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官庁・省庁とは

国家公務員が働いている官庁は、どんな組織で、どんな仕事をしているの?とあまり詳しくない方も多いかもしれません。そんな官庁についてもっとよく知っていただくために、官庁の分類、公務員として官公庁で働くにはなど、よく検索されるテーマについてまとめました。これを読めば、官庁のことがもっと身近になるかもしれません。それでは、官庁について学んでいきましょう。

1.官庁とは?

官庁とは?

官庁とは定められた国家の事務について意思を決定し、それを外に向かって示す権限を持った国の機関を指します。人数や規模、役割、権限の範囲によって様々な分類があり、それぞれが国家にとって欠かすことができません。官庁にはどういったものがあるのでしょうか?その分類と例を見ていきましょう。

1-1.官庁の分類

① 構成する人数による分類

官庁には個人によって構成される「独任制官庁」と、複数人によって構成される「合議制官庁」があります。

独任制とは文字通りひとりに任されているという意味。ひとりで構成しているという性質上、責任の所在が明確で、素早い判断が可能です。主な例としては内閣総理大臣、各省の大臣、各庁の長官などがあり、やはりどれもが大きな権限を所持していると同時に、それに伴った責任を求められる機関となっています。

対して合議制とは複数人で組織されるという意味。多数決など民主主義的なプロセスで意思を決定していきます。公正な判断に秀でているのが特徴で、国会や内閣、裁判所、人事院、会計検査院など、スピードよりも一般的な正しさを重視する機関が多いです。

② 役割による分類

日本には三権分立の仕組みがあります。三権とは立法(国会)、司法(裁判所)、行政(内閣)のこと。国家権力を行使する権限が一極に集中することを避けるために三権分立は唱えられました。立法機関によって作られた法律に基づいて、行政機関と司法機関がそれぞれの権利を行使する。「行政官庁」と「司法官庁」はそういった役割からくる官庁の分類です。代表的な例として、行政官庁には内閣府国家公安委員会(警察庁)、防衛省総務省法務省外務省財務省文部科学省厚生労働省農林水産省経済産業省国土交通省環境省の1府12省庁、司法官庁には裁判所が挙げられます。なお、立法は執行機関ではないため、ここには含まれません。

③ 権限の範囲による分類

官庁の中で、全国的な権限を持つ官庁を「中央官庁」、地域の範囲での権限を持つ官庁を「地方官庁」と分類しています。中央官庁には、内閣、内閣総理大臣、各省の大臣、各庁の長官など、地方官庁には税務署長などが挙げられます。勘違いされやすいですが、地方官庁と言っても国の機関であるので、ここに県庁や市役所などは含まれません。県庁や市役所は官公庁(公庁)といった場合に初めて含まれることになります。

1-2.官庁には分類されない機関

上でも示した通り、官庁は定められた国家の事務について意思を決定し、それを外に向かって示す権限を持った国の機関を指します。内閣官房長官、各省庁の副大臣・政務官などは官庁を助ける補助機関と呼ばれ、官庁には含まれていません。また、行政からの諮問(意思決定のために意見を求めること)を受けて構成される有識者会議なども諮問機関として官庁とは区別されています。あくまでも権限あっての官庁なのです。

1-3.主な官庁とその解説

① 内閣総理大臣

日本における三権である立法・司法・行政のうち、行政を担当する内閣の長。政治を進めていく上でのリーダーであり、首相や宰相とも呼ばれることがあります。国会議員の中から国会の議決によって指名され、天皇の名のもとに任命されるのです。一度の任期は満了で4年ですが、憲法上、再選に関する制限はないため、再選すれば任期に限りはありません。主な権限として国務大臣の任免権、国会へ議案を提出する権利、自衛隊の最高指揮監督権、防衛出動の権利などがあります。

② 内閣

日本において行政権を担当する機関。行政権のリーダーである内閣総理大臣と、内閣総理大臣によって任命される国務大臣(各省の大臣をはじめ、内閣官房長官、国家公安委員長を含む)で構成されます。主な権限としては、法律の執行権、条約の締結権、予算を作成する権利、最高裁判所長官の指名権など。

③ 国会

日本における唯一の立法機関で、国権の最高機関。衆議院と参議院によって構成され、どちらの議院に所属する国会議員も国民の直接選挙によって選ばれます。定員は2017年3月現在、衆議院が475名、参議院が242名。衆議院は4年ごとに一括で選挙を実施しますが、参議院は3年ごとに半数を改選(任期6年)します。参議院に比較して任期が短いことや、解散される可能性があることから、より民意に近いのは衆議院とされており、内閣不信任決議などいくつかの権限は衆議院にしかありません。国会全体の主な権限として、立法権、条約の承認権、内閣総理大臣の指名権、憲法改正の発議権などがあります。

④ 裁判所

三権のうち、司法権を担う機関。知的財産高等裁判所、家庭裁判所、簡易裁判所、地方裁判所、高等裁判所、最高裁判所があり、司法権の長である最高裁判所長官は内閣によって指名されます。主な権限としては裁判権、違憲審査権など。裁判権は民事裁判、刑事裁判、行政裁判などといった裁判が起こったとき、裁判の対象となる人や事件に対して行使できる権限です。裁判の対象者の拘束、証人の呼び出しや尋問など、裁判にかかわるあらゆる権限を指します。違憲審査権は現行の法律や条例が憲法に違反していないか審査する権利。裁判所をはじめ、警察・検察などは国家の秩序を守る役割から法の番人と呼ばれることがありますが、その中でも裁判所にのみ、違憲審査権が与えられています。

⑤ 人事院

人事院は国家公務員の人事管理をする行政機関。国家公務員の人事にかかわる様々なことがここで扱われているのです。国家公務員の任免や懲戒にかかわること、勤務条件の改善勧告、採用試験の公平性の確保など、中立な第三者機関として大きな役割を担っています。

⑥ 会計検査院

会計検査院は日本の三権から独立した機関として、国家に携わる様々な機関の会計処理が適切に行われているかを監視する専門機関です。国の収支に対する会計検査や、決算の確認などの権限を持っています。

2.日本の官庁街「霞が関」

日本の官庁街「霞が関」

テレビやラジオで政治や経済のニュースを見ていると、「霞が関」「永田町」「兜町」と言った言葉を耳にしたことがあると思います。これらの言葉はそれぞれの場所に特定の分野の中核を担う建物が多く集まっていることから使われるようになりました。「永田町」であれば国会議事堂や首相官邸、衆議院議長公邸・参議院議長公邸、様々な政党の本部があることから国会の代名詞として、「兜町」であれば東京証券取引所をはじめ、証券会社、銀行の本部などが密集することから経済の代名詞として使われています。そして「霞が関」は主要な省庁の庁舎が集まることから官庁や官僚の代名詞となりました。この項では日本の官庁街「霞が関」の歴史についてお話します。

2-1.霞が関の場所

霞が関は東京都千代田区の南の端にあり、港区と面しています。皇居の南にある桜田門から港区虎ノ門にかけての桜田通り一帯、様々な庁舎が建ち並んでいるこの地域を霞が関と呼んでいるのです。

2-2.「霞が関」の名前の由来

霞が関という地名の由来には諸説があるようで、最も古いものは西暦100年ごろまで遡ります。蝦夷(えみし)の襲撃に備えて日本武尊(やまとたけるのみこと)は武蔵の国(現在の東京、埼玉、神奈川にまたがる地域)に関所を造ろうとしました。伝承によるとその場所は雲霞を隔てる場所だったそう。雲霞を隔てる場所に造られた関所、ということから「霞が関」と名付けられた説があります。平安の時代より歌枕として多くの和歌に詠まれていたという話もありますが、目立った文献は残っておらず、この点にも諸説あるよう。鎌倉時代、後宇多法皇の命で編纂された続千載和歌集の中には、「同じくは空に霞の関もがな雲地の雁をしばし留めん」という二条為世の歌が残っていることから、この頃には霞が関という呼び名が付いていたとするのが一般的です。また、江戸時代の地図からは「霞ヶ関」と表記された物が見つかっています。

2-3.霞が関の歴史

江戸時代、霞が関は大名の武家屋敷が多くある地域でした。福岡藩の黒田家、広島藩の浅野家、米沢藩上杉家などがその一例です。明治維新後、政治の中心を京都から東京へ改めるべく都が京から江戸へ遷されると、京都御所にいた天皇は江戸城(現在の皇居)に入ることになります。

明治政府は東京で天皇中心の新しい政治を目指しました。しかし、新しい政治を行うためには、役人の働く官庁をいち早く整備する必要があり、戊辰戦争で疲弊した財政状況では新しい官庁をゼロから建てていくことは不可能。そこで白羽の矢が立ったのが霞が関にある大名の武家屋敷です。

本来、武家屋敷は参勤交代で江戸にやってきた大名が一時的に江戸に滞在するための別邸でした。江戸時代後期になると幕府の求心力も弱まり、制度として維持することが難しくなった参勤交代は2年に1度から3年に1度へと緩和されます。それに伴って江戸にあった武家屋敷も次第にその必要性が薄まり、江戸時代末期になると空き家になっている武家屋敷も少なくありませんでした。それは霞が関の武家屋敷にも例外なく当てはまります。

霞が関の武家屋敷が選ばれたのには他の理由もありました。前にも書いた通り、霞が関は皇居の南にある桜田門から港区虎ノ門にかけての一帯。明治政府が天皇中心の新しい政治を目指す上で、天皇のいる皇居に程近い霞が関は官庁街にするのにもってこいの場所だったのです。

上に挙げた主な武家屋敷も明治政府のもと、官庁へと整備されました。関東大震災などで大部分は焼失してしまいましたが、現在でも跡地は庁舎として利用されており、福岡藩黒田家の武家屋敷があった場所は外務省庁舎に、広島藩浅野家の武家屋敷があった場所は国土交通省庁舎に、米沢藩上杉家の武家屋敷があった場所は法務省庁舎となっています。

3.官公庁を利用するにあたって

官公庁を利用するにあたって

官庁に用事がある機会と言われるとそれほど多くはないかと思いますが、それが官公庁まで広がると訪れる機会は随分増えると思います。例えば引越しなどで住民票の内容が変わってしまうときには、同一の市区町村であっても転居届を出さなければなりません。住所が変わるので当たり前と言えば当たり前なのですが、ただでさえ引越しでバタバタしてしまうときに転居届を提出となると忘れがちになってしまうものです。

この転居届はお住まいの市区町村の役場に届出ます。届出る期間は転居した日から14日以内。平日の日中に仕事をしていれば役場が開いている時間に訪れるのは難しいでしょうし、そうとなれば休みの日に訪れる他ありません。週に休みの日が2日あったとしても、4日のうちで都合を付けなければならず、なかなか訪れにくいのが実情です。また、他の市区町村に転居する場合には、転入届と転出届の2種類の手続きが必要となります。1度でも訪れるのが難しいのに2度となればさらに大変な思いをするでしょう。

そんなときに気になるのが市区町村の役場の開いている時間。この項では官公庁の開庁時間や休業日についてお話します。

3-1.官公庁の開庁時間

機関などによってもまちまちですが、概ね月~金の午前9時~午後5時までを基準に多少前後するのが一般的。

上でも話したように、平日の日中に仕事をしている方はこの時間に訪れるのが難しいかと思います。その場合にはどうすれば良いのでしょうか?

3-2.官公庁の休日

官公庁は基本的に土・日・祝が休業日。しかし、近年では休日にも窓口や時間を限定して開けている官公庁もあります。平日の日中に利用できない方はこういった時間を選んで訪れることで、普段の生活に支障を与えることなく手続きができそうです。

3-3.長期休暇中には開いているの?

日本のカレンダーには年間を通じて何度かの長期休暇があります。年末年始やゴールデンウィーク、お盆休み、最近では9月にあるシルバーウィークもよく耳にするようになりました。こういった長期休暇のとき、官公庁は開いているのか気になったことがありませんか?

まずはゴールデンウィーク。官公庁の休業日は土・日・祝です。4月29日の昭和の日、5月3日の憲法記念日、5月4日のみどりの日、5月5日のこどもの日は祝日にあたるので、営業していません。では、5月1日、2日はどうなのでしょうか?一般企業であればこの2日間も休業日にしてしまうことは珍しくないと思います。しかし、2017年(平成29年)の場合、この2日間はカレンダー上平日にあたるため、カレンダー通りに営業している官公庁では営業しているようです。なかなか都合がつかない人にとっても利用しやすい日ですが、これはシルバーウィークにも当てはまりますよ。土・日・祝は休業日、それ以外は営業日と覚えておくのが良さそうです。

そのように考えていくと、お盆の期間はどうなるのでしょう?一般企業であれば8月13~16日ごろまでは休業日となるところも多そうですが、この場合も官公庁はカレンダー通りです。2016年(平成28年)から8月11日は山の日という祝日になりました。ですので、土曜日、日曜日と8月11日は休業日となりますが、他の日はお盆期間であっても営業しています。ゴールデンウィークやシルバーウィークと同じように、普段は都合がつきにくい方でも利用しやすい日なので、覚えておくと便利。

最後に年末年始です。年末年始の休業は12月29日から1月3日までと定められています。

御用納めという言葉を聞いたことがありますか?官公庁の仕事納めの日を特に御用納めと言い、28日がその日にあたります。ただ注意しなければならないのはこの御用納めである28日が土曜日であったり、日曜日であったりする場合。上にも書いた通り、官公庁は土・日・祝を休業日としているため、仕事納めと決まっている28日が土曜日や日曜日と重なった場合には休業日となります。28日が土曜日であった場合の御用納めは27日、28日が日曜日であった場合の御用納めは26日と直前の金曜日が年内の最終営業日となるので、その点は注意が必要です。年始に関しては1月3日まで休業と、一般企業と比べるとそれと同じか、やや短めに設定されています。4日や5日はまだ休みという方も少なくないと思うので、このあたりで利用するのも良いかもしれません。

4.官公庁オークションって?

官公庁オークションって?

官公庁オークションという言葉を聞いたことがありますか?初めて聞いた方、言葉だけは知っていた方、利用したことがある方など様々だと思います。官公庁オークションは官公庁が税金滞納者から差し押さえた物や、国や地方公共団体で使っていた備品を販売するオークションのことです。既存のネットオークションのシステムを使って販売され、前者の差し押さえた物を売却することを「インターネット公売」、後者の国・地方公共団体で使っていた備品を売却することを「公有財産売却」と呼んでいます。この項では官公庁オークションについてお話します。

4-1.インターネット公売

官公庁オークションにおけるインターネット公売とは、国税庁などが税金を滞納している人から差し押さえた資産を一般に向けて売却することです。売却されるのは税金を滞納している人から差し押さえた資産なので、得た利益は未納分の税金として補填されます。また、せり売形式で行われることが多いのもインターネット公売の特徴。この形式についてはのちの項で詳しく解説します。

4-2.公有財産売却

公有財産売却とは国・地方公共団体で使用されていた備品を一般に向けて売却することです。インターネット公売とは違い、もう必要のない物を売却するので、得た利益は歳入として計上されます。せり売形式を採ることが多いインターネット公売に対して、公有財産売却では入札形式で行われることが一般的となっています。この形式についてはのちの項で詳しく解説します。

4-3.どんな物が販売されているの?

公有財産売却においては国・地方公共団体で使われていた物なので簡単に想像できるような物が多いですが、インターネット公売になると税金を滞納している人から差し押さえた資産という背景上、本当に色々な物が出品されています。

よく見受けられる物では車や生活家電、カメラ、オーディオ、不動産などがありますが、消防車、救急車、バス、鉄道、建設用機械、ゲームのソフト、アイドルのお宝グッズなど驚くような出品も過去にありました。

4-4. 二種類の入札方式

官公庁オークションには大きく分けて2種類の入札方式があります。

ひとつはせり売形式。せり売形式とは通常のオークションと同じように、その時点での金額以上の金額を提示することで最高額入札者となり、入札期間が終わった時点で最も高い金額で入札していた人が落札できる仕組みです。ひとりの人が何度も入札可能なのが特徴で、自分が出せる金額の上限を前もって設定しておくことで、その金額まではシステムに自動で入札させるといったこともできます。最高入札金額が更新されるたびにつど判断できるので、どうしても欲しい物に関して高額落札を厭わなければ必ず手に入れられるといった側面も。

もうひとつは入札形式。入札形式とは建設業などに見られる競争入札のようなものです。せり売形式とは異なり、入札したい人が一斉に金額を提示し、その中で最も高額を提示した人が落札者となります。一斉入札、あとは開けてのお楽しみなので、入札は一度しか行えません。入札者側の購買欲によって金額がせり上がっていくことがないので思ったより安価に手に入れられる可能性がある一方で、どうしても欲しい物に関してはあらかじめ大きな金額で入札することが避けられず、競争相手が少ないのに必要以上の高値で入札せざるを得ないといったデメリットもあります。

4-5.官公庁オークションに参加するには

官公庁オークションに参加するためにはオークションごとに参加申込みをしなければなりません。また、国や各地方公共団体など、そのオークションを主催する機関ごとに申込みに必要な書類も異なります。参加したい場合は受け付け期間内に手続きが完了できるよう、事前に必要な物は準備しておいた方が良いです。

官公庁オークションには商品への入札にあたり、保証金が必要な場合があります。この保証金を払う商品への入札では、落札できなかった場合の保証金は返金されますが、落札できた場合には注意が必要。落札金額に保証金が充当されるものとそうでないものがあります。見落としてしまうと予定より多くの金額を払わなくてはいけないことも出てきますので、しっかり確認しておきましょう。

5.官公庁で働くには

官公庁で働くには

この項では官公庁で働くためにはどうすれば良いのかということをお話します。霞が関や各都道府県にある役場で働いている人たちは、そのほとんどが公務員と呼ばれる人たちです。公務員は国家公務員と地方公務員の2種類に大別されており、なるためには公務員試験に合格しなければなりません。働く場所や役割に応じて総合職や一般職、上級、中級、初級と試験が分類されています。どれを目指すかによって働くためのプロセスは違ってくるので、まずは試験や主な職種について触れていきましょう。

5-1.公務員試験

公務員試験は人事院などが実施する国家公務員試験と、各地方公共団体などが実施する地方公務員試験の2種類。官庁・省庁で働く職員、警察官、検察官、海上保安官、税務署職員など、国の機関で働く職業に就きたい場合は国家公務員試験、各地方公共団体の役場の職員など、地方の機関で働く職業に就きたい場合は地方公務員試験を受けることになります。なお、受験資格には試験ごとに年齢制限があるので注意しましょう。

5-2.国家公務員試験の種類

① 総合職試験

国家公務員総合職はいわゆる「キャリア」と呼ばれる人たちです。霞が関の官庁・省庁で幹部候補として勤務することになります。難易度は大学院卒業程度のものと、大学卒業程度のものの2種類があり、試験合格後、官庁訪問というプロセスを経て内定。

② 一般職試験

国家公務員一般職は霞が関の官庁・省庁やその出先機関での勤務となりますが、場合によっては地方で勤務する場合もあります。難易度は大学卒業程度で、試験合格後、官庁訪問を経て内定。総合職試験同様、この官庁訪問についてはのちの項で詳しく触れます。

地方公務員試験の種類

① 上級

都道府県庁、東京23区、政令指定都市の役場などで総合職をすることになります。難易度は大学卒業程度。幹部候補生として採用され、国家公務員に比較すると、地方行政にかかわる業務のゼネラリストとして働いていく傾向にあります。国という大きな単位とは違い、地方でそこに住む人の顔を見ながら業務ができるというのも大きな魅力です。

② 中級

上級とは違い、一般職での勤務となりますが、初級と比較すると、中堅幹部のような位置づけで扱われることが多いようです。難易度は短期大学、専門学校卒程度ですが、近年では大学卒業者が増えていることもあり、初級・中級の募集は縮小傾向。自治体によっては中級で採用されたあと、経験・研修・テストなどで上級に昇進できる仕組みがあるところもあり、上昇志向がある場合にはこれを利用するのも良いかもしれません。中級公務員は事務職(一般行政・学校事務・警察事務など)で働くことが多いようです。

③ 初級

初級も一般職での採用となります。難易度は高校卒業程度。上級、中級と比較すると、敷居も随分低く、独学で勉強し合格する人も少なくありません。初級公務員は地方公共団体の役場や、警察官、消防士、学校事務などで働くことが多いようです。

5-3.インターンシップについて

インターンシップとは、特定の職業の経験を積んだり職場の雰囲気を味わったりするために、目的の業界の企業などに一時的に採用してもらい労働に従事する期間。主に就職活動前の大学生が参加します。インターンシップにおける企業のメリットは業務の補助を学生にしてもらいつつ、採用候補者の目星を付けることができ、社会貢献の側面からは企業のイメージアップにもつながること。一方、学生のメリットはたくさんあり、社会人が会社で働くという抽象的だったイメージをより具体的に確認することができ、社会人になる上での心構えなども学ぶことが可能です。社内の人とのつながりは人脈にもなり、業務を通じてかかわることや、インターンシップの経験はその後のアピールの材料にもなります。 一般企業が設けている印象が強いインターンシップですが、官公庁にもインターンシップがあることをご存知でしょうか?

官公庁のインターンシップは一般企業のインターンシップと同じように、学生の夏休みから秋、冬にかけて開催されることが多いです。参加の意思があるのに、どこも定員に達してしまって参加できない!となることがないように、募集を細かくチェックし、早めの応募を心掛けましょう。また、官公庁のインターンシップでは、教育機関を通じてでないと応募できないものもあります。そういった募集は教育機関の就職課などにしか情報が出ていないケースもあるのでこちらも注意しておきましょう。

5-4.官庁訪問について

官庁訪問とは国家公務員試験合格者が自身の希望する官庁において、業務説明や採用面接を受け内定をもらう仕組みのことです。総合職と一般職では官庁訪問のタイミングや、訪問先に違いがあるため、ここでは総合職の2016年(平成28年)の日程を例に挙げ、選考フローを説明します。

① 第1、第2クール

ここが官庁訪問のスタートです。第1、第2クールは3日間で行われ、この3日間のうち同じ省庁に訪問できる日は1日のみ。2016年(平成28年)は第1クールが8月3~5日、第2クールが8月8~10日の3日間で行われました。必ず第1クールから参加しなければならないという取り決めはありませんが、面接回数などを理由に第1クールから参加する方が良いと一般的に言われています。

② 第3クール

第3クールは2日間で行われますが、仕組みは第1、第2クールと同じ。2日間のうち1日だけ訪問することが可能です。2016年(平成28年)は8月12、15日の2日間で行われました。

③ 第4、第5クール

第4、第5クールはどちらも1日間です。クールが違うので、連日で訪問することもできます。2016年(平成28年)は第4クールが8月16日、第5クールが8月17日で行われました。

④ 内々定

ここで官庁訪問は終わりです。2016年(平成28年)は8月17日の17時が内々定連絡の解禁時間でした。

以上が官庁訪問の選考フローとなります。総合職に比べると、一般職の官庁訪問は少し遅れて始まることが多く、2016年(平成28年)における一般職の官庁訪問は8月22日から始まりました。また、どちらの職にも共通して言えることですが、官庁訪問時は1日に何度も面接をすることがあります。なかには1日がかりで面接を続けるということもあるようなので、心身ともにしっかり準備して臨みましょう。

ここからは、省庁の業務内容や組織体制について詳しくなっていただけるよう省庁に関するあれこれを解説しています。最後まで読んでいただければ、「省庁って?」と聞かれたとき、迷いなく答えられるようになっているのではないでしょうか。まずは省庁という言葉について解説します。

6.省庁とは?

省庁とは?

省庁は、「省」と「庁」をひとつにまとめた言葉で、そのどちらもが日本における行政機関を意味します。行政とは法律に基づいて政治を行う役割のこと。司法、立法と並んで三権とされ、国家権力を行使する権限が一極に集中することを避けるために、日本ではそれぞれ別の機関に役割を持たせています。日本の行政を担うのは内閣。その内閣のもと、行政機関として役割を果たすのが省庁ということになります。

6-1.省庁と官庁はどう違う?

省庁と似た言葉に官庁という言葉があります。省庁や官庁のことをなんとなく分かっているような気がしている人程、このふたつの違いを聞かれると困ってしまうもの。ここではふたつの違いについて考えていきましょう。官庁は国における事務について意思決定し、それを外に向けて表示する権限を持つ国の機関です。行政機関で言うと内閣や内閣総理大臣、各省の大臣、各庁の長官はこの権限を持つので官庁に含まれますが、省庁自体にこの権限があるわけではないので、省庁は官庁に含まれません。イメージとしては官庁より小さな集まりとして省庁があるイメージですが、厳密に言うと省庁と官庁は別のものなのです。

6-2.省庁にはどんなものがある?

省庁と一括りに呼んでしまうことがよくありますが、いったい省庁にはどんなものがあるのでしょうか?日本の行政を担う内閣のもとには様々な役割を持った機関があります。内閣官房、内閣法制局、人事院、会計検査院、1府12省庁。そして、この1府12省庁の中にはさらに特別の機関や外局などと呼ばれる多くの機関があります。ここではその中でも主だった省庁とその役割をご紹介いたします。

① 総務省

総務省の役割は大きく分けて5つあります。情報通信を維持・推進していくこと、地方を活性化するために地方の行財政を管理すること、消防や災害救助を通じて国民の生活を守ること、行政を監視し暮らしやすい社会を築くこと、国にかかわる様々なデータを収集し統計をまとめることがその5つの大きな役割です。国民の暮らしの基礎を支える大切な仕事が目立ちます。総務省の外局には公害等調整委員会や消防庁があり、こちらからも国民の安全な暮らしを支える総務省の役割が垣間見えるのが特徴です。2007年(平成19年)に民営化した郵政事業もかつては総務省が担当していました。

② 法務省

法務省では法にかかわる業務を取り扱っています。法制度の維持や整備、人権の擁護、国の利害にかかわる訴訟など、その内容は様々。日本において法律によって守られる秩序を維持しているのはこの法務省に他なりません。内局には民事局、刑事局、入国管理局など、外局には公安審査委員会、公安調査庁などがあります。法務省の大臣である法務大臣には死刑執行に関する権限や義務もあり、他の国務大臣と比較しても大きな権限が与えられています。また、大規模事件など集中捜査が必要な案件を捜査する特別捜査部(特捜部)は法務省の特別の機関である検察庁の管轄です。

③ 外務省

外務省の役割は、外交を通じてより良い国際関係を築くとともに、それに付随して、日本ひいては日本国民が国際社会の中でさらなる利益を得られるように取り組んでいくことです。具体的な業務としては、外交政策の企画や実施、条約の締結や運用、通商関係における折衝、外交官・領事の派遣や受け入れ、海外で事件や事故に巻き込まれた邦人の保護などがあります。たとえ他の国と陸で面しない島国であっても国際社会の一部として日本が生き抜いていくためには国際関係の調整は必要不可欠です。そういった意味では、外務省は他の省には代わることのできない重要な役割を担っていると言えます。1885年(明治18年)に内閣制度が確立されて以来、外務省は一度も名称変更が行われていない唯一の省です。

④ 財務省

財務省の役割は日本の財源にかかわること全般です。財政の確保、理想的な税制の実現、税関の運営、国庫の管理、通貨価値と為替のコントロールなど、日本の経済をあらゆる面からマネージメントしており、万が一の事態にも最小限のダメージで済むよう、対内的にも対外的にも様々な対策を講じています。やはり最も重要なのは予算に関する業務。内閣に与えられた権利のうち予算を作成する権利については、内閣の中でもこの財務省を中心に行われているのです。また、外局には国税庁を持っており、日本の税はここで一括管理・徴収されています。

⑤ 文部科学省

文部科学省は科学技術、学術、文化、健常者スポーツ(障害者スポーツは厚生労働省の管轄)などを通じて教育や生涯学習を推進し、豊かで創造的な人材の育成を目指す機関です。小学校、中学校、高等学校、大学の振興にかかわる業務、科学技術にかかわる業務、文化の振興、著作権の保護など、学問からスポーツ、芸術に至るまで業務の幅は多岐にわたります。日本ではすべての人に教育を受ける権利が認められていることもあり、厚生労働省と並んで私たちの生活に直接的なかかわりの深い省のひとつです。
文部科学省は外局にスポーツ庁や文化庁を持っています。

※障害者の表記に差別的な意図はなく、法律上及び政府の表記に則ったものです。

⑥ 厚生労働省

社会保障は安全保障と並び、とても大切な国の根幹です。その社会保障にかかわる業務を担うのが厚生労働省。もちろん業務は社会保障だけでなく、社会福祉、公衆衛生、雇用と労働、年金など、「厚生(生活を健康で豊かなものとすること)」と「労働」にかかわる業務はすべて請け負います。他の省に比べると社会的問題に直面しているのもこの省の特徴。年金制度、少子化や高齢化、それに伴った高齢者福祉・介護など、問題は山積みされています。都市部を中心に全国的に問題になっている待機児童。不足する保育所を管轄するのもこの厚生労働省です。外局には労使関係の業務を扱う中央労働委員会を抱えています。

⑦ 農林水産省

農林水産省は食の安定供給や、農業・林業・畜産業・水産業の発展、及びそれに従事する人の福祉など、私たちの食を支える役割を担う省です。生産段階での食の安全に関しては農林水産省が担当しており、そこから加工された食品の安全に関しては厚生労働省が担当しています。2017年(平成29年)現在、いまだニュースを賑わしているTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)。影響が大きいとされる国内の農業・畜産業を守るために何ができるのか、農林水産省の手腕に注目が集まっています。

⑧ 経済産業省

経済産業省は国内の経済や産業を振興・管理する役割を持った省です。鉱物資源やエネルギーの管理も業務としており、電気・ガス・水道といったインフラストラクチャーも経済産業省の管轄となっています。外局に資源エネルギー庁、特許庁、中小企業庁を抱えることからも分かる通り、経済と産業にかかわるあらゆることに幅広い権限を持っているのです。

⑨ 国土交通省

国土交通省の役割は国土の利用・管理・維持、交通政策の推進、気象業務の運用や海上における治安維持などです。陸路・水路・空路すべてにおける運輸や観光政策、災害対策なども国土交通省が担っており、文字通り国土や交通といった建設面でのインフラストラクチャーを総合的に管轄しています。北海道の開発を担う北海道局はこの国土交通省に属していますが、沖縄の当該機関である沖縄振興局は内閣府帰属です。開発にかかわる業務を主とする国土交通省ですから、外交や防衛ともリンクする沖縄開発とは住み分けられていると考えられます。外局に観光庁、気象庁、海上保安庁、運輸安全委員会を抱えています。

⑩ 環境省

環境省の役割には、国内はもちろん地球全体まで含めた環境の保護、温室効果ガスへの対策、有害廃棄物などへの規制、公害への対策や補償など、環境にかかわる様々なものがあります。2011年(平成23年)の東日本大震災後には外局に原子力規制委員会も設けられ、それまでは経済産業省で管轄されていた原子力の安全についても、この環境省で管理されるようになりました。意外なところだと、春になると気になる花粉の飛散量を測定しているのもこの環境省です。

⑪ 防衛省

防衛省は日本の安全を保つために設けられた省です。陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊を管理し、これを運営することで日本の安全を守っています。普段名前を聞く機会が少ない程平穏であると言えますが、最近北朝鮮や尖閣諸島の問題など、防衛省や自衛隊の名前を聞く機会が日常的に多くなってしまっているのが実情です。外局には防衛装備の開発や輸出を担う防衛装備庁を抱えています。

⑫ 国家公安委員会

内閣府の外局。国家公安委員会は国の公安にかかわる警察の運営を行っています。しかし、実質的な個々の案件の処理は国家公安委員会が持つ特別の機関である警察庁が行っており、あくまで国家公安委員会はこれを管理するという立場です。したがって、個々の案件に対して指示・命令・捜査などの権利の行使はできません。警察庁については警視庁との違いがよくクローズアップされますが、警視庁は東京都の警察を指す言葉。言葉としては○○県警などと同格です。また、私たちの生活にも馴染みがある運転免許は国家公安委員会・警察庁交通局が管理しています。

⑬ 宮内庁

内閣府の外局。宮内庁では皇室や国事行為に関連する事務、御璽(ぎょじ)・国璽(こくじ)と呼ばれる天皇・日本を表徴する印章の保管をしています。2016年(平成28年)7月に端を発した生前退位問題や女性天皇・女系天皇の問題など、天皇家にかかわるニュースでは必ず耳にする庁と言っても過言ではありません。

6-3.中央省庁再編

日本では2001年(平成13年)に中央省庁の再編統合が行われました。目的は縦割り行政による弊害をなくすこと、行政の仕組みを簡略化し効率化を図ること、内閣機能の強化などです。この再編によって、それまでの1府22省庁から1府12省庁へとほぼ半減されました。

中央省庁再編前の1府22省庁
  • 府(1)総理府
  • 省(12)法務省、外務省、大蔵省、文部省、厚生省、農林水産省、
    通商産業省、運輸省、郵政省、労働省、建設省、自治省
  • 庁(10)国家公安委員会、金融再生委員会、総務庁、北海道開発庁、
    防衛庁、経済企画庁、科学技術庁、環境庁、沖縄開発庁、国土庁
中央省庁再編後の1府12省庁
  • 府(1)内閣府
  • 省(10)総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、
    農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省
  • 庁(2)国家公安委員会、防衛庁

※1 国家公安委員会は警察庁を特別の機関に持つため、庁として
数えられています。

※2 防衛庁は2007年(平成19年)より防衛省に昇格しました。

6-4.縦割り行政とは?

縦割り行政とは縦のつながりばかりが重視され、横のつながりが軽視された行政構造のこと。これまでの中央省庁の仕組みでは各省庁間で連絡を取ることがほとんどなく、類似したふたつの案件を処理する場合にも、機関が別になることで丸々2倍の手間になってしまったり、たらい回しにされたりということが度々見受けられました。その弊害をなくすことも大きな目的として掲げられていた中央省庁再編でしたが、実際に弊害をなくすところまでは至らなかったのが実情です。

身近なところでは幼稚園と保育所の例があります。幼稚園は学校教育法に基づいた文部科学省の管轄、保育所は児童福祉法に基づいた厚生労働省の管轄です。概要が定められている法律が異なるため、それぞれが別のルールのもと建設・運営されており、幼稚園と保育所が限られた地域に林立するというケースも珍しくありません。2017年(平成29年)現在、待機児童・潜在的待機児童の数は社会問題になっており、この問題は縦割り行政が幼稚園・保育所の林立を認めることで供給過多・需要過多が生まれている弊害であると言えます。その他にも保育時間の違い、必要資格の違いなど、縦割りであることによって起こる様々な弊害がいまだ解消されないままとなっています。

7.省庁の組織図と序列

ここでは省庁の組織図と序列についてお話します。例外を避けるためにこの項において使われる「省庁」は、内閣を構成する12省庁を指すものとします。

7-1.省庁組織図

省庁組織図

各省庁には大臣、副大臣、大臣政務官、大臣補佐官、事務次官といった役職が存在し、これらは省庁ごとに違った名称はあれ、どの省庁にも共通する役職です。省内にある様々な機関とは独立して組織されており、先に名前が出たものほど、高位の役職となっています。その中でも大臣、副大臣、大臣政務官、大臣補佐官の4つは国家公務員特別職として一般職とは区別されており、国会議員から選ばれることが慣例。このことからも分かる通り、公務員として省庁で職務にあたる官僚にとって就任が可能な最高位は事務次官となっています。

事務次官は各省庁の大臣が任命しますが、もちろん各省庁の大臣が独断で決めてしまうわけではありません。任命に先立って内閣による事前承認が必要であり、1997年(平成9年)以降はその閣議決定をするにあたって内閣官房長官と官房副長官3人が参加する「閣議人事検討会議」も設けられています。行政を語る上ではしばしば政治主導や官僚主導といった言葉が使われますが、各省庁に属する官僚が行政を主導すると議論が省益に終止してしまうことも少なくなく、そこが問題視されてきました。その問題を解消するには、内閣がリーダーシップを持って各省庁の官僚の長(事務次官)を選ぶべきという観点から、閣議人事検討会議→内閣による事前承認→各省庁の大臣による任命、と慎重なプロセスを踏んでいるのです。

また、事務次官に選ばれた人間と同期の官僚はその省庁を辞職するといった慣例もあります。しかし、この辞職した官僚たちが無職になっているかと言われると実際はそうではなく、独立行政法人などに天下りをしているといった例も多くあるのです。この慣例によって省庁がスリムアップしているという面はあるものの、重複した退職金の支払いなど、天下りについては多くの問題点が指摘されています。

7-2.省庁には序列が存在する?

結論から言うと、省庁に序列は存在しないことになっています。しかし、毎度恒例となっている組閣時の集合写真や、閣議の席順など、決まった順番で各省庁の大臣が並ぶことも多く、実際には暗黙に序列が存在しているのが実情。いったいどのような順番で並んでいるのでしょうか?

7-3.建制順と呼ばれる並び方

建制順とは書類上や会議などで組織の名称や人物を並べるとき、所属する組織に基づいて組織間であらかじめ決まっている順序のこと。各省庁の大臣の席次は国家行政組織法の中で挙げられている順番に基づいて決めているとされており、これを建制順と明記した法令などは存在していません。しかし、上でも話したように、実際にはいつも決まった順番で各省庁の大臣が並ぶことは多く、この並び順が実質的に建制順とされるのが一般的です。また、建制順は上下関係を反映した順序ではないとされていますが、主要なものほど先に並ぶことが多く、こちらも実質的に「建制順=序列」とされるのが一般的と言われています。

7-4.日本における各省庁の序列

日本における各省庁の序列

それでは日本ではどのような序列で1府12省庁が並ぶのでしょうか?ここではその順番を見ていきます。順番は以下のようになっています。

  1. 内閣府(※1)
  2. 復興庁(※2)
  3. 総務省
  4. 法務省
  5. 外務省
  6. 財務省
  7. 文部科学省
  8. 厚生労働省
  9. 農林水産省
  10. 経済産業省
  11. 国土交通省
  12. 環境省
  13. 防衛省

※1 国家公安委員会は内閣府に含まれる。

※2 復興庁の設置は暫定的であり、2022年(令和4年)までの間に撤去される。

まずは総合的な業務を担う省庁が上位に位置していることに気付きます。建制順では総務的な部局や管理的な部局程上位に来ることが多くあり、古くからある組織程上位に来やすいといった特徴もあるのです。裏を返せば新設された省庁程、下位に位置されるということであり、環境省(2001年(平成13年)の中央省庁再編で環境庁から格上げで新設)や防衛省(2007年(平成19年)防衛庁から格上げで新設)が下位に位置していることからもその一端を垣間見ることができます。

歴代の内閣総理大臣の経歴を見ると、ほとんどが上位の省庁の大臣を経験していることに気付きます。有力な国会議員は各省庁の大臣を歴任する中で、徐々に序列が上の省庁の大臣となり、やがて内閣総理大臣となるケースが多いのです。

8.各省庁の大臣(長官)と国務大臣

各省庁の大臣(長官)と国務大臣

これまで省庁のリーダーを「各省庁の大臣」という言い方で表現してきました。日本語にはこれと似たような領域を指す言葉に「国務大臣」という言葉があります。省庁の組織図と序列の項では、内閣を構成する12省庁に限って「各省庁の大臣」という言い方をしてきましたが、庁の中には内閣には含まれていない庁(宮内庁や海上保安庁など)も存在し、この庁のリーダーは大臣ではなく、長官と呼ばれているのです。この項では「各省庁の大臣」の中に内閣を構成しない庁のリーダーである長官まで含め、解説していきます。「各省庁の大臣(長官)」と「国務大臣」。一見同じ意味とも捉えられがちなこのふたつの言葉の指す範囲にはいったいどのような違いがあるのでしょうか?

「各省庁の大臣(長官)」という言葉は文字通り、〇〇省や〇〇庁といった省庁の大臣や長官のことを指しています。この庁には上でも説明したように、宮内庁や海上保安庁、警察庁、検察庁、国税庁、気象庁、と数えればキリがない程多くのものが存在しているのです。さらに、今挙げたものはすべて内閣を構成する省庁が持つ特別の機関や外局などであり、内閣を構成しているものではありません。「各省庁の大臣(長官)」という言い方をした場合には、この内閣を構成していない庁の長官も含まれることになります。

一方で「国務大臣」という言葉はどのような範囲を意味する言葉なのでしょうか?「国務大臣」は内閣総理大臣、内閣官房長官、内閣を構成する省庁の大臣などを指す言葉です。その中には内閣府特命担当大臣と呼ばれる無任所大臣(特定の機関のリーダーではない大臣)も含まれており、これは「各省庁の大臣(長官)」に含まれるものではありません。

「各省庁の大臣(長官)」と「国務大臣」は概ね同じようなところを指す言葉ではありますが、

  • 「各省庁の大臣(長官)」には内閣を構成しない庁の長官も含まれる
  • 「国務大臣」には特定の機関のリーダーではない無任所大臣も含まれる
  • 「国務大臣」には一般的に省庁には数えられない内閣官房のリーダー、内閣官房長官も含まれる

と覚えておくと良いのではないでしょうか。

8-1.国務大臣はどうやって選ばれる?

前の項で詳しく説明した国務大臣。どのように選ばれているか皆さんはご存知ですか?「各省庁の大臣(長官)」と同義ではないとは言え重なる部分も多く、私たちが生活の中で耳にする機会はこの「国務大臣」の方が多いと言えます。省庁の説明をする上では欠かすことができない国務大臣の選ばれ方をこの項では解説します。

8-2.国務大臣の選ばれ方

内閣総理大臣を除いたすべての国務大臣は、内閣総理大臣によって任命され、天皇によって認証されると憲法に明記されています。認証とは確認し発表すること。これには内閣の助言と承認が必要とされています。しかし、新たに組閣するときや内閣を改造するときにおいては内閣には内閣総理大臣しかおらず、実際には内閣総理大臣のみによって助言と承認が行われているのが実情です。

では、国務大臣はどこから選ばれるのでしょうか?意外と間違っている人も少なくないのがこれ。「国会議員からでしょ?」と思った人は半分正解の50点です。国務大臣は過半数が国会議員でないといけないとされていますが、残りの約半数については文民(次の項で詳しく解説します。)であればどこから選んでも良いとされています。つまり15人の国務大臣を選ぶ場合には、半数に満たない7人までは民間人から選ぶことができ、皆さんにも選ばれる可能性があるということになるのです。

8-3.文民とは?

日本国憲法第66条には「内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない」と規定されています。文民とは軍人ではない人間、職業軍人としての経歴を持たない人間のこと。日本においては現役の自衛官のみを武官(文民ではない者)とする政府見解が一般的であり、元自衛官を国務大臣に任用した例(※)もあります。日本国憲法上、自衛隊を軍と認識するかどうかはしばしば問題になる事案であり、元自衛官を国務大臣に任用したケースでも、それを問題とする声が上がりました。日本国憲法が施行された1947年(昭和22年)5月3日から2017年4月現在までの間、自衛隊出身者が内閣総理大臣になった例はありません。

※2017年(平成29年)4月現在、羽田内閣における永野茂門の法務大臣就任、小泉内閣における中谷元の防衛庁長官就任、野田内閣における森本敏の防衛大臣就任の3例。

8-4.文民統制(シビリアンコントロール)について

ではなぜ内閣総理大臣や国務大臣は文民から選ぶとされているのでしょうか?それには文民統制(シビリアンコントロール)と呼ばれる政治と軍の関係性が大きくかかわっているのです。

一般的に民主主義国家において、軍の最高指揮権は首相や大統領にあります。首相や大統領は国民の代表として選挙によって選ばれており、国民の声を反映した判断をしないようであれば、選挙を通じてその職を追われます。武官は普通、国民の選挙によって選ばれることはありません。もし国民の選挙によって選ばれない武官が軍の最高指揮権を持っていたら。国民の意思のまったく届かない場所で軍が運用されることになり、民主主義の理念とは、ほど遠いものになってしまうと言えます。軍は政治ひいては国民によってコントロールされるべき。そういった考えから日本の政治の中枢である内閣総理大臣(首相)及び国務大臣は文民から選ぶとされています。

8-5.日本の歴史に見る文民統制の重要性

日本に文民統制がもたらされたのは、日本国憲法が施行された1947年(昭和22年)のことです。それまでは軍の最高指揮権は天皇にあると、大日本帝国憲法に定められていました。一方で、当時の内閣や議会は天皇の政治を補助する機関というような位置にあり、政治と軍のお互いが天皇の権限のもと、両腕として存在していたのが大日本帝国憲法下の日本です。どちらかがどちらかをコントロールするという概念は持っておらず、軍は天皇にのみ従うというスタンスを明確に持っていました。当時の議会は貴族院と衆議院のふたつから構成されていましたが、国民の選挙によって選ばれるのは衆議院のみである上、そもそも軍の横暴に議会が干渉できない時代が太平洋戦争終戦まで続いたのです。太平洋戦争開戦への賛否はさておき、戦争における天皇や軍の行動に国民の意思が反映されなかったことは歴史上の大きな問題点であったと言えます。その反省も踏まえ、より高度な民主主義国家における重要な機能として、文民統制は確立されていきました。

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