核兵器を持つ米英仏中ロの5カ国が「核戦争回避」の重要性を確認した共同声明を出したことについて、広島県原爆被害者団体協議会の佐久間邦彦理事長(77)は4日、「(核兵器廃絶を望む)我々の運動が大きな力になり、それに押されたと思う」と一定の評価をした。
原水爆禁止広島県協議会が広島市内で開いた核廃絶に向けたイベントのあいさつで語った。
佐久間さんは取材に対し、「核抑止力が世界平和に必要だという(核保有国の)考え方は変わっていない」と指摘した。そして核保有国に対し、「声明を出しただけでは核戦争はなくならない。核軍縮をいかに進めていくか、具体案を示して踏み込んだ議論をしてほしい。米中関係や米ロ関係が冷え込んでいる今だからこそ、対話が必要になる」と求めた。
その上で「非核保有国も声明を生かすよう(核保有国に)迫るべきだ」とし、「我々にできることは、いかなる状況でも核を使わせないよう運動していくことだ」と強調した。
イベントは、この日開幕するはずだった核不拡散条約(NPT)再検討会議に合わせて予定されていた街頭活動の一環。会議はコロナ禍の影響で延期された。広島県原水協のメンバーら約15人が、広島市中区の平和記念公園内にある原爆の子の像の前に集まり、陶器でできた折り鶴を手に「核兵器のない明日に向かって頑張ろう」などと声をあげた。(三宅梨紗子)
核兵器を持つ米英仏中ロの5カ国が「核戦争回避」の重要性を確認した共同声明を出したことについて、広島県原爆被害者団体協議会の箕牧(みまき)智之理事長(79)は朝日新聞の電話取材に「核不拡散条約(NPT)の重要性を訴え、軍縮に努めていく姿勢を見せてくれた」「主義主張の違う5カ国が同じテーブルについた」と評価した。
箕牧さんはさらに「大国がこうした方針を打ち出したことに関心をもち、日本をはじめ、核の傘に入っている国々も運動を進めていくべきだ」と話した。「北朝鮮などは核軍縮に努めるグループに入っていない。核兵器の脅威はなくなっていない」との懸念も示した。
米ニューヨークで開催が予定されていたが、新型コロナウイルスの感染拡大で延期になったNPT再検討会議について箕牧さんは「前回は(最終文書に合意できず)決裂したが、今回は核軍縮に傾く努力を見せてほしい。将来的には核廃絶に向かうよう、突っ込んだ議論をしてほしい」と求めた。(三宅梨紗子)
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