<独自>朝鮮学校補助金、93自治体が支出、100を割る

朝鮮総連の前では警察官が立ち警戒していた=東京都千代田区(酒井真大撮影)
朝鮮総連の前では警察官が立ち警戒していた=東京都千代田区(酒井真大撮影)

全国にある朝鮮学校に対し、令和4年度に補助金を支出した道府県と市区町は計93自治体となり、初めて100自治体を下回ったことが10日、文部科学省への取材で分かった。国が公益性の観点などから支出の妥当性を検討するように求めた平成28年度からは2割以上減少しており、運営実態の不透明性などを背景として支出を見直す動きの広がりがうかがえる。

文科省の内部資料によると、令和4年度に管内の朝鮮学校や通学する子供がいる家庭に補助金を支出していた自治体は、愛知や兵庫など10道府県と、京都市や横浜市、川崎市など83市区町の計93自治体。平成28年度には、計121自治体(14道府県、107市区町)が支出していたが減少傾向が続き、令和3年度に100自治体(11道府県・同89市区町)となり、4年度に初めて100自治体を切った。

4年度の補助金総額は3年度比814万円減の計2億3064万円。内訳は、道府県が同8万円減の1億2266万円、市区町が同805万円減の1億7984万円となっている。

朝鮮学校の教育や人事、財政には、北朝鮮と密接な関係にある在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の影響が指摘されるなど運営実態の不透明さが指摘されている。

拉致被害者の支援組織「救う会」の集計によると、平成21年度の補助金総額は計8億円を超えていた。国は25年に高校授業料無償化の対象外とすることを決定。文科省が公益性の観点などから支出の妥当性の検討を求める通知を出した28年には3億円を割り込んだ。ただ、近年は横ばいで推移している。

朝鮮学校

在日朝鮮人の子供に母国語による授業や民族教育を行う学校。令和5年5月1日時点で全国に57校(うち4校休校)ある。朝鮮籍のほか、韓国籍や日本国籍の子供も通っている。年代別に幼稚部、初級部、中級部、高級部、大学校がある。近年は児童生徒数の減少によって学校の統廃合が進んでいるほか、休校状態が続いている学校もある。

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