北朝鮮で最も高い建物は、一度も宿泊客を受け入れたことのない廃墟ホテル

• 北朝鮮の平壌にある柳京（リュギョン）ホテルは、世界で最も高い無人ビルの一つだ。
• ｢滅びのホテル｣とも呼ばれるこのホテルは、1987年に建設が開始されたが途中で何度も建設が中断されている。
• 高さ330メートルのホテルの表面には、光のショーに使われるLEDスクリーンが設置されている。

平壌にある北朝鮮の柳京（リュギョン）ホテルは、高さ1080フィート（約330メートル）の世界で最も高層の無人ビルの一つだ。

105階建てのこのホテルは、｢滅びのホテル（Hotel of Doom）｣とも呼ばれ、1987年に平壌で建設が始まったが、北朝鮮の経済問題のために中断されている。

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柳京ホテルは1987年に平壌で建設が始まったが、北朝鮮の経済問題のために中断されている

1991年にソ連が崩壊すると、北朝鮮は主要な貿易相手国と援助源を失い、経済危機に陥った

1992年には予定の高さに到達したが、内部は未完成のままだった

柳京ホテルは105階建てで、105ビル（105 Building）と呼ばれることもある。

今日に至るまで、柳京ホテルは一人の客も受け入れたことがない

外国人観光客を嫌う北朝鮮だが、平壌には機能的なホテルがいくつかある。柳京ホテルが完成するまでは、羊角島（ヤンガクト）国際ホテルが市内最大のホテルだった。また龍江（リャンガン）ホテルは最も高級なホテルとして広く知られている。

ピラミッド型のこのホテルは、数マイル先からでも平壌のスカイラインを支配している

オンラインマガジン｢アトラス・オブスキュラ（Atlas Obscura）｣によると、建物上部で結合するの3つの部分は各328フィート（約100メートル）の長さがあるとう。

ビル最上部の8階分の円錐形には回転レストランが入るはずだった

円錐形の部分もホテルの他の部分と同様に空っぽのままだ。

2008年、窓ガラスやパネルがホテル全面に取り付けられるなどの外部工事が再開された

ロイター通信によると、エジプトの建設請負業者であるオラスコム（Orascom）のグループ会社がこのプロジェクトを引き継ぎ、2008年に建設を再開したという。

2008年に韓国メディアの情報を引用してロイター通信が報じたところによると、柳京ホテルを最後まで完成させるには推定20億ドル（約2790億円）かかるという

アメリカ中央情報局（CIA）の｢CIAワールド・ファクトブック（CIA's World Factbook）｣の最新データによると、北朝鮮の国内総生産は約400億ドルなので、このビルの完成費用は、北朝鮮全体のGDPの約5％ということになる。

北朝鮮はこの建物の別の用途を見つけている

北朝鮮は、2009年のメーデーを柳京ホテルを囲む花火で祝った。

芸術団のパフォーマンスをドラマチックに演出する背景として柳京ホテルは役に立っている

芸術団のパフォーマンスには通常、プロパガンダのメッセージが含まれている。北朝鮮は、2018年に韓国で開催された冬季オリンピックに芸術団を派遣した。

10万個以上のLEDのスクリーンにプロパガンダ・メッセージを表示することもできる

2018年、照明デザイナーのキム・ヨンイルは、政治スローガンと党のシンボルで構成された光のショーを制作した。AP通信によると、このショーは毎晩数時間、建物の表面に映し出されたという。

まだ建物自体に電気が通っておらず、完成予定日も決まっていないが、建設が進んでいることを示す新たな兆しが見られている

金日成大学の韓国文学の修士課程に在籍していたオーストラリア人学生のアレック・シグリー (Alek Sigley) は、2019年6月、ホテル正面玄関上にある新しい看板についてツイッター（Twtter）に投稿した。同年7月、シグリーは北朝鮮当局に、国家に対する ｢スパイ行為｣ を行ったと訴えられ、1週間拘留された後、釈放された。

｢滅びのホテル｣の異名に恥じない存在

CNNによると、このホテルの｢柳京｣という名前は｢柳の都｣を意味する平壌の歴史的な名前に由来しているという。

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