宮史郎さん歌手魂…危篤状態で歌うしぐさ

 「ぴんからトリオ」のメンバーとして活躍し、19日に多臓器不全のため神奈川県内の病院で亡くなった歌手の宮史郎さん(享年69)に対し、訃報から一夜明けた20日、「殿さまキングス」の元メンバーで親友だった歌手・宮路オサム(66)、こまどり姉妹ら芸能界の仲間から悲しみの声が寄せられた。

 宮路は、本紙の取材に「ただただ残念です」と悲しんだ。12日に病院を見舞った際、危篤状態の宮さんが歌うしぐさをしたと明かし、歌手活動への強い執念に胸を打たれていた。

 かけがえのない親友は、最期まで“歌手魂”を貫いた。67年のデビューからライバル、仲間として同じ時間を過ごしてきた宮路が、宮さんへの思いを明かした。

 危篤を知ったのは12日だった。宮さんの家族から連絡を受け、病院に駆けつけると、酸素マスクをつけた宮さんが横たわっていた。宮路は、宮さんの手を握りながら「史郎ちゃん、お客さんが君の歌を待ってるぞ!宮史郎よ、よみがえれ!」と大声で呼びかけたという。

 宮さんは言葉を発することはできなかったが、足をバタバタさせ、ナースコールのボタンをマイクのように握り、歌うしぐさを見せたという。その後、一時は透析治療ができるまでに回復。宮路は「ステージにいると思ったんじゃないでしょうか」と振り返り、宮さんの心を代弁した。

 体調不良は長期にわたっていた。7年前のコンサートでは、曲のイントロから歌い始めまでに、ステージ袖から中央にたどり着けないこともあったという。宮路は、今年に入って本人から「来年、宮史郎はいないかもしれない」と打ち明けられた。2度大病を克服した宮路は気持ちが痛いほど分かった。また、「もしも、ただ生きてるだけの人間になってしまったら、延命治療を反対してくれ」と懇願されたというが、「ご家族には言えませんでした」と憔悴(しょうすい)しきった声で話した。

歌い継ぐ 「『宮オサム』とか『Wミヤミヤ』でデュエット曲を出そうかという話もしていた…」。長年、苦楽をともにした盟友を思う宮路は「『女のみち』は要望があれば、僕が歌っていきたい」と宣言した。宮さんをスターにした400万枚の大ヒット曲。歌手であることにこだわった友の分まで、ステージに立つ覚悟を決めている。

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