刃巾の狭い細長い「オノ」を斧、刃巾が広く片側がくびれている「オノ」を鉞と呼びます。斧は大きく切斧と割斧とに分けられます。切斧は木材を横方向に切る、伐採・切断用の道具で、刃が薄く木に食い込みやすい形をしています。割斧は木材を縦方向に打ち割る道具で、刃が厚く楔のような形をしています。切斧、割斧とも主に杣仕事に使われます。柄の短い小型の斧は小割斧と呼び、材を小割にする時に使用します。

斧の刃は両刃である。切斧のヒツ(柄を差し込む穴)には長方形の並ヒツ、台形の信州ヒツ、楕円形の丸ヒツの三種頬の形があり、地域によって好まれるヒツの形が異なる。下図は右から紀州型、信州型、土佐型と呼ばれ、その周辺地域で使用される(図1)。斧は地域によって「ヨキ」「セバ(狭刃)」などと呼ばれることもあります。



▲図1 ヒツの違い

鉞は、主に材木の側面をはつり(削り落す)、角材に仕上げるのに使用します。柄の長い大型のものと、柄の短い小型のものとがあり、後者は大工鉞と呼ばれます。大型の鉞は主に杣仕事に、大工鉞は大工の荒仕事や、木っ端を割って楔を作る時などに使われます。

鉞は、使用される地域によって伝統的に好まれる形が異なっています(図2)。かつては使われる各地域でその形が造られていましたが、現在では刃物産地で作り分けられた形が、それぞれの地域に出荷されています。鉞は斧と同様に両刃であるが、土佐大鉞だけは片刃で、右用と左用とがある。鉞は地域によって「ハツリ」「ハツリヨキ」「ハビロ」などとも呼ばれます。

斧や鉞の刃の裏表に線が刻まれていることがあるが、これは虎よけの印とも、御酒や五穀を表し神への祈りの気持を意味しているともいわれています。

斧や鉞は、自重を利用して振り下ろして使用する道具であるため、その大きさは刃幅ではなく、重量で表します。柄には、主として堅くて粘りのあるカシが使われます。



▲ 図2 鉞の型



▲ 各種斧 上から割斧、切斧、切斧、小割斧



▲ 各種鉞 上2点鉞、下2点大工鉞

 
  • ※ 本ページの内容は『竹中大工道具館収蔵品目録第6号-槌・斧・釿・その他の道具篇-』の解説を抜粋したものです。
  • ※ 品名は、主に関西で用いられている道具名称を参考にして当館で用いられている統一名称によっています。地域や研究者によって道具の名称はことなることがあります。

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