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琉球遺骨返還請求訴訟きょう判決 保管の違法性が争点 京都で原告らが集会


琉球遺骨返還請求訴訟きょう判決 保管の違法性が争点 京都で原告らが集会 琉球遺骨返還請求訴訟の控訴審判決を前に、原告らが報告などを行った集会=21日、京都市内(提供)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 琉球王家の子孫とされる県民らが、京都帝国大(現京都大)の研究者によって今帰仁村の風葬墓「百按司(むむじゃな)墓」から持ち去られた遺骨の返還を大学に求めた琉球遺骨返還請求訴訟の控訴審判決が22日に言い渡されるのを前に、原告や弁護団らによる集会が21日、京都市内で開かれた。オンラインとの併催に全国から支援者らが参加。遺骨を返還しない京大側の対応を批判し、判決に期待感を募らせた。

 集会では、原告の一人である松島泰勝・龍谷大教授が講演し、裁判に関する一連の経緯などについて説明した。「(遺骨を)不法に奪い不法に保存している根拠を、京大は一切示していない」と述べ、訴訟を巡る京大側の対応が植民地主義的であると厳しく批判した。「遺骨を一日も早く戻すのが私たちの願い」と述べ、判決を待ちわびた。

 亀谷正子さんも控訴審の審議を踏まえ判決内容に期待するも、辺野古新基地建設を巡る国の強行姿勢を例に、沖縄で繰り返される不条理を指摘する。「私たちは国内で植民地の扱いを受けている。諦めずに戦い続けたい」と前を向いた。

 (小波津智也)

保管の違法性争点

 琉球王家の子孫という県民らが、昭和初期に旧京都帝国大(京都大)の研究者によって今帰仁村の風葬墓「百按司(むむじゃな)墓」から研究目的で持ち去られた遺骨の返還を大学に求めた琉球遺骨返還請求訴訟の控訴審が22日、大阪高裁(大島真一裁判長)であり、判決が言い渡される。憲法や国際人権法に基づく原告の返還請求権が認められるかどうかや、京都大の保管状況の違法性などが争点。

 原告の請求を棄却した2022年4月の一審京都地裁判決は、子孫とされる者は他にも存在し、原告らは承継者に当たらず返還請求権もないなどと判示していた。

 控訴審で原告側は、国際的に先住民族の遺骨返還と謝罪が進められていると指摘。少数民族の権利保護を定めた国際自由権規約27条では、遺骨返還請求権の確立も解釈されるなどと訴えている。被告側は「国際人権法は返還請求権を基礎づけるものではなく、憲法も(返還請求の)権利について一切規定されていない」などとして、控訴棄却を求めている。

 控訴審でこれまで開示されなかった遺骨の保管状況の写真が限定的に開示されるなどしてきた。