有名局アナが異業種へ続々転職…TBSでアナウンサー人生を貫いた「吉川美代子さん」が語る“昔と今の違い”

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 テレビ局を中途退職したアナウンサーが、フリーアナではなく異業種に転職するケースが増えている。狭き門をくぐり抜け、せっかく憧れの職業に就いたのに、なぜそのような選択をするのか。定年を迎えるまでTBSの局アナをまっとうした吉川美代子さんに聞いた。

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 日本テレビでは桝太一アナ(41)が昨年3月末をもって退職し、アナウンサーの仕事は続けつつも、同志社大学ハリス理化学研究所の助教に就任した。同様に、篠原光アナ(28)は今年3月いっぱいで退職し、今後は「eスポーツ関連の仕事」に挑戦するという。

 テレビ朝日では富川悠太アナ(46)が昨年3月に退職し、トヨタ自動車へ転職。同年12月からはトヨタの広報動画「トヨタイムズニュース」のキャスターを務めている。

 TBSを昨年12月末に退職した国山ハセンアナ(32)は、映像プロデューサーとして株式会社PIVOTと契約、タレントとしてユニクロのCMにも出演している。

 他にも、2021年12月にテレ朝を退職した大木優紀アナ(42)は旅行代理店へ転職。同年5月にテレビ東京を退職した森本智子アナ(45)は、芸能事務所セント・フォースに所属しながらヘルスケア関連の事業を起業した。

 局アナが続々と異業種へと転職するこうした状況を、大先輩である吉川さんはどう見ているだろうか。

吉川:放送業界自体に魅力がなくなってきたことに加え、アナウンサーという仕事を一生かけて苦労してやっていく価値があるのかと考えた結果、将来性があまりないと感じて辞めていくということではないでしょうか。

――それでも、狭き門をくぐり抜け入社したアナウンサーだ。

吉川:民放キー局は各社が毎年2~3人しか採用しませんからね。本当にもったいないと思います。

――アナウンサーは華のある仕事ではなかったのだろうか。

フリーを選べない時代

吉川:アナウンサーの技術を制作側が求めなくなったのではないか、プロとしてのアナウンサーはもう必要とされていないのかもしれません。例えば、NHKでさえドキュメンタリー番組のナレーションを、アナウンサーでなくタレントさんがやることが増えています。

――アナウンサーの仕事が減っているということだろうか。

吉川:番組のMCをお笑い芸人さんがやることが増えましたからね。とはいえアナウンサーには、イベントの司会、ネット配信、BSやCSの番組、局が関わっているミュージカルや映画などの記者会見の仕切りをはじめ、仕事の幅は広がっていると思います。ただ、そういう仕事があっても、自分がやりたい番組をアナウンサーじゃない人がやってしまうことについて悩む人は昔からいました。今は「だったら他で活躍しようかな」とあっさりと見切りをつける人が増えているということでしょう。会社を辞めることにそんなに抵抗がなくなっているように思います。それはテレビ局に限らず、どの業界でもそうなのでしょうけど。

――アナウンサーを続けたいと思っても続けられない事情もある。

吉川:TBSに限らず、どこのテレビ局も定年までアナウンサーという仕事をやれなくなっています。ある程度の年齢になると、他の部署へ異動になってしまうんです。それでもアナウンサーの仕事がしたくてフリーになっても、よほどの人でない限り1~2年で消えてゆくことが少なくない。そういう状況を見ていると、フリーになるのもどうかと考え、異業種を選ぶのかもしれません。

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