1月1日(現地時間)より米HBO Maxで配信された特別番組『Harry Potter 20th Anniversary: Return to Hogwarts(原題)』。同番組では、『ハリー・ポッター』シリーズに出演した主要キャストたちが思い出を語り合い、主演を務めたダニエル・ラドクリフはスネイプを演じた故アラン・リックマンの秘密を明かした――。

ハリーの名付け親でもあるシリウス・ブラックを演じた俳優ゲイリー・オールドマンと対談したダニエル。そこでゲイリーは、「撮影中に全体像を把握しておきたかった」と語り、主人公を演じたダニエルは他の俳優よりも深い理解を持っていたのではないかと質問。

これに対しダニエルは、役の一番の理解者は自分ではなくてセブルス・スネイプを演じたアラン・リックマンだと回答。また、同作品の最初の2作を撮影する段階で、アランは自身が演じるスネイプにこの先何が待ち受けているかを知っている人物の一人だったと明らかに。

「彼はとても早い段階で、作者のJ.K.ローリングに『何が起こるか知る必要があると思う』と言ったんです」
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さらにダニエルは、アランは同作品の1作目と2作目の監督であるクリス・コロンバスを含め、撮影現場でこのことについて誰にも言わなかったとも告白。クリス監督がアランにスネイプをどう演じるかと尋ねると、「後で話すよ」とも言っていたという。

2011年の<ロサンゼルス・タイムズ>のインタビューで、シリーズ第1作『ハリー・ポッターと賢者の石』が公開された当時、J.K.ローリングはまだ3作しか書いていなかったにもかかわらず、スネイプが「二重スパイ...それも非常に優秀」だと最初から考えていたと語ったアラン。

けれど名優であるアランがスネイプを演じることになるのには、一筋縄ではいかなかったよう。昨年11月には、クリス監督がアランをキャスティングするために何度も説得をしたと明らかにし、同作品の制作にまつわる苦労を告白

「プロデューサーのデヴィッド・ハイマンと私は、かなり長い間、英国人俳優たちのディナーツアーをしなければならなかったのを覚えています。リチャード・ハリスやマギー・スミスを説得するため、一緒に食事に行ったりしました」

「アラン・リックマンも同じで、特に『ダイ・ハード』や『ロビン・フッド』に出演した後だったので、悪役として型にはめられるのが嫌だったようです。出演することに対して渋っていましたね」
「私たちは彼を説得し、J.K.ローリングが彼をディナーに連れ出し、シリーズを通して、そして原作の7作目でスネイプに何が起こるかを彼に伝えたようです。だから撮影現場で彼は細かな演技をしていたけれど、それがどこからきているものなのかが分からなかったんです」

「撮影が終わってから彼のところに行き、『あれは何だったんだ?』と言うと『7冊目を読めば分かるよ』と言うんです。でも私からしたら、『そうなのかもしれないけど、今はそれだと困るんだ。だって1作目から監督をしてるんだから…』って感じでしたよ」

また2016年、J.K.ローリングはダンブルドアがスネイプに「今でもリリー(ハリーの母)を愛しているか」と尋ねた後、彼が「always.(日本語版では"永遠に")」と答えた言葉の意味について教えていたとTwitterで明らかに。キャラクターをよりニュアンス豊かに理解してもらうためにアランに伝えたという。

さらに『ハリポタ』公開20周年を記念した同窓会スペシャルでは、このセリフを最後のシーンに使用することで、2016年に69歳で亡くなったアラン・リックマンにさりげないオマージュを捧げた――。

同シリーズの始めからセブルス・スネイプというキャラクターを深く理解し、演じ続けたアラン。そんな彼だからこそ、多くの人の心を掴んだのかもしれないですね。