拉致被害者奪還への一手となるのか-。北朝鮮が核・ミサイル開発を加速させ、朝鮮半島の緊張感が高まる中、8月21日に政府の招きで家族や支援組織のメンバーらが内閣府に集まり、北朝鮮への独自制裁の強化策などが説明された。長い時を耐える家族は拉致問題の解決を信じて、静かに情勢を見つめている。(社会部 中村昌史)
「日本は甘く見られている」 拉致問題解決へ打開策は…
「拉致被害者を救うための運動を始めてから20年がたちました。なぜ、まだ解決できないのか不思議だ」
8月21日、内閣府で多くの報道陣に囲まれた横田めぐみさん(52)=拉致当時(13)=の母、早紀江さん(81)は静かに語った。表情には怒り、悔しさ、悲しみが入り交じり、疲れ切っていた。
この日、内閣改造で約2年間務めた拉致担当相に留任した加藤勝信氏は家族らの前に立ち、こう話した。
「一刻の猶予もならないという切迫感をしっかり共有させていただきたい」
家族会と救う会は2月、今年中の全拉致被害者の救出を求める運動方針を掲げた。加藤氏はこうした経緯をあげた上で「帰国の具体的な道筋を見いだせず申し訳ない」と現状をわびた。
また被害者、家族がともに高齢化する中、再会に残された時間が限られる厳しい現状を踏まえ、期限を区切って解決を求めた家族会の思いを「しっかり共有する」とも述べた。