倍政権のあゆみ

安倍政権の歩みです。

▽安倍総理大臣は、14年前の平成18年、小泉総理大臣の後継を争う自民党総裁選挙で圧勝し、戦後最年少の52歳で総理大臣に就任し、第1次政権を発足させました。

しかし、翌年の参議院選挙で自民党が歴史的大敗を喫し、国会は衆参両院で多数派が異なる「ねじれ」状態に。

こうした中、持病の潰瘍性大腸炎が悪化するなどして、平成19年9月に辞任しました。在任期間は366日でした。

そして、退陣から5年を経て、民主党政権だった8年前の平成24年、安倍総理大臣は再び自民党総裁に就任。12月の衆議院選挙で政権を奪還して、総理大臣の座に返り咲きます。

▽第2次政権発足当初から安倍総理大臣は「経済再生」を最優先に掲げ、デフレからの脱却に向けて、「アベノミクス」を推進してきました。

▽消費税をめぐっては、平成26年4月に税率を5%から8%に引き上げた後、個人消費の落ち込みなどを踏まえ10%への引き上げを2度、延期しました。

そして、去年10月、食料品などの税率を8%に据え置く軽減税率を初めて導入した上で、消費税率を10%に引き上げました。

▽去年の皇位継承と、それに伴う「改元」にも、政権をあげて取り組みました。

一代かぎりの退位を可能とする特例法に基づいて、去年4月30日に上皇さまが退位され、5月1日、元号の切り替えとともに、天皇陛下が即位されました。

新元号の「令和」は、即位に先立つ4月1日に、菅官房長官が発表しました。

▽東京オリンピック・パラリンピックを招致するため、総理大臣就任の翌年には、IOC=国際オリンピック委員会の総会で自ら演説しました。

活動の先頭に立ち、東京開催を勝ち取りました。

大会は、新型コロナウイルスの影響で、来年7月に延期され、引き続き「完全な形」での開催を目指すとしています。

「地球儀を俯瞰する外交」

▽外交面では「地球儀を俯瞰する外交」を掲げこれまでの8年間で80の国と地域、のべ176の国と地域を訪問。

平成28年にはG7伊勢志摩サミット、去年6月には日本で初めてのG20大阪サミットを開催。

伊勢志摩サミットの終了後当時のアメリカのオバマ大統領が現職大統領として初めて、被爆地・広島を訪問。安倍総理大臣も、現職の総理大臣として初めてハワイの真珠湾を訪れ、真珠湾攻撃の犠牲者を慰霊しました。

また、アメリカのトランプ大統領とは、平成28年の大統領就任前に各国の首脳の中でいち早く会談し個人的な信頼関係を構築しています。

電話での会談を含めると、首脳会談は50回を数えました。

さらに、ロシア外交も精力的に進め、プーチン大統領とは、第1次政権も含め通算で30回近く首脳会談を重ねました。

しかし、北朝鮮情勢では、核・ミサイル開発の放棄や拉致問題など解決の道筋は見いだせないせないままで、韓国との間でも、慰安婦問題や太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題の影響もあり、関係が一層冷え込んでいます。

▽経済外交では、TPP=環太平洋パートナーシップ協定の交渉を進め、離脱したアメリカを除く11か国が参加する形で、おととし(2018年)発効しました。

▽安全保障では、従来の政策を転換しました。

憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使を限定的に容認する閣議決定をした上で、安全保障関連法を成立させました。

▽憲法改正をめぐっては、自衛隊の明記などに意欲を示し、国会の憲法審査会での議論が進まない中、残り1年あまりの自民党総裁任期中に国民投票の実施にこぎつけたい考えを示していました。

「安倍1強」の政治情勢

一方で、政権運営の推進力の1つに挙げられたのが、この8年間、衆・参あわせて6回の国政選挙で勝利した実績です。

おととしの自民党総裁選挙では、党則の改正で、3期目への立候補が可能になり、石破元幹事長を破って3選を果たしました。

「安倍1強」とも言われた政治情勢の中、去年11月には、第1次政権とあわせた通算の在任期間が、桂太郎・元総理大臣を抜いて、憲政史上最長となりました。8月24日には、連続の在任期間も、佐藤栄作・元総理大臣を抜いて最長となりました。

一方、▽森友学園や加計学園の問題、「桜を見る会」をめぐる対応は、内閣支持率低下の一因ともなり、党内からは、「長期政権によるおごりやゆがみの象徴だ」という指摘も出されました。

▽ことしに入ってからは、新型コロナウイルスへの対応が中心となりました。チャーター機による中国・武漢からの邦人の帰国、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗客への対応などにあたりました。

4月には、特別措置法に基づく「緊急事態宣言」を行い、国民に外出自粛を要請し、コロナ時代の「新たな日常」をつくる必要があるとして、基本的な感染防止策や、いわゆる「3つの密」の回避などに取り組むよう呼びかけてきました。

再び感染が拡大する中、個人消費の減少などにより、ことし4月から6月までのGDP=国内総生産が、リーマンショック後を超える最大の落ち込みとなるなど、経済も大きな打撃を受け、感染対策の推進と経済の立て直しをどう両立させるかが、大きな課題となっていました。