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「中央省庁」という言葉を耳にしたことはあるものの、具体的に説明しようとするのはとても難しいです。行政には様々な役割があり、機関ごとに運営されています。省庁とはどんなところなのか、それぞれどんな働きをしているのか確認していきましょう。

都築 葵と赤羽 恵
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省庁について分かりやすく教えて!

省庁について分かりやすく教えて!

日本の行政機関についてどれくらいご存知ですか?なんとなく聞いたことはあるけれど、実はよく分からないという方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、中央省庁について、編成や役割などを詳しく解説していきます。

そもそも省庁とは?

そもそも省庁とは?

ニュースや新聞で目や耳にする機会が多い「省庁」というワード。大人なら知っていて当然と思われがちですが、具体的に説明するのは難しいです。省庁とはどういう意味なのか基本をおさらいしましょう。

行政機構である内閣の機関

日本の統治機構は「立法」「行政」「司法」に分かれています。「立法」とは、衆議院と参議院から成る組織で国会が最高機関です。衆議院と参議院には、それぞれ事務局・法制局が属しています。他にも、立法に含まれているのが裁判官弾劾裁判所や裁判官追訴委員会、国立国会図書館です。

司法」とは、最高裁判所のもとに、高等裁判所や地方裁判所、家庭裁判所、簡易裁判所が属する組織で、検察審査会も含まれています。最も大きな組織が「行政」です。内閣を頂点に、内閣官房や内閣法制局、国家安全保障会議など多くの組織が連なります。

内閣の機関に含まれているのが省庁です。消費者庁や金融庁、宮内庁をまとめる内閣府の他、12の省庁があります。

省と庁の違い

省庁と表現されることが多いですが、はどのように使い分けられるのでしょうか。国家行政組織法第3条では、省は最大の包括的単位と定義。内閣府とともに統括の下に置かれると記されています。

行政の業務は省に配分されますが、憲法ではその領域が明確に定められていません。その時々の要請に対応して政策的に決められる組織で可変的とされています。組織法上に原理や原則がないため、便宜的な対応が必要です。

省は委員会や庁などの外局や内部部局、審議会、地方支分部局などから構成されています。官房、局、部、課、室から成るのが内部部局です。「庁」は、内閣府設置法や国家行政組織法において外局に位置付けられている組織。行政事務の処理をする上で、内部部局では大きすぎるときに設置されます。

基本的には庁の設立に対する定義はありません。原則とまでは言えないものの、中央省庁等改革基本法第16条第4項には、政策の実施に関する機能を果たすために設立するという理由が挙げられています。

また、庁はどこに置かれるかについても明確な決まりがありません。例えば、業務内容が内閣総理大臣の担当する業務に相当する場合は、内閣府に置かれることになります。庁のトップを務めるのは国家公務員となる長官です。

中央省庁の再編

中央省庁の再編

内局と外局から成る中央省庁とは、府、省、庁、委員会を含む行政機関の総称。1府22省だった省庁が2001年(平成13年)に再編成されました。どんな内容か詳しく確認していきましょう。

1府12省庁体制に

中央省庁の改革は、1998年(平成10年)に中央省庁等改革基本法成立からはじまり、1999年(平成11年)の省庁改革関連法成立と進められてきました。そして2001年(平成13年)に実施されたのが中央省庁の再編。内閣府を新設し、政策調整制度を導入することで、縦割り行政による弊害を排除するのが目的としています。

新府省発足により、各府省がお互いに資料の説明を求めて意見を出し合う環境を作ることにより、政策の調整を図る仕組みを構築しました。また、新設された内閣府は、複数の省庁が関係する問題を上の立場から総合的に調整する役割を担っています。

また、22あった省について、任務が補完的だったり重複したりする11の省庁を4省に統合しました。郵政省・自治省・総務庁は「総務省」に、文部省・科学技術庁は「文部科学省」へと変更。厚生省・労働省は「厚生労働省」に、運輸省・建設省・北海道開発庁・国土庁は「国土交通省」に統合されたのです。

総理府の3庁である金融再生委員会・経済企画庁・沖縄開発庁は内閣府に吸収されました。環境庁は環境省に昇格しています。他にも、大蔵省は財務省、通商産業省を経済産業省と名称を変更し、1府12省庁に再編成されました。

内閣府の役割

内閣府の役割

省庁が業務上の役割を果たす上で、大きな関係を持つ内閣府。内閣府はどのような役割を担っているのでしょうか。2019年(平成31年・令和元年)の行政機構体制をもとに解説していきます。

省庁の枠を超えた業務を行なう内閣府

内閣府の基本的な役割は、内閣の重要政策に関係した事務のサポート。経済財政政策や地方創生、男女共同参画、少子化など多岐に亘る政策のなかで、恒常的で専門的な対応を必要とする重要施策の企画立案や総合調整を行ないます。それに伴い強力かつ迅速に進めるために置かれるのが特命担当大臣です。

また、経済分析や沖縄振興、NPO、政府広報、PKOなどの内閣総理大臣が担当する事務も役割のひとつ。他にも、内閣官房長官が議長となり、関係大臣や有識者が出席する重要政策に関する会議を設置します。

省庁の枠を超えたマネジメントによって進められているのが「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP:エスアイピー)」です。科学技術イノベーションを実現するために創設された国家プロジェクトで、経済再生などの課題クリアを推進していきます。

内閣府に属する4つの庁

1府12省庁以外に、内閣府に所属するのが4つの庁があります。宮内庁、外局である消費者庁と金融庁、警察庁、復興庁です。宮内庁は、内閣総理大臣の管理下にあり皇室に関する国家事務を担っています。

消費者庁のおもな仕事は、政府全体の消費者政策を計画的かつ一体的に推進すること。他にも、消費生活に関する制度や環境作り、消費者教育の推進、地方消費者への支援、物価動向の調査、消費者に事故や食の安全に関する情報提供を実施。悪徳商法への特定商取引法の執行や、偽装表示に対する景品表示法の執行をしています。

金融庁は、システムの安定や金融仲介機能の発揮、利用者の保護や利便、市場の公正性透明性に取り組む組織。企業や経済が成長を続け、安定的な資産を形成することによって国民の生活が豊かになることを目標にしています。

警察庁は、内閣総理大臣所轄である国家公安委員会が管理する組織のこと。広域組織犯罪に対処すべく、都道府県警を指揮監督するのが役割です。

12省庁の役割

12省庁の役割

最後に、12の省庁について、どんな組織かあるのか詳しく見ていきましょう。国民の生活や国の利益に対してどんな役割を果たしているか解説します。

復興庁

復興庁は2012年(平成24年)に発足。2021年(令和3年)3月31日まで置かれる組織で、東日本大震災からの復興事業を実施するために内閣に設置されました。復興にかかわる施策の企画や実施、地方公共団体の窓口と支援を担っています。

被災者や被災自治体への支援、住宅再建と復興のまちづくり、復興交付金制度の案内など復興に向けた取り組みを推進。ボランティアやNPO、公益法人とも連携し、新しい東北が「まちのにぎわい」を取り戻すという最終目標のために活動しています。

総務省

総務省は本省をトップに、大臣官房、行政管理局、行政評価局などから成る組織です。行政運営の改善や地方の行財政、選挙、消防防災、情報通信といった、国民の生活に関する行政機能を担っています。

国の経済や社会活動を支えている基本システムを所管。社会経済システムの改革推進、新しい発展基盤の整備や構築が期待されています。国、地方、民間について役割分担し、それぞれに適した取り組みを実施。地方税財源の確保などの活動をしています。

法務省

法務省は、大臣官房、民事局、刑事局、矯正局、保護局、人権擁護局、訟務局から成る組織。2019年(平成31年・令和元年)に外局として、出入国在留管理庁が新設されました。

民事局では登記や戸籍など民事法制に関する業務を、刑事局では刑事法制や検察に関する業務を推進しています。矯正局では、刑務所や少年院などの矯正施設について、保安警備や作業、鑑別などの組織運営を実施。保護局は、矯正施設の収容者について仮釈放などの事務対応をしたり、保護観察に関する事務などを行なったりしています。人権擁護局では、人権侵犯事件の調査や救済など、訟務局では、国家賠償訴訟や行政訴訟などの事務や、法的助言が役割です。

外務省

外務省は、東京都に設置する外務本省の他に、世界各国に置かれた大使館や総領事館、政府代表部といった在外公館で構成されている組織のこと。外務本省は在外公館に指示を出す立場にあります。他にも、情報分析や政策の企画・立案といった業務の推進が役割です。

大使館は国交を結んだそれぞれの国の首都に置かれるのが一般的で、日本政府の代表として交渉や連絡を行ないます。総領事館は首都とは異なる主要都市に置かれ、地方に在留している日本人の保護や通商問題処理などの活動が担当です。

政府代表部は、日本政府を代表して国際機関で外交活動をする機関です。ニューヨークの国際連合日本政府代表部や、ウィーンの国際機関日本政府代表部などがあります。

財務省

財務省は本省をトップに、大臣官房、主計局、主税局、関税局、理財局、国際局から成る組織のこと。大臣官房は所掌事務の総合的な調整や金融危機管理に関する企画・立案などを行なっています。主計局は国予算や決算・会計に関しての制度を企画・立案する機関です。

主税局は内国税制度の企画・立案を、関税局は関税制度の企画・立案などを推進。理財局は国庫制度や紙幣の発行の業務などが役割です。国際局では、外国為替資金の管理と運用、海外投融資に関する事務を担っています。

文部科学省

文部科学省は、大臣官房、総合教育政策局、初等中等教育局、高等教育局、科学技術・学術政策局、研究振興局、研究開発局から成る組織です。総合教育政策局は、教育本法に基づき必要に応じて教育改革を推進。初等中等教育局では子供たちの生きる力を育成、高等教育局は大学や大学院などの振興を図る政策を推進しています。

科学技術・学術政策局は、科学技術イノベーション政策を推進。研究振興局は大学などの学術研究や基礎研究機関の振興を図る機関です。研究開発局では宇宙や原子力に関する大規模な研究開発が行なわれています。

厚生労働省

厚生労働省は、大臣官房、医政局、健康局、医薬・生活衛生局、労働基準局、職業安定局、雇用環境・均等局といった機関から成る組織です。他にも、こども家庭局、社会・援護局、老健局、保険局、年金局、人材開発統括官、政策統括官と、多くの機関で構成されています。

子供からお年寄りまで幅広く対応。医療や健康増進、食品の安全管理など国民生活向上の役割を担っています。雇用対策推進や、安心して子育てができる社会作り、介護福祉なども担当しています。

農林水産省

農林水産省は、大臣官房をはじめ、消費・安全局、食料産業局、生産局、経営局、農村振興局、政策統括官から成る組織です。国民の食に大きくかかわっていて、安全な食料の安定的な供給を推進しています。

農山漁村の振興から、田畑や森、海などの環境保全まで幅広い役割を担当。食糧自給率を上げるための取り組みや、地産地消の普及の他、海外からの病害虫の進入防止、また食品表示の法律が守られているかの監視などを担っています。

経済産業省

経済産業省は、大臣官房、経済産業政策局、通商政策局、貿易経済協力局、産業技術環境局、製造産業局、商務情報政策局で構成される組織です。経済や通商に関する政策や、産業に対する環境保全の取り組みの推進などを行なっています。

環境に配慮した小型飛行機の開発をサポートし、小型衛星の開発を進めている他、新しいエネルギー資源の開発を推進。少子高齢化社会を想定して、介護ロボットやテレビを介して医師の診察が受けられる仕組みの開発にも取り組んでいます。

国土交通省

国土交通省は、大臣官房、総合政策局、国土政策局、土地・建設産業局、都市局、水管理・国土保全局、道路局、住宅局といった機関から成る組織です。他にも、鉄道局、自動車局、海事局、港湾局、航空局、北海道局と多くの機関から構成されています。

2001年(平成13年)の中央省庁改革により、北海道開発庁・国土庁・運輸省・建設省という旧4省庁を母体にして設置されました。国土の総合的な利用、開発や保全、交通政策の推進、海上の安全確保などを担っています。

環境省

環境省は、大臣官房、環境再生・資源循環局、総合環境政策統括官グループ、環境保健部、地球環境局、水・大気環境局、自然環境局で構成されている組織のこと。

現代の環境問題は、国民の生活や事業活動による過大な負荷が原因となっています。廃棄物対策公害の規制自然環境保全野生動植物保護を一元的に実施。地球温暖化やオゾン層保護、リサイクル、海洋汚染防止といった対策を他の府省と共同で行なっています。政府全体の環境政策をリードするのも大きな役割です。

防衛省

防衛省の内部部局は、大臣官房、防衛政策局、整備計画局、人事教育局、地方協力局から成る組織。他にも、審議会等の防衛施設中央審議会や、施設等機関の防衛大学校、特別機関である防衛会議・統合幕僚長・陸上幕僚長・海上幕僚長・航空幕僚長・防衛観察本部、地方支部局の地方防衛局、外局である防衛装備庁などで構成されています。

自衛隊は部隊及び機関として所属。日本の領地を守ったり、大規模な災害での派遣活動を実施したり多くの役割を担っています。また、国の防衛任務を遂行するため、厳しい訓練や演習を実施。他国との共同訓練も行なわれ、知識や技量を発揮できるように部隊や隊員を育成しています。

※この記事は、2019年(令和元年)12月時点の情報に基づいて作成されています。

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