与野党、公開で政治改革議論 法改正に向け特別委設置へ
与野党は衆参両院で政治改革について公開の場で議論を始める。今国会での政治資金規正法の改正に向けて特別委員会を設け、議員への厳罰化や監視機関の設置などが論点になる。公開することで先送りや踏み込み不足を回避したい野党の要望を与党が受け入れた。
衆院は既存の政治倫理・公選法改正特別委を改組する案がある。野党は少数会派の意見をくみ取るため40〜50人ほどの規模を主張する。参院は自民党の松山政司参院幹事長が設置の検討を表明した。両院とも具体的な内容は与野党で話し合う。
議題として有力視されるのは①議員への連座制導入②政党や派閥への第三者監視機関の設置③政策活動費のあり方――などだ。
連座制は政治資金収支報告書の虚偽記入などが発覚した際に会計責任者だけでなく議員本人も処罰対象とする制度だ。自民党内には議員本人が無関係なミスでも責任が問われかねないといった慎重論がある。
第三者機関の設置は公明党や野党が主張しており、岸田文雄首相も前向きな姿勢を示している。自民党の派閥などが収支の監査を受けていなかったことを踏まえ、調査権限をもつ米国の第三者監視機関を参考にする。
政党が幹部らに渡し、使途を開示する必要がない政策活動費のあり方も協議する。立憲民主党や日本維新の会などは廃止や新制度の導入を求めているが、首相は慎重な考えを繰り返し示す。
野党側が特別委での公開協議を求めるのは各党の責任を明確にできるとの思惑からだ。非公開だと内容が後退した際の責任の所在がわかりにくくなる面がある。
規正法の議論は1970年代の田中角栄政権の金権政治への批判を受けて本格化した。それ以降、規制の中身とともに与野党がどのような場で話し合うかも課題になってきた歴史がある。
例えば企業・団体による資金管理団体への献金は99年の改正で禁じた。この際は細かな法律上の規定を巡る与野党の折衝があった。
資金管理団体への企業・団体献金は2000年から禁止した。与党と民主党などが罰則の猶予の是非について衆院倫選特委の理事会で話し合い、結果3カ月後から適用すると決めた。その後特別委で採決した。
国会議員の事務所費問題を受けた07年の改正も与野党の実務者協議など非公開が中心だった。
国会議員が毎月100万円受け取る調査研究広報滞在費(旧・文書通信交通滞在費)を巡っては、22年から始めた使途公開に関する与野党協議に進展はみられない。非公開だと自民党をはじめ消極的な姿勢が表に出にくくなる。
法政大の白鳥浩教授は政治改革は議論の段階から国民の目に見えるようにすべきだと主張する。「結果だけでなく議論の過程を明らかにすることで正当性を担保することに舵(かじ)を切ったといえる」と強調する。
自民党安倍派(清和政策研究会)や二階派(志帥会)が政治資金パーティー収入の一部を政治資金収支報告書に記載しなかった疑いがあるとして、東京地検特捜部は政治資金規正法違反容疑で現職国会議員を逮捕しました。両派閥はパーティー券の販売ノルマ超過分を所属議員に還流させており、安倍派における派閥・議員側双方の収支報告書に記載されていない「裏金」は2018〜22年分で約6億円近くに上るとされます。
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