COACH親会社、ジミー・チュウ買収 高級ブランド再編
【ニューヨーク=弓真名】高級ブランド「COACH(コーチ)」や「ケイト・スペード」を傘下にもつ米タペストリーは10日、英高級ブランド「ジミー・チュウ」などを展開する米カプリ・ホールディングスを買収すると発表した。買収額は約85億ドル(約1兆2300億円)。経営資源や顧客基盤を集約し、再編が進む高級ブランド市場の競争激化に備える。
タペストリーとカプリが合意した。タペストリーはカプリのすべての発行済み株式を現金で買い取る。規制当局とカプリの株主の承認を経て、2024年に手続きを完了する予定だという。
統合後の売上高は年間120億ドルにおよぶ見通し。タペストリー傘下のコーチやケイト・スペードなどの高級バッグに加え、カプリのジミー・チュウや「ヴェルサーチェ」「マイケル・コース」といった服飾から靴、雑貨まで扱うブランドが加わる。互いの顧客ネットワークを生かし、全体の販売底上げを狙う。
タペストリーのジョアン・クレボイセラ最高経営責任者(CEO)は10日、米CNBCに対し、多様な顧客層を抱えるカプリの買収は相乗効果が大きいと強調した。マイケル・コースは若年層に人気がある一方、ヴェルサーチェやジミー・チュウは富裕層向けの販売が多い。
グッチやイヴ・サンローランなどの高級ブランドを持つ仏ケリングも7月末、イタリアの高級服メーカー、ヴァレンティノの株式30%を現金17億ユーロで購入すると発表したばかりだ。
世界のラグジュアリー産業をめぐっては、ガリバーであるフランスのLVMHモエヘネシー・ルイヴィトンを筆頭に、M&A(合併・買収)をテコに幅広いブランドを傘下に収めて業容を広げるケースが相次ぐ。タペストリーのカプリ買収もこうした業界内の変化に対応する動きといえる。