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交通事故の死亡者8年ぶりの増加―2023年 : コロナ禍収束、行動制限解除が影響?

社会 政策・行政

2023年の交通事故死者数が8年ぶりに前年を上回り、2678人となった。車線はみ出し警報などの予防安全技術が搭載された車も増えているが、2025年までに交通事故志望者2000人以下とする政府目標の達成は厳しそうだ。

2023年の交通事故による死亡者の数は前年比68人増の2678人で、8年ぶりに増加に転じた。コロナ禍が収束し、行動制限が完全に撤廃されたことで車を使う機会が増えたことなどが影響したとみられる。統計が残る1948年以来、3番目に少なかったものの、政府が掲げる、25年までに年間死者数を2000人以下とする目標とは大きな隔たりがある。

事故件数は前年より7072件増えて30万7911件、負傷者数は8426人増の36万5027人だった。

都道府県別の死亡者数は大阪が148人で2年連続で最多。愛知145人、東京136人が続いた。最少は佐賀の13人。人口10万人当たりの死亡者数は全国平均が2.14人のところ、徳島が3.98人で最多。三重3.79、青森3.74人と続いた。四国4県はいずれも3以上と平均を大きく上回っている。最少は東京の0.97。

自動車事故発生件数と死者数の推移

交通事故による死亡者数は、1950年代から60年代にかけて自動車の普及とともに急増。「交通戦争」とまで呼ばれるほどだった1970年に最多の1万6765人を記録。運転席・助手席のシートベルト着用が、1985年高速道路・自動車専用道路で義務化、1992年一般道で義務化されたことに加えて、1990年代中盤頃からエアバッグの普及が急速に進むなど安全装備の向上などがあり、死亡者数は漸減。また、近年は衝突軽減ブレーキ、車線はみ出し警報などの予防安全技術が進化していることや、ドライブレコーダーの搭載が進むなど安全意識の高まりも奏功しているとみられる。

65歳以上の高齢者の死者数は前年より6人減の1465人となったが、死者全体に占める割合は54.7%と高い水準が続いている。さらなる死亡事故の抑制には、高齢者事故対策が欠かせない。

65歳以上と未満の交通事故死亡者数の推移

バナー写真 : PIXTA

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