南北首脳会談 北朝鮮メディアは「歴史的」と称賛
北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)は28日、27日に開かれた韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の首脳会談を初めて報じ、「歴史的」で、両国が共に繁栄する道のりの「新たな節目」だと称賛した。
KCNAは共同宣言の全文も報じた。
南北首脳会談については、米国と中国も歓迎を表明している。
文大統領と金委員長は27日の首脳会談で、「完全な非核化を通じ、核のない朝鮮半島を実現する」との共同宣言に署名した。
両首脳はさらに、1953年の休戦協定で終わった状態になっている朝鮮戦争を正式に終結する平和条約について、年内締結を目指すと発表した。
共同記者会見後に開かれた晩餐(ばんさん)会で金委員長は南北関係の進展を歓迎し、「悪夢のようだった南北の凍りついた関係に別れを告げる。そして暖かい春の到来を世界に宣言する」と述べた。
合意内容
同日午後6時に始まった共同記者会見で、文大統領は「金委員長の英断に敬意を表する」と述べた。金委員長は、「新たな時代を切り開かなくてはならない」と語った。
金委員長は、両首脳が緊密に協調を重ね、過去に前進のプロセスが「途絶えて」しまった「不幸な歴史」が繰り返さないように確実に努力していくと話した。
「これから反発も困難も苛立ちもあるかもしれない」と金委員長は述べつつ、「痛みなくして勝利は得られない」と付け足した。
非核化の具体的な実現方法は提示されていない。北朝鮮が示す積極的な融和姿勢に、多くの専門家は依然として疑いの目を向けている。
両首脳は、文大統領が今年秋に平壌を訪問することでも合意した。
共同で出された「板門店宣言」の主な内容な以下の通り。
- 南北双方の「敵対行為」をすべて停止する
- 政治宣伝放送を5月1日をもって停止し、非武装地帯を「平和地帯」に改称
- 軍事的緊張の緩和をもって軍縮を実施
- 米中を含めた外交交渉の推進
- 離散家族の再会事業を実施
- 南北を結ぶ鉄道と道路の建設と改修
- 今年予定されるアジア大会を含むスポーツ行事への共同参加の継続
中国と米国の反応は?
中国外務省は南北首脳の「勇気」を称賛し、会談が朝鮮半島の長期的な安定につながることを期待すると述べた。
ドナルド・トランプ米大統領はツイッターで、「良いことが起きている」と南北合意を歓迎した。
トランプ大統領と金委員長は近く首脳会談を行う予定。トランプ大統領はワシントンで、会談の候補地が2カ所に絞られたと明らかにした。また、北朝鮮の指導者に「手玉」にとられたりはしないとの決意を表明した。
トランプ氏は、「我々は解決策を見つける。そうでなければ(会談の)席を立つ」と述べた。
米中央情報局(CIA)長官として3月末から4月初めに金委員長と極秘で会談したマイク・ポンペオ国務長官は、金委員長が非核化に真剣だという印象を受けたと語った。
国務長官就任直後に出席した北大西洋条約機構(NATO)外相会談の席でポンペオ氏は、「トランプ大統領が主導して行われた世界的な経済圧力が、交渉の席に着いて非核化を話し合うのが得策だと、彼(金委員長)に確信させた」と述べた。