神撫手 全2巻 堀部健和 2003年
展開に迷走するのは打ち切り漫画の宿命ではありますが、それが顕著に現れているのが本作。全2巻なのに4部構成という無茶を行っています。
1部はゴッドハンドと呼ばれる名画泥棒の主人公・彰人が母の遺した贋作を集めるところから。スタートは怪盗ものの様に見えますが…。
彰人の命をかたに脅迫され贋作を描いていた母、彰人は贋作とバレて母が汚名を被らない様に母の贋作を集めていました。そんなある日、母を脅迫していた闇ブローカーに見つかり、彰人は母の代わりに贋作を描く様に強要されますが、ピンチに際して右手に紋様が現れ、幻を見せる能力を身につけます。that'sイヤボーン現象!
幻術は1日1回という制限がつきますが、1話で既に2回使っています。まあ、体力の問題ということなので無理すれば仕えるのでしょう。もしくはソシャゲのガシャのように0時でリセットされるのか。特に説明はないのですが、こまけえことはいいんだよ!いいんだけど1話でいきなり矛盾するとか編集は何をしてたんですかー!
能力を得た彰人に今度は美少女ハッカーが取引を持ちかけてきます。
能力は1日一回
1回目
2回目…。ええ、1話でこの矛盾…。
突然登場する美少女ハッカー、怪盗→能力物→どこに向かうんだ?
母の知り合いだった美少女ハッカーの思い出の絵画を取り戻し、美少女ハッカーも仲間となります。というところから2部、異能バトル展開に突入。神撫手同士のバトルが始まります。狙う絵画のボディガードとして雇われている水を操る神撫手、蒼眼。いきなり衣装もバトル物に変化しています。
母の思い出が宿っている絵画を裏オークションにかけられそうになり彰人と手を組む蒼眼。共闘して危機を乗り越え、いかにも仲間になりそうなコメントを残して去る蒼眼。しかし、打ち切り漫画なのでこれが最後の出番になります。蠍でも似たようなのありましたね…。
異能バトルが終わり3部からは突然ホスト狂いの祖母のためにお金がない彰人たちが何でも屋を始めます。怪盗、バトルで人気が取れなかったんでしょうか。JKの身辺警護を頼まれた彰人は、テコ入れ臭いエッチな展開を経て、殺人事件を防ぎます。JK校舎屋上催眠強制ストリップはなかなかのテコ入れだとおもいます。
しかし、何でも屋はこの回で終わり、4部からは神撫手による世界征服を企む秘密結社、天与の御手(ヘブンセント)からの刺客との戦いになります。戦いの末、神撫手を消す真の神撫手を発現した彰人は、ヘブンセントとの戦いを決意し世界を旅することになります。
話があちこちに飛んでしまい、散漫な話になってしまったのは残念でした。作者は幽遊白書に影響を受けた問いことで、ブローカーや母の扱い、蒼眼は、垂金や雪菜、蔵馬を思わせます。絵柄も含めガンガンウイングっぽいというか…。
ただ、新人の新連載としては、余程ヒットする自信があるか、独創性のあるシチュエーションで突っ走れるのでなければ、「サンタ」や「サソリ」の様に序盤から長い展開をぶち込むのではなく、1-3話くらいのエピソードで、キャラの掘り下げと仲間キャラを増やしつつ、反応のいい展開を模索するのが正しいの思いますので、怪盗→能力バトル→なんでも屋でお色気路線→組織との戦いと、メイン軸がブレすぎたのが問題ですがチャレンジ自体は悪くないと思います。単話を繰り返すが特にキャラの掘り下げもしなかった「闇神コウ」なんかもあるので、話数を使う代わりになんらかの要素を入れる必要はあると思います。(主人公紹介の1話に対してヒロイン紹介&主人公との関係性の掘り下げの2話とか、ライバル登場とか)
ブローカーの垂金臭
蒼眼の蔵馬臭