私がお伝えしたいのは、「原発事故をめぐる東京電力旧経営陣の責任」です。
東電の株主が、旧経営陣に対し東電への賠償を求めた裁判で東京地裁は責任を初めて認め、13兆円余りの賠償を命じました。
旧経営陣をめぐっては、2023年1月、刑事裁判の控訴審判決が予定されていて判断が注目されます。
ポイントはこちら、
「賠償金13兆円支払いと刑事裁判の行方は」注目です。
【注目ポイント・記者解説】
福島第一原発の事故から11年、今回の判決では旧経営陣4人に対し国内史上最高とみられる13兆円余りの賠償を命じられました。
審理では裁判長が初めて原発の敷地内を視察するなど異例の裁判となりました。
東京地裁は、東電の旧経営陣について「最低限の津波対策を速やかに実施するよう指示すべき取締役としての注意義務を怠った」と指摘し、初めて、旧経営陣の賠償責任を認める判決を言い渡しました。
賠償額の13兆3210億円の内訳を見ると
●廃炉と汚染水の対策費用=1兆6150億円
●被災者への損害賠償=7兆834億円
●除染と中間貯蔵の対策費用=4兆6226億円
となっています。
13兆円あまりの巨額の賠償について原告団の弁護士は「払えない金額、途方もない金額の支払い命令が出たということが大変な懲罰となる」とコメントしています。
旧経営陣側は、13兆円という高額の賠償を命じられたことから控訴するとみられ今後は控訴審で争われることになります。
双方が控訴せず、今回の判決が確定した場合は、東電が旧経営陣に13兆円あまりを請求することになりますが、現実的に個人4人が支払える額ではなく回収は難しいとみられます。
一方、勝俣恒久元会長ら旧経営陣3人をめぐっては、業務上過失致死傷の罪で強制起訴され一審で無罪判決が出た刑事裁判の控訴審判決が2023年1月に予定されています。
刑事と民事の差はあるものの刑事裁判の一審の判決では、今回の民事裁判と異なる判断が示されていて来年の刑事裁判の判決が注目されます。
(フジテレビ社会部 松川沙紀)