The Hilights of PyeongChang Olympic Games - 02

平昌五輪の名場面、フィギュア米ネイサン・チェンの巻き返し──写真レポート第21回

平昌オリンピックの名場面を写真で振り返るシリーズ。今日は、2月17日のフィギュアスケート男子シングルから。優勝候補と目されたネイサン・チェンが5位となりながら、手を振ったのはなぜ? 文・沖浦裕明(GQ)
平昌五輪の名場面、フィギュア米ネイサン・チェンの巻き返し──写真レポート第21回
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この写真に写るのは、フィギュアスケート男子シングル後半のフリープログラムを滑り終えたアメリカ代表のネイサン・チェン。“キス&クライ”に座り、結果発表の瞬間に見せた表情だ。手を振るかれはどこか安堵したような表情で、観客の歓声に応えている。結果は5位に終わったが、五輪史上初となる5回もの4回転ジャンプに成功し、自己ベストの215.08点を記録したことがもたらしい余裕か。

ネイサンは金メダル最有力候補と言われながら前日のショートプログラムですべてのジャンプに失敗、まさかの17位に沈み、メダル獲得は絶望となったなかでのフリープログラムだった。そこでかれは予定を変更して6回の4回転ジャンプにチャレンジ、うち5回を成功させ、演技後には小さなガッツポーズも飛び出す出来栄えだった。観客も大歓声でかれをむかえた。

米フィギュアスケート男子代表のネイサン・チェン / Photo:ネイサン・チェンのインスタグラム@nathanwchenより

演技後にネイサンは、「正直ショートプログラムは厳しい結果になってしまった。しかし、順位が低かったのでプレッシャーから解放された。1位争いをしている実感はなかったので、自分らしく楽しむことに徹した。観客のために演技して、オリンピックの経験を味わうことを考えました」と話している。

米フィギュアスケート男子代表のネイサン・チェン / Photo:U.S.Figure Skatingのインスタグラム@usfigureskatingより

18歳で出場した初の五輪で起こった悲喜こもごもは、かれにとって貴重な経験になったことだろう。演技と合わせて “キス&クライ”に座ってからのかれの表情の変遷が印象的だった。結果発表前はコーチの激励の言葉に頷きながらも一時も電光掲示板から目を離さなかった。結果が表示されて大歓声が上がってからも、しばらくはその数字を見つめ続けた。少しののちに徐々に顔がほころびはじめ、そしてようやく観客に向かって手を振った瞬間の表情が、冒頭の写真だ。

撮影したGetty Imagesのカメラマンであるハリー・ハウも「この写真は、ネイサン選手の安堵の表情と観客への感謝を表した1枚である。その場所を立ち去るまでかれは、観客に向けてずっと笑顔で手を振り続けていた。その姿を見て、多くのファンを手に入れたに違いない」と語っている。

米フィギュアスケート男子代表のネイサン・チェン / Photo:U.S.Figure Skatingのインスタグラム@usfigureskatingより
米フィギュアスケート男子代表のネイサン・チェン / Photo:ネイサン・チェンのインスタグラム@nathanwchenより
米フィギュアスケート男子代表のネイサン・チェン / Photo:U.S.Figure Skatingのインスタグラム@usfigureskatingより

米フィギュアスケート男子代表のネイサン・チェン / Photo:ネイサン・チェンのインスタグラム@nathanwchenより

米フィギュアスケート男子代表のネイサン・チェン / Photo:ネイサン・チェンのインスタグラム@nathanwchenより
米フィギュアスケート男子代表のネイサン・チェン / Photo:ネイサン・チェンのインスタグラム@nathanwchenより
米フィギュアスケート男子代表のネイサン・チェン / Photo:ネイサン・チェンのインスタグラム@nathanwchenより
米フィギュアスケート男子代表のネイサン・チェン / Photo:ネイサン・チェンのインスタグラム@nathanwchenより