コク旨醤油ラーメンに肉厚チャーシューが名物!富山のラーメン通を魅了する“龍系ラーメン”の元祖【翔龍】ーー富山・高岡市
「麺にスープがよく絡む、なんて言いますが、うちは、スープをたっぷり吸い込むように作った麺なんです」
富山県高岡市のラーメン店「翔龍」で20年以上にわたってラーメン作りに携わっている作井省一さん。
他のラーメン店とは違うこだわりの麺について、誇らしげに語ります。
弟子たちが独立し広がった“龍系ラーメン”の系譜
北海道にルーツのラードたっぷり醤油ラーメン
高岡市野村で店を構えて35年。
「翔龍」はそこで修行後に店を独立開業する弟子たちの間で味の伝承が広がったことから、富山のラーメン通の間では“龍系ラーメン”と呼ばれる系譜の元祖となる人気店です。
創業初代のマスターは、浅野昭次さん。
北海道の小さな漁村で生まれ育ち、奥さんの智英子さんの故郷である高岡市でラーメン店をオープンしました。
浅野さんのラーメンの原点は、小さいころ食卓に時々登場したという塩ラーメン。以来、ラーメンに魅せられ、自分が食べたいラーメンを探求し続けながら「翔龍」の味を完成させました。
看板メニューは醤油ラーメン。
豚骨と鶏ガラに野菜、北海道産昆布、アジの煮干しなどでとったスープに、関東の野田醤油と金沢の大野醤油をブレンドして使って仕上げています。強い塩気は口に含んだ瞬間のインパクトが大きいですが、その奥に深みのあるコクやうまみ、余韻が感じられ、子供から大人まで虜になる味わいです。
富山のご当地ラーメン、富山ブラックも濃厚な醤油スープが特徴のラーメンですがーー
「富山ブラックと聞かれたら、否定はしませんけど…」と、作井さん。
黒味が強い醤油スープを富山ブラックに数える人もいますが、実は北海道から仕入れるラードが味の重要なポイントになっていて、味の深みやコクがちょっと異なります。
「こだわりの麺に合うように試行錯誤して作ったスープですね」(作井さん)
そして、何よりのこだわりは、麺。
スープをたっぷりと吸わせる自家製の低加水麺
店舗の横にある自社工場で作る中太のちぢれ麺は、スープが麺にへばり付くように加水率を低く抑え、さらに麺の表面積を大きくし、うまいスープをたっぷりと吸い込むように改良を重ねた自信作。
中心部はあえて芯を残すことで、食べるときにちょうどよいもちもち食感に仕上がり、さらに噛めば噛むほどスープが染み出します。
1枚でも大満足な肉厚のとろとろ豚バラチャーシュー
分厚い豚バラチャーシューも「翔龍」のシンボル。
持ち上げるとホロホロほどけいていくほど、脂たっぷりのとろとろな豚バラを使用。やわらかく煮込んだチャーシューは口の中で溶けていくようです。
肉厚で1枚でも満足感のあるチャーシューはスープの旨みと絡み合い、ラーメンにぴったり。もちろん、ごはんとの相性も抜群です。
開業当時からある味噌や塩も人気
開業当時からメニューに並ぶ味噌ラーメンや塩ラーメンも人気です。
地元の上市産の味噌はまろやかな塩味が野菜やチャーシューのうまみを引き出し、少し辛みを利かせているのがポイント。
ベーススープの味わいを存分に堪能できる塩ラーメンもあっさりした味わいに麺の風味も際立って、ボリュームある食べごたえです。
どれも人気があり「きょうは何を食べよう?」と迷う客も多いですが、売れ筋はーー
「醤油5、味噌3、塩2かな」と作井さん。
受け継ぐ初代マスター 浅野さんの味
屋台をイメージして作ったという店内は、横に長く厨房から店内を一望できる作り。カウンターやテーブル席の客側からも店員の動きがよくわかります。
「お客さんの反応にすぐに対応できるじゃないですか」と作井さん。
「マスターは、とにかく待たせるのが嫌いな人だったから。マスターが残したものをちゃんと若いスタッフにもバトンタッチしていきたいです」
2023年3月に亡くなった初代マスターの浅野さん。
そのラーメンに込められた味だけでなく、想いも受け継いでいきたいと20年以上一緒に店を切り盛りしてきた作井さんは言います。その気持ちは、奥さんや息子さんをはじめ、他のスタッフも同じ。
富山に広がる“龍系ラーメン”の誇り高い元祖の店として。
「翔龍」にはおいしいラーメンを求めて、きょうもたくさんの客が訪れています。
【店舗情報】
【翔龍】
住 所 富山県高岡市野村722-1
営 業 11:00~24:00
電 話 0766-24-4262
駐車場 あり
記事編集:nan-nan編集部