを演じた。映画出演は7年ぶり、主演は12年ぶりとなる。

 智氏は3人兄弟の末っ子で、9歳で失明し18歳で聴力を失った。令子さんは、絶望の淵に立たされた息子を鼓舞し寄り添いながら、盲ろう者として世界初の大学教員にまで育て上げた。小雪も俳優の松山ケンイチ(37)との間に3人の子供がおり、母親として共感する部分が多かった様子。オファーを受け「初めて台本を読ませていただいた時、圧倒的な親子のエネルギーの詰まった魂に衝撃を覚えた」と出演を即決。第1子出産後は子育てを優先し仕事をセーブしていたが、末っ子が幼稚園に入っていたことから、今作が本格的な女優業再開となる。

 令子さんはコミュニケーションの手段として、息子の手に自分の手を重ねて点字を打つ指点字を発案。智氏も「指点字なしには生きてこられなかった」と話しており、小雪も「福島先生のたおやかさの中に芯のある強さを感じ、それを支えるお母さまのご苦労も想像を超えるものだったとお察ししました。障がい者というと、人は哀れみや同情を思い浮かべると思われがちですが、私は希望そのものだと感じています」と感銘を受けた。

 撮影は既に終了し、松本監督が「演じる小雪さんに、カメラの横で何度涙したことか分かりません」と絶賛するほどの熱演を見せた小雪。「世の中が不安定な中、この作品が光の道筋になるような、ご覧になった方々の明日を生きる活力のエッセンスになりますように」と願っている。

 ◇小雪(こゆき)1976年(昭51)12月18日生まれ、神奈川県出身の45歳。95年からモデルとして活躍し、98年に女優デビュー。映画「ラスト サムライ」(03年)、「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズ(05、07、12年)などに出演。11年4月に松山ケンイチと結婚。

 《智氏役の田中偉登、小雪の「腕の安心感は光」》智氏を演じるのは、放送中のNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」などに出演している若手・田中偉登(たけと、22)。盲ろう者という難役だったが、撮影前に智氏のもとで所作などを研究して臨み「一番大事にしていたのは福島さんの笑顔でした」と振り返った。小雪に対しては「つかまっているお母ちゃんの腕の安心感は、僕にとっての光でした」と感謝した。

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