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「子供たちのため変化を」 自身の苦い経験、教訓に―新少年団本部長の益子直美さん

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時事通信のインタビューに答える益子直美さん=12日、東京都新宿区

時事通信のインタビューに答える益子直美さん=12日、東京都新宿区

  • 時事通信のインタビューに答える益子直美さん=12日、東京都新宿区

 元バレーボール女子日本代表で、「監督が怒ってはいけない大会」など独自のイベントを開催している益子直美さん(56)が6月、日本スポーツ協会の日本スポーツ少年団本部長に就任する。このほどインタビューに応じて抱負や思いを語った。

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 小中学生を中心に全国で55万人以上の団員がいるスポーツ少年団のまとめ役。昨秋に就任を打診された際は、「大きな組織でそういう立場になったことがないし…」と辞退しようとした。だが、「あなたがしてきた活動がこれからの少年団に必要」と説得された。「私は現場に出て行動することが一番得意。指導者や保護者、行政の皆さんの話を聞きたいし、子供たちのセミナーも開きたい」と、今は意欲に燃えている。

 2015年から本格的に始めたバレー大会「監督が怒ってはいけない大会」は文字通り、監督が選手に怒ることを禁じる。その背景には、暴力的な指導により「大好きで始めたバレーボールが、あっという間に大嫌いになってしまった」という益子さん自身の苦い経験がある。

 ミスをすれば指導者からたたかれ、怒鳴られた。反論など許されず、自主性や主体性が育まれなかった実感がある。自身も大学生を指導していた頃、怒りで選手をコントロールしようとしてしまった。「今は、暴言がどれだけ子供たちの脳に影響があるか分かってきている。時代に合った変化をしていかないといけない」

 3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で日本を沸かせた米大リーグ、エンゼルスの大谷翔平選手が伸び伸びプレーする姿にも、心を揺さぶられた。「野球が本当に大好きなんだろうなというのが見て取れて。やっぱり、スポーツはこうあるべきだ」と確信した。

 暴力的な指導を減らすには、勝利を求められる指導者のストレスを緩和したり、子供へ過度の期待をかける保護者の意識を変えたりする必要があると考える。「いきなり(全てを)変えるのはすごく大変。多くの方と一緒に検証して、意見を出し合い、子供たちのために変化をしていけたらいい」。難題の解決に正面から取り組むつもりだ。

 

 ◇益子直美さんの略歴

 益子 直美(ますこ・なおみ)中学時代にバレーボールを始め、東京・共栄学園高3年時に日本代表入り。イトーヨーカドー在籍時の89~90年シーズン、日本リーグ(現Vリーグ)初制覇に貢献。現役引退後は指導者やスポーツキャスターとして活躍し、現在は一般社団法人「監督が怒ってはいけない大会」代表理事や日本バレーボール協会理事を務める。23年6月、日本スポーツ協会の日本スポーツ少年団本部長に女性として初めて就く。東京都出身。56歳。

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