【ソウル/韓国 2日 AFP】平壌(Pyongyang)で開催されていた南北閣僚級会談は2日、北朝鮮への食糧支援や離散家族の再会事業の再開など合意、共同合意文書を採択して閉幕した。

 名目上は、依然、戦闘状態にある両国の関係は、2006年7月の北朝鮮のミサイル発射や10月の核実験実施で冷え切っていたが、今回の合意で関係改善が期待される。

■6か国協議での合意に則った食糧支援再開

 会談を終えた李在禎(イ・ジェジョン、Lee Jae-Joung)統一省長官は平壌での記者会見で、「北朝鮮にコメおよび肥料支援を行うことで合意した。量については未定だが、例年と同程度になる見込み。しかし、支援は段階的に行われる」と語った。

 北朝鮮のミサイル発射への抗議として凍結していたコメ・肥料支援を、2月の6か国協議で北朝鮮の核開発プログラム放棄への「見返り」として利用する韓国の思惑が成功したといえる。

 コメ支援の詳細は、先の6か国協議で設けた北朝鮮の原子炉の停止期限の4月15日以降の、4月18日から21日まで平壌で開かれる予定の経済協力推進委員会で協議する。

 韓国が50万トンのコメ支援と35万トンの肥料支援を凍結してから、北朝鮮は報復として2006年7月を最後に閣僚級会談を拒否、離散家族の再会事業も停止した。さらに北朝鮮が10月に核実験を実施し、二国関係はさらに悪化していた。

 しかし、1990年に大飢餓を経験した北朝鮮では、慢性的な食糧不足が続いており、今回の会談で韓国の食糧支援再開に期待を抱いていたと見られる。

 一方、肥料の支援は、コメ支援の再開前に開始する。肥料の量について李長官は、「北朝鮮が必要量を我々に報告することになっている」と述べ、北朝鮮からの報告を受けた後、必要量を輸送すると語った。

■離散家族問題、まずはビデオ対面から

 また、1950年から1953年の朝鮮戦争時に、南北に離ればなれとなった離散家族の再会事業について、共同声明は、3月中にビデオを通じての再会、実際の対面面会を5月上旬に実施するとしている。

 このほか、韓国側が北朝鮮に拉致されたと主張する韓国市民や朝鮮戦争時の韓国軍捕虜の返還については、4月10日から12日開催予定の赤十字会談で協議する。

 韓国側は、朝鮮戦争休戦以後、市民485人が北朝鮮に拉致された他、韓国軍兵士500人以上が、依然捕虜として北朝鮮に拘束されていると訴えている。

 これに対し、北朝鮮は「自らの意志で北朝鮮に来た人々だ」と韓国の主張を否定している。

 次回の閣僚級会談は、5月29日から6月1日にソウル(Seoul)で開催される予定。

 写真は2日、閣僚級会談を終え握手をかわす李長官(左から5人目)と権虎雄(Kwon Ho-Ung)北朝鮮側代表。(c)AFP/KOREA POOL