昨今のグリーンブームも後押しし、住まいに植物を取り入れた例はよく見られるようになりました。ここでは、そのグリーンコーディネイトをさらにワンランクアップさせるアイデアと方法をレクチャー。モダンリビングが考える最旬のスタイリング術「レイヤード・グリーン・インテリア」を提案します。レイヤード=複数の植物を1カ所にまとめ“重なるように”配置する、そのメリットやコツを6つのコーディネート例と共に紹介。照明や小物、アートと組み合わせることでインテリアとしての美しさが倍増します。

観葉植物のスタイリング提案。「レイヤード・グリーン・インテリア」

必ず抑えたいコーディネートセオリー

1, 三つ以上の植物をまとめて配置する
2, 家具やオブジェなど物と一緒に置く
3, 植物のサイズや形に違いを出す

十数年前から多くのメディアが観葉植物について特集したり、オフィスや公共建築でも植物をふんだんに使う例が増加したり。緑のある空間の魅力は、今や誰もが知るところになりました。グリーン“ブーム”は終わり、植物の心地よさを暮らしに取り入れることは“当たり前”の時代になろうとしています。

そこで次なるフェーズは「どう取り入れるか?」ということ。モダンリビングは長年にわたり、住宅やインテリア企画の撮影、また個人宅向けの観葉植物レンタルサービスLOVE GREENを通じて、グリーンコーディネートのノウハウを蓄積してきました。これまでの提案は、部屋全体に植物をバランスよく配置するという方法でした。しかし今回提案したいのは、アップデートしたスタイリング術「レイヤード・グリーン・インテリア」。植物を点在させるのではなく、複数異なる樹種を1カ所のコーナーに集中して配置する方法です。

そのメリットは、植物が複層的=レイヤーになって、緑の奥行き感や表情の豊かさが増すこと。例えば同じ部屋に同じ本数の植物を配置するとして、点々と離して置く“足し算”のような置き方よりも、まとめて集合させる“掛け算”のような置き方のほうが、空間に対する緑のボリュームをより強く効果的に感じられるようになるのです。

コーディネートのポイントは大きく三つ。①三つ以上の植物をまとめて配置する 前述した体感や効果は、よほど大きな植物でない限り二つでは発揮されません。数は最低三つ組み合わせましょう。②植物のサイズや形に違いを出す 数だけクリアするのではなく、美しい“レイヤー”を意識します。同じ高さのものが並ぶと重なりすぎて雑さや圧迫感が生まれてしまうので、高低差をつけたり、葉の密度が固まりすぎない向きを検討しましょう。また、木のシルエットや葉の形・色に変化をもたせることで、互いの個性が引き立つようになります。③家具やオブジェなど物と一緒に置く 最後に挙げますが、いちばん重要と言えるかもしれません。ただの植物の集合体から、インテリアへと昇華させるためです。グリーンコーナーそのものをソファやコンソールテーブルの近くでつくったり、サイドテーブルやランプを加えたり。インテリアと共に設えることで、空間のなかで植物が浮いた存在にならず、暮らしのシーンになじむようになります。

セオリーというガイドはあっても、ルールはありません。植物の種類もインテリア小物のセレクトも、自己流の「レイヤード・グリーン・インテリア」を楽しみましょう!

ここからの事例は「レイヤード・グリーン・インテリア」を意識して、モダンリビングがコーディネートしています。

コーディネート1;自然モチーフの小家具を置いて植物との調和を楽しむ

観葉植物のコーディネート例1
MASAYUKI HAYASHI

窓辺のフリースペースを生かしたコーディネート。凹凸のあるRCの天井や鉄板を張った柱など、力強い質感をもつ空間を背景に、メインの木は野性味のあるブラジルヒメヤシを選択。上に広がる樹形のため、下の方を補うように中サイズのフランスゴムとコルジリネを合わせました。木の造形美が際立つテーブルやオブジェなどユニークなアイテムを2点加え、「自然」というテーマ性のあるコーナーに。窓のサッシと色がリンクするランプを取り入れ、建築との一体感を演出しています。

観葉植物のコーディネート例1
MASAYUKI HAYASHI

シルバーのプランター「バトゥーポット」 φ440×H400㎜ ¥68,200 レンガ色のプランター「ミンスクポット」φ160×H160㎜ ¥7,150(2点共TISTOU) 手前のスツール「スタンプ スツール」 W300×D300×H450㎜¥682,000(シボネ) 黒い木のオブジェ「ブラック ログ オブジェ」 W335×D420×H775㎜ ¥132,000(コンプレックス) フロアランプ「キャプテンフリント」W373×D320×H1537㎜ ¥447,700 ※受注品(日本フロス) モビール ¥9,900(リビング・モティーフ)


コーディネート2;棚上のグリーンはプランターも造形的なものを組み合わせて

観葉植物のコーディネート例2
MASAYUKI HAYASHI

棚の上に置く植物は、床に置くものよりも「飾る」というニュアンスが強くなります。複数組み合わせるときのポイントは、鉢のデザインと植物の種類の組み合わせ方。ここでは円筒形の最も高さのある鉢には、下に垂れるペペロミアをセット。平たい鉢には造形的な幹が上に伸びるガジュマルを。いちばん小さなものは強烈な個性の鉢を選び、植物も風変わりなフォッケア エデュリスを選びました。同じようなものが単調に並ばないよう、鉢と植物のサイズや形にバリエーションをつけましょう。

観葉植物のコーディネート例2
MASAYUKI HAYASHI

【左から】石のランプ ¥97,900(暮らしの石) 「ガラスのカタマリ」 ¥14,300 ¥36,300(2点共シボネ) プランター〈トゲ〉 約φ90×H100㎜ ※トゲを除くサイズ ¥15,950 〈円筒形〉 約φ148×H225㎜ ¥2,420 〈ボウル形〉 約φ197×H102㎜¥3,850 花器〈松ぼっくり形〉 ¥18,700 〈ひっつきむし形〉 ¥15,400(すべてTOKY) ピラミッド形のオブジェ 作:和田朋子 ¥55,000(プレイマウンテン) テーブルランプ「マイニューフレーム」¥94,600(スタジオノイ) 壁面のミラー ¥33,000(リビング・モティーフ)

[ 撮影協力 ]
コーディネート1、2/個人邸 鶴岡邸 
設計/武田清明 武田清明建築設計事務所


コーディネート3;ハンギングの器やスタンドの鉢など見せ方にもひと工夫を

観葉植物のコーディネート例3
MASAYUKI HAYASHI

マンションの窓まわりに設けられたサンルームのようなベンチソファコーナー。ソファと開口部の間に、大小サイズ違いで2本のカポックを配置。さっぱりとした樹形を生かし、そのヌケのある場所にガラスのハンギンベースを吊るしてエアプランツを浮遊させています。さらに、ソファの手前には脚付きの軽やかなプランターでザミア・プミラとアスパラガスをコーディネート。プランターを工夫し、さまざまな取り入れ方でグリーンを立体的に演出しました。背の高い白いオブジェも造形が有機的で植物とマッチします。

観葉植物のコーディネート例3
MASAYUKI HAYASHI

スタンドのプランター〈右〉プランター「S4」 φ457×H330㎜ ¥127,600 スタンド「MS4」 W470×D470×H590㎜ ¥42,900 〈左〉プランター「S3」 φ533×H203㎜ ¥127,600 スタンド「MS3」 W560×D560×H515㎜ ¥42,900 白いオブジェ「LSスカルプチャー」 W460×D460×H1771㎜ ¥178,200(すべてコンプレックス) ガラスのハンギングベース〈中央・ドロップ形〉 φ95×H230㎜ ¥1,000 〈左・レモン形〉 φ80×H150㎜ ¥800(2点共ソルソ ファーム)

[ 撮影協力 ]
コーディネート3/個人邸 ソーシャルゲートハウス
設計/谷口幸平+北沢 迅 and to 建築設計事務所


残りの3つのコーディネートは後編にてご覧ください。

掲載/モダンリビング No.264 (2022年9月号)
撮影/林 雅之
グリーンコーディネート/観葉植物レンタル LOVE GREEN