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長澤まさみと坂口健太郎がNetflix『パレード』で噛みしめた、生きることの喜び

Netflix週間映画TOP10で2週連続1位のヒット! 藤井道人監督の最新映画に出演する二人にインタビュー。

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長澤まさみ 坂口健太郎
WAKABA NODA

Netflix映画『パレード』で共演した長澤まさみと坂口健太郎は、現世に未練を残しこの世を旅だった“死者”を演じる。長澤は元報道番組のリポーターでシングルマザーの美奈子、坂口は夢を果たせなかった小説家志望の青年・アキラとして、他の死者たちと心を通わせながら、現世への断ち切りがたい想いを癒していく。映画同様、現場も温かな空気に包まれていたそう。そんな思いやりと希望を感じられるこの群像劇は多くの人の涙を誘い、日本におけるNetflix週間映画TOP10で2週連続1位を獲得(3月13日時点)する反響ぶりだ。

人との触れ合いが希薄な世の中だからこそ、楽しいことをみんなで共有したい―坂口

長澤まさみ 坂口健太郎
WAKABA NODA

――お二人は、2015年の映画『海街diary』以来の共演ですね。6年ぶりの本作で、どんな印象を受けましたか。

長澤 健太郎さんは、本当に気持ちがいい人! 現場では上の人を立てつつ、下の子たちを仕切ってくれていたんですけど、高圧的なところがまったくないんです。『パレード』には、リリー・フランキーさん演じるマイケルという、輪の真ん中で場をまとめる役が出てくるんですけど、健太郎さんは影のマイケルというか。人の見えないところで頑張るタイプですね。

坂口 いやいや、長澤さんこそ、現場でいろんな状況をすべて把握しているのに、そういう感じを一切見せず、細やかに気遣ってくださって。

netflix映画『パレード』

長澤 今回は、お互いに気を遣えて、人の親切心に応えられる人が集まったよね。一緒にいてすごく気が楽でウマもあったし、親戚感がすごかった。当たり前のようにそこにいて、やるべきことに集中できる共演者たちで、みんなが醸し出す和やかさで過酷な撮影も乗り切れたし、撮影地が神聖な場所になっていきました。

坂口 キャスト7人みんなの持っている雰囲気や価値観が似ていたということはもちろんなんですけど、今回は、長澤さんが座長として存在してくれていたことがすごく重要だったと、現場でずっと感じていました。寒くて辺鄙なロケーションという、環境的な厳しさがあって、どうしても疲れやストレスが溜まっていくんですけど、長澤さんはどんなときも凛として立ってくださった。それだけでもう、俳優部のみんなが引っ張られていきました。

長澤 そんなふうに言ってくださって、ありがとうございます!

坂口 「長澤さんがいい影響を与えてくれていた」と太字で書いておいてください(笑)

長澤まさみ 坂口健太郎

――自分が死んだという現実をなかなか受け入れらない美奈子も、アキラをはじめとする“死者”たちと話し、関わり合うことで、頑なだった心が溶けて表情もやわらぎ、前に進めるようになっていきますね。

長澤 やっぱり会話は大事ですよね。相手にどういう言葉を向けるのか、私の苦手分野であり課題でもあるのですが、さっき話題に出た思いやりにしても言葉から生まれるものだと思うんですよね。私自身はどんなことを大切に想っているのか、それをどういう言葉を使って伝えるか。人と交わる中で、私自身が常々大切にしていることです。

坂口 僕はとにかくネアカで、ストレス発散法が人と喋ることなんです。人との触れ合いやコミュニケーションが希薄なこの世の中だからこそ、楽しいことをみんなで共有したい、したらいいんじゃん! って思います。僕の場合、撮影が終わり、お酒を酌み交わしていれば疲れが消えていくので、癒される代謝がすごくいいんでしょうね(笑)。

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生きることにすごく貪欲だったんだって気づいた―長澤

長澤まさみ
WAKABA NODA

――“死者”を演じたことで、ご自身の人生や死生観において、新たな気づきはありましたか。

長澤 私は生きることにすごく貪欲だったんだって気づきました。死というのは、誰にでもいつかは訪れるもので、受け入れることが当たり前で、どこか「しょうがないな」って頭では思っていたんです。でも、現世に未練のある美奈子という役を演じたことで、私自身、まだまだやりたいことがたくさんあるし、全然死にたくないなって思ったんですよね。そう思ったことが自分にとっては意外で、驚きもあったんですけど「まだまだ頑張れるぞ!」と思える自分が見つかって、すごく嬉しかったです。

坂口健太郎
WAKABA NODA

坂口 今、僕らが生きているこの現実と、この映画でいうところの“その先”との狭間に、美奈子やアキラはいるわけですけど、その空間が存在するのだとしたらすごく救われるし、あってほしいなって思いました。生きていれば、大切な人との別れというのは、必ずと言っていいほどあることで、僕自身にも経験があります。亡くしてしまった大切な人が、その狭間で笑ってくれているんじゃないかって想えたら、素敵ですよね。

役の一人ひとりに生きる希望の種が根付き、芽吹いている―長澤

長澤まさみ 坂口健太郎

――『新聞記者』『ヴィレッジ』など、硬派な作品で注目を集める藤井直人監督が、エモーショナルなヒューマンドラマを作りました。監督の演出はいかがでしたか。

長澤 この作品から受ける監督の印象は、おそらく静かな人だと思うんですけど、実際はスポコン的な熱を持っていて、映画やエンターテインメントに対する「俺が変えてやるんだ」という気迫がすごいんです。私も携わってきて感じることですが、映画作りは肉体的にも精神的にも大変な仕事で、そうした熱さがないとやっていけないところがあると思います。

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長澤まさみ 坂口健太郎

坂口 初めてご一緒した『余命10年』のときもそうでしたが、とにかく安心感があります。監督は「この役はこういう人だよね」って決めつけるような話し方はしないんです。役のことなんだけど、まるでお互いの共通の友人について話している感覚なんですよね。「俺にはラブストーリーは撮れない」みたいなことをおっしゃっていましたが、人の感情への理解がものすごく高い方なので、どんなジャンルでも撮れるんだろうなって僕は思っています。

長澤まさみ 坂口健太郎

長澤 藤井監督ほど、生きることに貪欲な人はいないんじゃないかな。『パレード』という作品にも、生きることへの執着の強さを感じて心が動かされましたし、役の一人ひとりに生きる希望の種みたいなものが根付き、芽吹いています。

坂口 リリーさんが演じる映画プロデューサーは、この作品の企画を立ち上げた故・河村光庸プロデューサーとの記憶を重ね合わせているように見えましたし、監督の心の中にある欠片みたいなものを分散させたのが、それぞれのキャラクターだと僕は解釈していました。

長澤まさみ 坂口健太郎
WAKABA NODA

――最後に、いちばん好きな映画を教えてください。

長澤 その都度変わるから、いちばんって難しいんですよね(笑)。今日の自分にとってのいちばんは、ウッディ・アレンの『ブルージャスミン』です。登場人物が滑稽で純粋で、人間の欲と本質が全部染み出ていて面白い! 何回観ても笑えるし、切なくもなって、大好きです。

坂口 好きな映画を聞かれて真っ先に出てくるのは『風の谷のナウシカ』ですね。苦しい世界の中で、逞しくも可憐で美しく生きるナウシカが、子ども心に素敵なヒロインだなって。初めて観てそう感じて以来、何度も繰り返していて、人生でいちばん多く観ている作品です。

photo: WAKABA NODA / TRON management styling: MAHO NONAMI (Masami Nagasawa), TAICHI SUMURA (Kentaro Sakaguchi) hair & makeup: MINAKO SUZUKI (Masami Nagasawa), HIROSE RUMI (Kentaro Sakaguchi) text: SAKIKO KOIZUMI

Masami Nagasawa ドレス¥519,200 イヤーカフ¥104,500/以上フェンディ(フェンディ ジャパン

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これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
『パレード』予告編 - Netflix
『パレード』予告編 - Netflix thumnail
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PROFILE
長澤まさみ 
1987年生まれ、静岡県出身。2000年『クロスファイア』で映画デビュー。2003年『ロボコン』に初主演し、第27回日本アカデミー賞新人俳優賞等を受賞。以降、数々の作品に出演し、さまざまな賞を受賞している。

坂口健太郎 1991年生まれ、東京都出身。2014年、映画『シャンティ デイズ 365日、幸せな呼吸』で俳優デビュー。2023年には初の韓国ファンミーティングを開催した。待機作としてNetflix「さよならのつづき」、韓国ドラマ『愛のあとにくるもの』への主演も決定している。


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