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山岳遭難、松田署管内で急増 上半期で死者4人

話題 | 神奈川新聞 | 2015年7月23日(木) 11:20

訓練中に発見した遭難者を収容する松田署山岳救助隊員ら=2014年7月24日、山北町神縄の桝木嵐沢(同署提供)
訓練中に発見した遭難者を収容する松田署山岳救助隊員ら=2014年7月24日、山北町神縄の桝木嵐沢(同署提供)

 中高年層の登山ブームが続く中、人気の西丹沢地域を抱える松田署管内の山岳遭難件数が、2015年上半期(1~6月)で死亡4人、重傷7人と、早くも昨年1年間を上回るハイペースだ。本格的な夏休みも始まり、山岳救助隊は「能力過信と甘えが事故につながる」と警鐘を鳴らしている。

 県警地域部地域総務課のまとめでは、県内全体の山岳遭難発生件数は、15年上半期31件(前年同期比18減)で死亡6人(同1人増)、重傷11人(同4人増)。14年1年間では発生件数97件(前年比8件増)で死亡7人(同2人減)、重傷19人(同1人減)。発生場所では登山道が約8割と大半を占め、年齢別では60代、70代以上、50代の順だった。

 このうち山岳遭難件数が最も多い松田署管内では、15年上半期の山岳遭難発生件数は14件(前年同期比2件減)だが、死亡4人、重傷7人で、早くも14年1年間の死亡1人、重傷4人を大きく上回った。同署管内の過去4年間の死亡数は11年2人、12年6人、13年2人と推移している。

 死亡事故例では、山北町の檜洞丸付近や塩路窪沢ノ頭など登山道からの転落や、玄倉小川谷で沢登り中の滑落・落石などがあり、ヒマラヤ登山経験者(74)もいた。同署は「帰宅するまでが登山。安全第一に」と警鐘を鳴らす。


県警山岳救助隊 松田、秦野、伊勢原、厚木、津久井、小田原の6署に設置。県警本部や各消防本部、医療機関などと連携し救助活動や訓練を実施。全体を統括する組織体制が課題となっている。



登山での注意点などを語る相田警部補=松田署三保駐在所
登山での注意点などを語る相田警部補=松田署三保駐在所

山岳救助隊員・相田氏


 基本守る気構え大切
 山岳救助隊員として19年間活動し、県警でただ一人の山岳救助特別技能指導官として後進育成にもあたる松田署三保駐在所の相田一己警部補(49)に聞いた。

 -山岳救助の実態は。

 「遭難の発生、通報時間は午後が多い。通報を受け救助隊や小田原消防本部松田分署山岳救助隊、地元山岳協会などが出動するが、徒歩で向かい収容者を病院に送ると未明になることも多い。何とか助けたいと必死です」

 -気付くことは。

 「岩場などでアンカーボルトを2本以上打つ、安全ロープを2本以上張るなど登山の基本を怠った事例が散見されます。ベテランほど体力や能力への過信が生じる。謙虚さと基本を守る気構えが大切です」

 -最近の懸念は。

 「小型リュックを背負って登山道を走るトレイルランナーが増えています。落石防止や鎖場での順番など登山のルールに従って互いに安全確保してほしい」

 -登山者へ一言。

 「単独行動を避け、登山届も県警のホームページや日本山岳ガイド協会オンライン届け出ページ(コンパス)を利用して、安全な登山を心掛けてほしい」

 
 

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