中国通信機器大手ZTE、米制裁に猛反発
【広州=中村裕】中国通信機器大手の中興通訊(ZTE)は20日、米商務省が同社と米国企業の取引を今後7年間禁止する決定を下したことに対し「極めて不公正で受け入れられない」と反発する声明を発表した。ZTEは半導体など主要部品の調達を米企業に依存しており、経営に打撃を受けかねないと危機感を強めている。
ZTEの経営トップ、殷一民董事長は20日夕、広東省深圳市の本社で緊急記者会見を開き、「米国の取引禁止令は当社の事業に壊滅的な打撃を与える。禁止令に断固として反対する」と自社の正当性をアピールした。
米商務省決定直後の17日には「関係機関と積極的に連携し、事態に対応する」との声明を出していたが、当初の冷静な対応から強硬姿勢に転じた。
ZTEは中国を代表する大手国有上場企業で、2017年12月期の売上高は約1088億元(約1兆8500億円)。10~16年に米国からイランや北朝鮮に通信機器を輸出した不正行為を認め、17年3月に米国に11億9000万ドル(約1300億円)の罰金を支払うことで双方が合意した。
だがZTEはその後も輸出違反に関わった社員の報酬を減額するという米国側との合意を守らなかったため、米当局は16日に厳しい追加制裁に踏み切った。
ZTEは20日の声明で「(社員への減額措置を怠った)問題は社内調査で見つかり、素早く処理もした。だが米側はこれらの努力を無視した」と反論した。
ZTEの経営環境は急激な悪化が見込まれる。主力の通信機器では部品の3割近くを米国企業から調達する。特に重要な半導体は米大手のインテルやクアルコムから調達しており、取引禁止令はZTEの経営そのものを危うくしかねない。
中国商務省の高峰報道官も19日の会見で「米国の行動で最終的に傷つくのは米国自身だ。米国は何万もの雇用を失うだろう」と指摘した。
一方、米商務省も強気な姿勢を崩していない。中国の一部メディアの取材に対し「取引禁止令はもはや覆す余地も話し合う余地もない。(ZTEは)7年間をしっかり待って、再度話し合うことしかできない」とコメントした。