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カテゴリ:漫画の研究
幽遊白書の桑原和真について研究するシリーズ2回目。今回は暗黒武術会の決勝戦でのマッチメイクについて考えていきたい。 暗黒武術会の決勝戦で俺の桑原和真は戸愚呂チームのNo.2、戸愚呂兄と戦うことになったのだが、この展開、小学生時代の俺にはひどく疑問だった。「なぜ桑原が? 戸愚呂兄と戦うのは飛影じゃないの?」という疑問だ。 なぜ冨樫先生がこういうマッチメイクをしたのか、なんだかんだで20年くらい考え込んでいる。答えが出ないから研究なのたが、仮説とか検証の思考過程をまとめてみる。 幽★遊★白書 9【電子書籍】[ 冨樫義博 ] まず、なぜ小学生時代の俺が「飛影vs戸愚呂兄」だと予想したのかといえば、いくつかの理由がある。 実力から言えば、浦飯チームの実力No.2は飛影、戸愚呂チームのNo.2は戸愚呂兄だろう。だから飛影が戸愚呂兄と戦う方がふさわしい。 また、体格を見ても飛影と戸愚呂兄とは小柄だから絵的にも合う。 これまでの傾向を見ても、四聖獣編なんかで飛影は敵のNo.2と対戦をしてる実績もある。 この点、「戸愚呂兄は武威や鴉より弱く、戸愚呂チームでも下位なのでは?」という説も目にするし、2ちゃん強さ議論スレでもこうなっているが、俺はこの説には反対である。 1つの根拠として、戸愚呂兄が自己申告するシーンをあげたい。 準決勝の戸愚呂チームvs五連邪チームにおいて、鴉と武威が圧倒的な実力を見せた。このとき、「なぜこんなヤツらが戸愚呂兄弟に従っているんだ?」という問いに、戸愚呂兄は「それは俺たち戸愚呂兄弟がもっと強いからだ」と答えるのだ。 その上で戸愚呂兄は五連邪チームの3人をまとめて瞬殺し、その実力を見せつけるのだ(『幽遊白書』ジャンプコミック9巻139~140頁)。 漫画の展開を見ても、戸愚呂兄が武威より弱いというのは盛り上がらない。 また、武威が戸愚呂兄より強いなら、それに見合う説明なり、戸愚呂兄弟が武威に一目置くシーンがあってもいいと思う。 それがない以上、やはり五連邪チームの3人を瞬殺した戸愚呂兄が武威より強いと見るべきだろう。 恐らく、2ちゃん評価で戸愚呂兄の評価が低いのは、桑原に負けたという理由が大きいと思われる。 そんなわけで、小学生時代の俺は桑原が戸愚呂兄と戦うというなは無理があると考え、てっきり桑原は負けると予想した。 実際、桑原の暗黒武術会における戦績はシングルマッチに限定すれば、1勝3敗。 この成績で戸愚呂兄に勝つ方がおかしい…。 ところが、この試合で桑原は見事に戸愚呂兄を打ち破って見せた。 内容的にも、玄海を侮辱する戸愚呂兄の汚さを出しつつ、それに激怒した桑原が男を見せて勝った。 カッコよかったし、桑原のベストバウトは戸愚呂兄戦と言ってもいい。そういう意味では成功してると思う。 逆にいえば、飛影ではこうならなかっただろう。俺が思うに、飛影というキャラの魅力はクールさ、圧倒的な強さを見せつけるというところにある。 なので、対戦相手は強いことが何より重要だが、あまり品性が悪いというのは求められない。 そして、これは仮説というか俺の勝手な想像だけど、冨樫先生は桑原のことを結構好きなんじゃないかと思う。扱いを見ると、幽助に次ぐキャラだし、思い入れから言えば飛影や蔵馬よりあるのではないか。 以前にも考察したが、桑原は「負ける」ということで暗黒武術会編に多大な貢献をしたキャラである。5対5の団体戦をするなら、3勝2敗で勝ち上がるのが理想的なのだけど、桑原以外は誰も負けてくれない。負けさせて、なお格と人気を落とさないのは難しいだろう。 桑原は物語を進行させるのに必要な負け役を演じてくれた。戸愚呂兄と桑原の試合は、冨樫先生による桑原への貢献に対する見返りだったのかもしれない。 そうすると「じゃあ、桑原は武威、鴉に勝てるのか?」となるが、俺は「ブチ切れていれば、勝てる」と答えることになる。 ブチ切れた桑原は強い。幽遊白書という作品の中において、飛影と蔵馬と違い、幽助と桑原はブチ切れることで強くなるという特権を持っている。後々、桑原は仙水に幽助を殺された怒りで次元刀を出したりするし、結構強さにムラがある。 暗黒武術会で負けたとき、桑原には怒りのパワーがなかった。そういうことなのだろう。 幽☆遊☆白書完全版(3) (ジャンプコミックス) [ 冨樫義博 ] お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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