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W杯ロシア大会のWow!──24日目、フランスとベルギーの快勝

W杯ロシア大会で日々、繰り広げられる戦いを現地で取材するスポーツジャーナリストが、見たり、感じたりした驚きを伝える。今回は、準々決勝の勝利国、フランスとベルギーに注目! 文・了戒美子
W杯ロシア大会のWow!──24日目、フランスとベルギーの快勝
7月6日におこなわれた対ブラジル戦で勝利したベルギー代表選手たち(Photo by Joosep Martinson - FIFA/FIFA via Getty Images)。
エムバペの活躍

準々決勝の1日目はフランスとベルギーが快勝した。フランスと戦ったウルグアイは、フォワード・カバーニの不在が響いたのか全く歯が立たず。驚いたのは日本と互角に見えたベルギーが、ブラジルを寄せ付けず完勝したことだった。なんとなくだが、ブラジルの敗退はいつでもさみしい。前回大会、準決勝でドイツに7対1で敗れたが、さらに1つ手前(準々決勝)で敗れていることになんだか胸がチクっとする。

驚いたことというよりも、今のうちに書いておきたいと思ったのが、フランス代表のフォワード、キリアン・エムバペのことだ。まだ19歳だが、今大会で多くの注目を集めており、現状、5試合3得点と文句ない結果を残している。

筆者が初めて彼を見たのは昨年4月12日、CLドルトムント対モナコ戦だった。だがこの試合、本来予定されていた11日にドルトムントのチームバスが何者かによって爆破され、所属するマルク・バルトラが骨折し試合は翌日に延期された。

爆破の理由がすぐに分からず、テロの可能性も大いにあった(その後の調査で、テロではなかった)。その上で取材するという特別な2日間だった。翌日おこなわれた試合は、会場がドルトムントのホームだったため、どこか同チームに同情的な空気に包まれたが、それを切り裂いたのがモナコに所属するエムバペだった。

若くスピーディ、かつパワフルで“これは捕まえられない”、と思わせる噂通りの存在だった。エムバペはこの試合で2得点を獲得しチームを勝利に導くと、翌週のホーム戦でも先制点を挙げた。そして、シーズンの終わりにはPSG(パリサンジェルマン)に移籍し、出世を果たしたのだった。

今やフランス代表となり、今大会でもっとも注目される“新星"となったエムバペ。だが、彼が注目を集める1年以上前、2試合で3ゴールした姿を私は生で見たのだ! と、ちょっと自慢しておく。

了戒美子
りょうかい・よしこ

1975年生まれ。サッカーをメインにスポーツ全般を取材。ドイツ・デュッセルドルフを拠点に興味次第でどこへでも。「スポルティーバ」(集英社)、「ナンバー」「ナンバーウェブ」(文藝春秋)などに寄稿。