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テスラの強さ際立つ、世界EV市場レースでドイツ勢突き放す

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  • テスラの上期実績、ドイツ大手4社の合計EV販売台数を上回る
  • 独メーカー最大の脅威、ガソリン車で王座を握った中国での地盤沈下
テスラのドイツ工場開設式に出席したイーロン・マスク氏(2022年)

テスラのドイツ工場開設式に出席したイーロン・マスク氏(2022年)

Photographer: Pool/Getty Images Europe

ドイツの自動車メーカーはここ数年、電気自動車(EV)への大転換を掲げ、米テスラに対抗する姿勢を鮮明にしてきた。ところが、その狙いとは裏腹にテスラにさらに水をあけられている。

  テスラの上期納車台数は約89万台となり、フォルクスワーゲン(VW)と、BMWメルセデス・ベンツグループ、ポルシェ・オートモービル・ホールディングの合計EV納車台数を上回った。

 

Tesla’s Electric Vehicle Lead

Carmaker sells more EVs than German three combined

Source: Company statements

Note: VW Group includes Porsche, Audi and other brands.

  ドイツ勢はソフトウエアの問題で主要モデルの発売が遅れ、最大市場である中国で販売不振に陥る要因となっている。中国ではテスラや同国のEVメーカートップの比亜迪(BYD)が大きくリードする。ドイツ勢は国内のEV市場においても、テスラの背中を追う。今週は独自動車メーカーの決算が相次ぎ、26日にはポルシェ、27日にはメルセデス・ベンツとVWが続く。

Tesla Tops Germany’s EV Rankings

Beating German brands in their home market

Source: German KBA motor agency

 

  ハンブルク近郊を拠点とする自動車アナリストのマティアス・シュミット氏は、「テスラは依然、すべての主要市場において、独自動車メーカーをはるかに上回っている」と指摘。その上で、ドイツ勢は「EV事業の採算確保に必要なスケールメリットを達成するため、販売台数を増やす必要に迫られている」と述べた。

  ドイツ勢はこれまで、地元のサプライヤーが提供する数百に上る高品質の部品に支えられ、ガソリン・ディーゼル車の生産を完璧なものにすることで繁栄を手にしてきた。だが、EVシフトでバッテリーが取って代わり、技術を通じた業界発展に急ブレーキがかかった。

  独自動車メーカーにとって最大の脅威は、中国で存在感が薄れていることだ。VWと、BMW、メルセデスは数十年にわたり、中国のガソリン車市場で支配的な地位を築いてきたが、足元では消費者の好みにあった技術やソフトウエアを搭載し、価格も手頃な中国勢のEVに後れをとっている。

  中国では2030年までに市場全体の9割をEVが占めると予想されており、独自動車メーカーにとって競争力のあるEV投入は喫緊の課題だ。

 

原題:Tesla Is Lapping Germany’s Automakers in the Global EV Race (1) (抜粋)

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