サスペンス好きなら必見！カルト宗教を描いた韓国ドラマおすすめBEST５

父親の友人が社長やってるデザイン会社にコネで入社し、それなりに有能で、金持ちでイケメン！とはいわないけど彼氏イ・ドンフィ（『恋のスケッチ 応答せよ1988』）もおり、父親の後妻である義母は結構金持ちで……てな具合に、最高とは言わないまでも一通りのものはたいてい持ってるアラサー女子チョン・ヨビン（『ヴィンチェンツォ』）。そんな彼女の前に、ある日、宇宙人が現われるんですね。

彼女は実は幼いころに「宇宙人拉致（されたと思ってる）」にあって記憶が一部欠落してたり、宇宙人の幻覚が見えてた時期があたりしてたもんで、またか…と不安になってるさなかに、恋人ドンフィが忽然と失踪。「まさか宇宙人に拉致されたのでは…？」と不安になったヨビンは、ネットでその筋に詳しそうなUFOヲタ集団と接触、そこで中学時代の「宇宙人マニア仲間」だった不良の同級生ナナ（AFTERSCHOOL『キル・イット』）と再会。ドンフィ誘拐の真相を探り始めた二人は、異様な「宇宙人カルト」にたどり着いちゃうんですね……！

先日の釜山映画祭ではネトフリが「宇宙人キャラ推し」でめっちゃプロモーションしてて、確かに3話までは「オフビート的な笑い満点のUFOもの？」って感じですが、4話からUFOをすっ飛ばして、急加速的にカルト宗教化してゆきます。

物語の前半を引っ張るのはヨビンの影響でガチな宇宙ヲタになったナナで、矢追純一っていったら年齢バレますし、若い人にはぜひググってもらって「昭和にはこういうキテレツな人がいたんか」と思ってほしいんですが、まあつまりナナは「矢追純子」状態で、UFOを追いかけてる「Vチューバー」なわけですね。韓ドラでVチューバー出てきたら、とにかく危険に物故んでいくというキャラなんですが、ここに大人になってからUFOとは無縁な生活を送ってて、ただ「自分に宇宙人が見えるのはなぜか？記憶から欠落した断片は何か？」を知りたいだけのヨビンが巻き込まれていっちゃうわけです！ところが後半はこのヨビンが完全にUFOカルトの術中にはまってしまい、とんでもなく「ムー」な展開に。

日本ではあんまり聞きなれない「UFOカルト」ってのは、UFOのカルト的ファンってことではなく、「メシア（キリスト教の救い主）＝宇宙人」っていう考え方が基本にあるようです。ト〇・ク〇ーズが信仰するサ〇エン〇ロジーとかも、宇宙人の話と絡んでたりもします。『グリッチ』が描く宗教団体のベースは90年代中ごろにあった新興宗教「ヘブンズゲート」あたりだろうと思うんですが、地球は仮住まい、肉体はただの入れ物、UFOは魂を救済するためにやってくる！っていって、集団自殺してるんですね！つまり、そういうめっちゃヤバい！でもでも笑いもたっぷりなんでご安心ください！

※Netflixにて独占配信中。

借金で家を失い、一家で片田舎の町ムジ郡に引っ越してきたソ・イェジ（『サイコだけど大丈夫』）。彼女には脚の不自由な双子の兄がいて、転校した高校でめちゃめちゃいじめられるわけですが、これを救ったのが、イェジにちょっと気があるオク・テギョン（2PM、『ヴィンチェンツォ』）と、その親友ウ・ドファン（『私の國』）のコンビ。

イジメっ子たちは「地方のお坊ちゃま」なんだけども、テギョンは郡守（市長みたいな）の息子、つまり「地方のプリンス」で、その力関係でその場は収まる。わけですが！でもでもイジメは密かに続き、その一方で「選挙前に面倒にかかわるな」といわれたテギョンは、へたれお坊ちゃまゆえに腰が引けてきちゃうわけです！でもって、ある日、屋上でそりゃもうこっぴどい目に遭っていた兄妹を救ったのが、どうでもいいいけど私の愛する野良犬ドファンなんですね！でもこれをきっかけに、ドファンは刑務所に、兄は自殺、イェジの家庭は完全崩壊し、その救いを求めた父親は、教祖チョ・ソンハ（『ナビレラ それでも蝶は舞う』）率いる新興宗教「救済船」にどんどんのめり込むわけです。

でもって3年後、ソウルで法科大生やりながらある問題起こして故郷に戻ったテギョンは、救済船に母親を人質に取られて「霊母様」として教祖との結婚を強いられそうになってるイェジの状況を知ることに！でもって出所したドファンと一緒に、彼女の救出作戦が始まるわけです！見どころとしては、「絶対つぶす！」と憎しみたぎらせるイェジと、火中の栗拾って無鉄砲な潜入に挑むドファン、さらにここに潜入取材やってるチョン・ヨビン（『ヴィンチェンツォ』）、三つ巴の教会内のハラハラドキドキサスペンスがメインなんですが、何がすごいってやっぱりイェジなんですね！

そのへんの美人女優とは違う「梃子でも動かねえ」って感じのイェジの頑なさは、外から見ると「この女はイカレてるんじゃないか」と見えてしまう、その辺の塩梅が新興宗教の「霊母」さまにぴったり。教祖を欺くために「今日は私が祈祷を」という場面があるんですが、この場面の「ヨーデル」めいた祈祷の様子とか、見てたドファンは「もしかしてマジで霊母様になっちまったんじゃあ…？」と不安になっちゃうんじゃないのってな憑依ぶりで、ここみなさんに是非見てほしいです！

主演のテギョンは…ええと、ファンの方すみません、影薄っ！金と利権で教祖と結託してるパパをいつまでも信じてるぼんくらお坊ちゃまか！って感じで、危ないとこ全部ドファンがやってるのに、イェジがテギョンにありがたがる意味が分かんないんですけど！私がドファン好きだから、ってだけではないはず！でもこのユルさがテギョンの魅力ってのもわかる！そして撮影が進むにつれて、どんどんぷくぷくしてくるのもご愛敬！ちと大き目のくまちゃん系のテギョンが好きな方には、その辺も楽しんでいただけるんじゃないでしょうか！

さてこのドラマを見て何がびっくりって、日本で今話題の例の教会がやってきた様々なやり口と、めっちゃ似てるってこと！お前、何ライターなんだよって話ですが、最近その界隈の人に取材した話と照らし合わせると、正体を言わずに駅前アンケートで勧誘とか、ステージ上げるために合宿（献金必須）とか、お父さまが触れた（顔とか足を洗った）水は霊水（ドラマではご飯にかけて食べる）とか、嘘ついてるように見えるけどこれは「救済のための作戦」とか、祝福（結婚）で教祖と性交渉することも！とか、いやほんとマジで！「このモデルがあの教会！」ってことじゃなくて、つまるところカルトってどれもこれもやることは似てるってこと！ちなみにこのドラマのムジ郡（ムジ市）は架空の場所ですが、会話の中には大邱（テグ）が何度も出てきて、近いのかな～、そのイメージかな～なんて思いますが、コロナ禍で集団感染出した新興宗教の教会が、まさに大邱です！ってのが今日のプチ情報！

※U-NEXTにて配信中

ソウルのど真ん中に突如、三人の謎の黒いマッチョ巨人が現れ、超高熱で人間を焼き殺すという事件が勃発。怪しげな新興宗教「新真理会」の議長ユ・アイン（『ソウル・バイブス』）は、世界各地で起こるこの超常現象を「試演」と呼び、「被害者は過去に罪を犯した罪人で、神が直接的な方法で地獄を見せたのだ」「正義感をもって生きろ」とか言って、急激に信者を増やしていくわけです。

この現象は、実は天使からの「宣告」っていうのと１セットなんですね。つまり不特定の人の前にでっかい顔だけの幽霊みたいのが現れて「お前は〇月〇日〇時〇分に死ぬ」とか言ってきて、その時間になると謎黒３マッチョが現われる。そこらじゅうでそういうことが起こるわけですが、鬼畜のアインは信者を増やすために、宣告を受けたあるキム・シンロク（『ナビレラ　それでも蝶は舞う』）に「金払うから生中継させてくれ」と提案。生活苦のシングルマザーであるシンロクは「二人の子供にいくばくかでも残せるなら…」とこれを了承し、衝撃の殺戮ショーが全世界生中継されちゃうわけです！

でもってこの契約をシンロク側の代理人として仕切ったのが弁護士のキム・ヒョンジュ（『家族なのにどうして』）。彼女は教団に逆らう連中をボコボコにしてる狂信者集団「矢じり」によって、「罪人女を守る極悪弁護士」として殺されかけ失踪。でもって数年後、教団は世界人口の半分を信者に持つ、すごい勢力になっていくわけです。

ところが！実はこの「謎黒3マッチョの処刑」は天罰でも何でもなく、「たまたま雷が落ちた」とかそれ系の天災みたいなもので、教祖アインはそれを最初から知ってたんですね。ただ「自分の理想の世界を作るため」に、これを利用しただけだったんです！つまり宗教ってのは太古の昔から、例えば日食とか日照りとか大洪水とか、人間の力でどうにもできない「なんで私がこんな目に？！」という理不尽な現象を利用して、人々の心を恐怖で操ってきたわけです。ようわからん！怖い！理由を知って落ち着きたい！解決するために何をしたらいいか教えてほしい！ってところに、「神のご意志」とか「先祖の因縁」みたいな言葉を注入していくんですね！

ちなみにこのドラマ、なんとなく３話ひとくぎりで、アインの嘘が発覚するのが第3話のラスト、第６話のラストには、これまた衝撃的な、ええええええ！というSFホラー的展開があり、シーズン２は来年配信！でも「正義、正義っていうやつが一番危ない」とか「徹頭徹尾金儲けの宗教の上のほうの人」とか「テレビ局とか警察まで入り込んでる」とか「神（上）の人が言う正義を振りかざして、許可得たみたいに暴力とか中傷とかするクソみたいな連中の存在」とかこれどこかで、っていうかめっちゃ近くで、聞いたことある話ばっかりじゃんか！という展開に戦慄します。怖いのは謎黒３マッチョじゃありません！謎黒３悪人の重量感あふれる映像、ヌメっとキモいユ・アイン、手持ちカメラ１カット（風）で見せるアクションとか、見どころもいっぱい！

※Netflixにて独占配信中。

主人公のキム・ソヒョン（『MINE』）は、高校時代に「聖痕連続殺人事件」で親友を殺されてるんですが、20年後、刑事になった彼女はその事件を追っているんですね。その理由は、ひとつは殺される直前の親友からの電話を面倒くさくてスルーしちゃっており、「もしかして自分が電話に出てたら救えたんじゃないか」という罪悪感を引きずってること。もうひとつは事件後に、親友の電話をつかって犯人から電話かかってきて「これが最後の事件だし、俺は絶対に見つからないから」とか言われて、「探し出して絶対に殺す」と言い返したわけです。

ドラマの何がすごいって、19年ぶりに新たな被害者が出た第一話のラストで、「聖痕殺人事件」の犯人がわかっちゃうんですね。でもって彼女は「この事件が解決したら刑事をやめる」とか思ってたわけですが、聖痕殺人の終結の忙しい中で、今度は幼いころから可愛がってきた近所の中学生アン・ジホ（『いま、私たちの学校で』）がホテルの屋上がから墜落するって事件が起こっちゃうんですね。でもってこの子が、やっぱり事件の寸前にソヒョンにかけた電話を、彼女はスルーしちゃってるんですね。

同じ罪悪感に苛まれたソヒョンは「今度こそ、この事件が最後」と、意識不明のまま眠るジホの事件の真相を追いはじめるわけですが、そこに「新生命教団」という怪しげな新興宗教団体が現れ、さらに解決したと思っていた「聖痕連続殺人事件」が深くかかわっていることが分かってくるんです～！！

これ私が2021年に見たドラマで一番面白かったといっても過言ではない、めっちゃ面白いサスペンスなんですけど、もうぜんぜん先が読めないんですね！でもマクチャンみたいなめちゃくちゃな感じじゃなく、伏線が巧妙に張り巡らされてる系です！

でもってラストには宗教のうそっぱちぶり、ほんとに宗教は人を救うのか？！みたいなものが見えてくるわけですね。『誰も知らない』って是枝裕和監督の映画のタイトルで、あれネグレクトの話だったと思いますが、このドラマもある意味ではネグレクトの話であって、そういう子供たちに対し「助けてあげる」と近づいている宗教が、全然救ってないやんけ！という話になっております！ラストに私は号泣してもうた！一度見始めたら止まらないんで、是非連休とかに一気見していただきたい！