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米、「暫定措置」を検討 衝突回避、対話糸口探る―対北朝鮮の非核化交渉

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バイデン米大統領(左)と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記(AFP時事)

バイデン米大統領(左)と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記(AFP時事)

 【ワシントン時事】核・ミサイル開発を続ける北朝鮮との対話再開の糸口を探るため、バイデン米政権が新たな提案を打ち出した。非核化の目標は維持しつつ、北朝鮮に軍事衝突の回避に向けた「暫定措置」を示すことを検討する内容。北朝鮮の出方に応じて制裁を緩和する姿勢をちらつかせ、対話の呼び水にする狙いがあるとみられるが、北朝鮮が応じるかは不透明だ。

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 「非核化への道における暫定措置を検討する」。米国家安全保障会議(NSC)のラップフーパー上級部長(東アジア・オセアニア担当)は、米シンクタンクと韓国紙がソウルで4日に共催した会合にオンラインで出席し、こう表明した。「地域や世界をより安全にする措置」と説明し、北朝鮮の脅威を抑えるため、対話の用意があると強調した。

 トランプ前大統領と金正恩朝鮮労働党総書記が、2019年2月のハノイでの会談で決裂して以降、非核化交渉は停滞した。バイデン政権は21年1月の発足後、対北朝鮮政策を見直し、「前提条件なしの対話」を掲げ、繰り返し協議を呼び掛けているが、北朝鮮は応じていない。

 北朝鮮の高まる脅威にバイデン政権は懸念を深める。北朝鮮問題を担当するジュン・パク米国務副次官補は5日、ワシントン市内の会合で、北朝鮮が開発する戦術核兵器や固体燃料を使用した弾道ミサイルなどに触れ、「対処すべき兵器が多い」と述べ、暫定措置の必要性を訴えた。

 だが、措置の詳細は不明だ。米NSC当局者は取材に対し、「朝鮮半島の完全な非核化という目標に変わりはない」とした上で「偶発的な軍事衝突のリスクを減らすことも含め、北朝鮮に求めている協議は多い」と説明。前提条件を付けずに議論する姿勢を改めて強調した。

 バイデン政権下で国家情報会議(NIC)の北朝鮮担当情報官を務めたシドニー・サイラー氏は、非核化措置の見返りに制裁緩和に応じる「段階的措置」「行動対行動」の原則は過去の交渉でも見られたアプローチだと指摘。「制裁緩和も含め、北朝鮮が何を得られるかは対話再開後に議論されるだろう」と語る。

 北朝鮮はこれまで、暫定措置の提案に反応を示していない。米韓外交筋は、ウクライナ侵攻を続けるロシアに接近する北朝鮮が対話に応じる可能性は低いと指摘。バイデン政権の思惑については、11月に米大統領選が控える中、「半島周辺での無用な緊張激化を避けたいのではないか」と推測している。

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