「まさにいまの時代の純愛映画」佐藤健と共演の長澤まさみ「四月になれば彼女は」

多忙だが「健康的な生活を心がけている」と語る長澤まさみ(石井健撮影)
多忙だが「健康的な生活を心がけている」と語る長澤まさみ(石井健撮影)

「四月になれば彼女は」(山田智和監督)は、主人公の現在と過去の恋を交錯させながら、愛の本質を探る恋愛映画だ。佐藤健(34)と長澤まさみ(36)の本格的な初顔合わせも話題。「悩みながら演じましたが、まさにいまの時代の純愛映画」と語る長澤に話を聞いた。

精神科医の藤代俊(佐藤)のもとにかつての恋人、伊予田春(森七菜)から手紙が届く。藤代は婚約者の坂本弥生(長澤)と結婚の準備を進めていたが、弥生は「愛を終わらせない方法、それはなんでしょう?」という謎かけを残して、突然、姿を消してしまう。

映画プロデューサーで作家、川村元気の同名小説が原作だが、川村、それに佐藤も脚本制作に関わり、細部は原作とはまた違った展開をする。

長澤は、自身が演じた弥生について「気持ちの赴くままに行動するようなところがあって、実は役作りには悩みました。結局、あらかじめ役の『芯』のようなものを用意せずに撮影に入り、演じながら手探りで見つけました」と明かす。

長澤の迷いは、弥生の迷いの表現につながり、結果的には良かったと考えているという。

「監督や皆さんと一緒になって、探りながら作ったのですが、それって恋とか愛とかにも似たところがあって、映画のテーマとリンクしていました」とも語る。

映画「四月になれば彼女は」ⓒ2024「四月になれば彼女は」製作委員会
映画「四月になれば彼女は」ⓒ2024「四月になれば彼女は」製作委員会

意外だが、佐藤と本格的に共演するのは、これが初めて。「まじめな青年という印象。プロデューサーのような目線も持っている半面、現場で生まれるものを一番大事にする。芝居は共演者との化学反応。そこに素直に順応できる柔軟な人です。ヒット作にたくさん出ているし、やっぱりすごい」と絶賛する。

山田監督は佐藤と長澤の芝居は台本に忠実に、佐藤と森の場面は、ほぼ即興芝居で埋めていったという。藤代と弥生、春との関係性の違いを表現した。

森について長澤は「内なる力が強い人。俳優としての心構えがしっかりしているというか、22歳という年齢相応のみずみずしさを表現する一方で〝ベテラン感〟がすごいというか。一緒に芝居に取り組めてうれしいです」と、こちらも言葉を尽くして評した。

「愛するということに向き合わされる映画です。自分を大事にするあまり恋愛をしないとか、相手のささいな言動が気になって気持ちが冷める『蛙化現象』が流行語になる。そんないまの時代のための純愛映画なんだなと思っています」(石井健)

22日から全国公開。1時間48分。

ながさわ・まさみ 昭和62年、静岡県出身。平成12年、第5回「東宝シンデレラ」オーディション グランプリ受賞。「ロボコン」(15年)で映画初主演。「世界の中心で、愛をさけぶ」「コンフィデンスマンJP」シリーズなど多数の映画に出演。9月には次の主演映画「スオミの話をしよう」(三谷幸喜監督)の公開が控えている。

会員限定記事会員サービス詳細