『らんまん』阿部亮平、山根和馬、河井克夫 ワイルドな魅力あふれる大畑印刷所俳優たち

『らんまん』大畑印刷所の俳優たちを紹介

万太郎をじっと見つめる目が心に残る岩下定春(河井克夫)

 特徴的な髪型から、巷では「タレントのなすびかと思った」とも言われていた河井克夫は、俳優のみならず、漫画家、漫画原作者、イラストレーターとしても活動している。

 岩下は気難しそうな風貌で、第46話で万太郎のあけすけな物言いが耳に入ると、頭に血がのぼりかけている義平の後ろで万太郎をじっと睨みつけていた。義平から改めて万太郎を紹介された際には、訝しげな表情で万太郎をじっと見つめていた。、その姿はこちらが思わず目を逸らしたくなるほど、まっすぐだった。

 独特な雰囲気が漂う岩下だが、その性格は決して気難しいわけではなかった。第48話で、印刷後の石版を感慨深くなでる万太郎を興味深そうに見つめていた岩下は、第49話で「いつもなでるな」と万太郎に声をかけた。「あたしもそうだった」、「師匠や兄弟子の版木をようなでとった」という声色から、万太郎にかつての自分の姿を映していたのかもしれない。

 第50話で、「新しい印刷技術が登場することで、絵師や版元以外の錦絵に関わった多くの人たちが名も残さず消えていく」と口にする姿は切なかった。けれど、万太郎の「磨き抜かれたもんは決してのうならん。新しい場所に合うた形で変化し、もっと強うなって生き抜いていく」という言葉に背中を押されたのか、義平の言葉に「でしょうね」と応える声色は軽やかな響きに変わっていた。どこか寂しげな雰囲気のあった岩下だが、万太郎が前へ進むために修行に励む中で、岩下の雰囲気も変わっていくのかもしれない。

 義平の妻・イチ(鶴田真由)や登場するなり「汚い」「うるさいし! 汗臭い」と言い放ち、強い印象を残した大畑夫妻のひとり娘・佳代(田村芽実)もまた、大畑印刷所で下働きする万太郎に影響を与えることだろう。万太郎の石版印刷修業はまだまだ始まったばかりだが、さまざまな人との関わりが、万太郎の爛漫さに磨きをかけ、植物に情熱を捧ぐ彼の成長に結びつくに違いない。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『らんまん』【全130回(全26週)】
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣、広末涼子、松坂慶子ほか
作:長田育恵
語り:宮﨑あおい
音楽:阿部海太郎
主題歌:あいみょん
制作統括:松川博敬
プロデューサー:板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
演出:渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか
写真提供=NHK

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