ポメラニアンの基礎情報
・日本語表記：ポメラニアン
・英語表記：Pomeranian
・原産地：ドイツ
・発生：人為的発生
・種類：原始的な犬／スピッツ
・サイズ：小型犬（18～22cm）
・体重：オス 1.9kg～2.3kg、メス 1.9kg～2.3kg
ポメラニアンの性格・特徴
ふわふわの被毛につぶらな瞳が可愛らしい、日本でも人気な家庭犬です。
吠えやすいイメージのあるポメラニアンですが、非常に賢く学習能力が高いため、しつけ次第で非常に飼いやすい犬種になります。
ポメラニアンの性格
ポメラニアンは、遊び好きで社交的な性格です。
子犬の時に社会性を身に付けることで、本来の外交的な気質が育ち、誰にでも懐くフレンドリーな犬になります。
頭がよく、学習能力が高いため、甘やかすことなくしつけや訓練をすることで多くのことを覚える犬種です。
トイレや座れ、マテなどの基本的なしつけは、数日で覚えてしまいます。
他の犬種と比較すると神経質で吠えやすいといわれています。子犬の時に多くの経験をさせ、さまざまな刺激に慣れさせるといいでしょう。
ポメラニアンの特徴
ポメラニアンは、ジャーマンスピッツの小型化された犬種といわれており、フォクシーヘッド（鼻の先端がとがったキツネのような顔）ととがった小さい耳など、スピッツ特有の外見をしています。
他にも「首周りの豊富なたてがみ」「背中に乗った豊富な毛量の尾」「小さな三角耳」がポメラニアンの特徴です。
小さな体ですが、祖先犬はそり犬のサモエドということもあり、活発で運動神経の優れた犬種です。また、自立心と協調性があるため、多頭外も可能です。
賢いためイタズラも
ポメラニアンは非常に賢く、学習能力が高い犬種です。
寂しがりやで甘えん坊なことが多く、外出時、置いてかれると気がついた時に吠えたり、留守番中にイタズラをすることもあります。
賢さゆえに、飼い主が困ることを理解して行っているようなところがあります。首を左右に傾ける仕草が非常に可愛らしく、イタズラをされても許してしまうほどです。
ポメラニアンの毛色・目の色
ポメラニアンの被毛は、長い上毛と、短く厚く綿毛のような下毛をもつダブルコートです。
頭部、耳、前後脚の前面、足の毛は短く厚くベルベットのようです。体の他の部分は長く豊かな被毛におおわれており、前後の後ろ側と、後脚もお尻からホック（くるぶし）まで、豊かな飾り毛で包まれています。
尾はプルーム（尾から垂れている長い飾り毛）になっています。
ポメラニアンはふわふわモコモコした被毛が魅力的ですが、繊細で毛玉ができやすいため、ブラッシングが欠かせません。
上毛は紫外線や水を弾き、皮膚を守る役割があるため、抜けにくい毛質ですが、下毛は抜けやすいです。
毛色によって、抜け毛の量に差があり、オレンジはふわふわと中に舞う毛質ですが、ブラックは毛質が硬めで抜けにくい被毛です。
ブラッシングは毎日行うことが理想的です。
梅雨など湿度が高い時期は、毛並みが悪くなるため、ドライヤーなどで湿気を飛ばしてあげましょう。頻繁にかけすぎると毛が痛むため気をつけてください。
毛色は、ブラック、ブラウン、チョコレート、レッド、オレンジ・セーブル、ウルフ・セーブル、ビーバー、ブルー、ホワイト、パーティ・カラー、ブラック＆タンがあります。
ポメラニアンの目は、中くらいの大きさで切長、わずかに傾斜しています。色は暗褐色で、眼瞼はブラックですが、ブラウンの被毛の場合はダーク・ブラウンです。
ポメラニアンの鳴き声
ポメラニアンは、神経質な性格で、吠えやすい犬種です。
鳴き声は甲高く、うるさいと感じる鳴き方です。見知らぬ人やネコなどに吠えることが多いですが、それ以外にも、要求吠え、警戒吠え、威嚇吠え、不調の訴え、甘えなどが吠える理由に考えられています。
吠えやすいイメージがついている犬種ですが、しつけや訓練次第で、無駄吠えをなくすことができます。
ポメラニアンは、小さな体でそれほど多くの運動を必要としないため、室内で過ごすことが多くなってしまうと、神経質になりやすいです。
社会性を育てるためにも、積極的に外へ連れ出し、さまざまな刺激に触れさせたり、他に犬や家族以外の人と触れ合うことが大切です。
普段他の犬と触れ合う機会が少ない場合には、しつけ教室に通うことをお勧めします。
ポメラニアンの寿命・病気
ポメラニアンの寿命は12〜16歳といわれており、比較的長生きな犬種です。
ポメラニアンの特徴として、骨が細く弱いこと、暑さに弱いことが挙げられますので、日常ケアや安全な環境を整えることで、病気や怪我を防ぐようにしましょう。
膝蓋骨脱臼：膝の関節が正常な位置からずれてしまう疾患。ポメラニアンは骨が細く弱いにもかかわらず、活発で遊び好きな性格です。
室内でもフローリングで滑って転んだり、段差から落ちるなどが原因で膝蓋骨脱臼や骨折をしやすいといわれています。
膝蓋骨脱臼は、膝蓋骨が正常な位置から外れてしまう疾患で、初期段階では外れたり戻ったりを繰り返し、徐々に悪化していきます。放置していると、脱臼が元に戻らなくなり、最終的に歩けなくなってしまう犬もいます。
ポメラニアンの場合は、先天的に膝蓋骨脱臼を罹患していることもあります。
歩き方に一時的でも異常があった場合には、動画に撮ると診察の際に役に立ちますので、動物病院を受診し相談してみましょう。
歯垢：食べ物による汚れと、口腔内の細菌が混ざり合って、歯の表面などに付着したもの。ポメラニアンは小さな顎に歯が隙間なく生えているため、歯垢が溜まりやすい犬種です。
歯垢は細菌の塊で、そのまま放置しておくと硬化して歯石になります。食後の歯磨きを、子犬のうちから習慣化しておくといいでしょう。
アロぺシアX：原因不明の脱毛症。アロぺシアXは、脱毛が主な症状とした慢性皮膚疾患です。
ポメラニアンに多発するため、ポメラニアン脱毛症とも呼ばれますが、他の犬種でもみられる疾患です。クッシング症候群に症状が似ていることから、偽クッシング症候群とも呼ばれています。
比較的若い、未去勢のオスに多く発症する傾向がありますが、現在のところ原因不明の疾患です。
遺伝的な要因、内分泌ホルモン異常（成長ホルモン、性ホルモンまたは甲状腺ホルモン）やストレスなどさまざまな要因が考えられ、研究が進められています。
左右対称の脱毛が1歳〜4歳くらいで認められることが多く、他にも毛艶の低下、乾燥、色素沈着、皮膚が薄くなる、皮膚の張り感の低下がみられます。皮膚以外に症状がみられないことも特徴です。
水頭症：脳の室内に「脳脊髄液」が蓄積してしまうことで、さまざまな神経症状が現れる疾患。
初期は、ぼーっとして活気がない、学習能力が低い、攻撃的になりやすい、などの症状がみられ、重度になると失明や歩行障害などの症状が現れます。
ポメラニアンは先天的に発症しやすい病気で、子犬の時に発見されることが多い疾患です。
治療は症状や飼い主の希望によって異なり、内科的治療では、脳圧を下げるための利尿剤、ステロイド剤を投与します。
内科的治療によって改善が見られない場合は、外科的治療が選択されます。
気管虚脱：気管が変形し、呼吸に障害を起こす疾患。ポメラニアンは中高齢期に発症しやすい疾患です。気管虚脱は気管が本来の強度を失って押し潰されたような形に変形し、呼吸に障害を起こします。
原因ははっきりとはわかっていませんが、遺伝や肥満、老化などが考えられており、高温多湿の環境、興奮、ストレスなども引き金になることがあるようです。
激しい運動や興奮、首輪による首の圧迫があった後に咳や「ガーガー」というアヒルの鳴き声のような喉鳴りが聞こえます。
重度の場合、呼吸困難やチアノーゼ、失神などの症状を起こすことがあります。治療には気管支拡張剤や鎮咳薬などの内科的治療が行われます。
重度の場合には、外科的治療を行う場合もあります。
ポメラニアンのしつけ・飼い方
ポメラニアンは、小さな体に可愛らしい表情を見せてくれる犬種ですが、ジャーマンスピッツの小型タイプということもあり、スピッツの気質や賢さを持った犬種です。
賢く学習能力の高い犬種ですので、甘やかすことなくしつけや訓練により、ポメラニアン本来の良さを引き出してあげましょう。
散歩に連れ出しさまざまな経験をさせる
ポメラニアンは、1日2回10分〜15分程度の散歩が目安です。
激しい運動や長時間の散歩は必要ないため、天候が悪い日などは室内遊びだけでも問題ありません。しかし、家族以外の人とのふれあいがなかったり、家の中にばかりいると、神経質な気質が強くなります。
神経質になると、小さな物音や刺激に反応して、吠えることがあるため、短い時間でも外に連れ出し、多くの経験をさせることが大切です。
家族以外の人に可愛がってもらったり、知らない犬や猫とも触れ合えるように、友好的な性格を引き出して行ってあげましょう。
子犬のうちからしつけや訓練を開始する
ポメラニアンは、賢く学習能力が高い犬種です。
そのため、子犬のうちに甘やかしすぎず、しつけや訓練をすればするほど、多くのことを覚えます。子犬のうちに、しっかりとしつけることで、無駄吠えをしなくなります。
非常に可愛らしいポメラニアンですが、子犬の頃から毅然とした態度で接し、しつけと訓練を行うようにしましょう。
事故や怪我に注意
ポメラニアンは、骨が細く脱臼や骨折しやすい犬種です。
体が小さいため、少しの段差でも怪我することがあるため、迎え入れる前に室内環境を安全に整えてあげましょう。
フローロングは滑るため、滑り止めマットを敷き、ソファーなど登る可能性がある家具にはスロープをつけてあげます。
玄関先に段差がある場合も注意して、怪我や骨折などを予防してください。
ポメラニアンの歴史
ポメラニアンの起源は、アイスランドやラップランドでソリを引いていたスピッツ系大型犬のサモエドだと考えられています。
サモエドから派生した、ジャーマン・スピッツの小型タイプがポメラニアンとなりました。
明確な記録は残っていませんが、ドイツ東部からポーランド北部にまたがるポメラニア地方に持ち込まれてから、10kg前後にまで小型化が進められました。
ポメラニア地方では、古くからさまざまなスピッツが飼育されていました。
ポメラニアンは、1870年代にイギリスのケネルクラブで公認を受けましたが、知名度は低いものでした。
17世紀以降、愛犬家で知られるビクトリア女王が、1888年にイタリアを旅行した際に手に入れた「マルコ」という名前のポメラニアンを本国に連れ帰ったことにより、一躍人気になりました。
この時期にさらに小型化が進み、ポメラニアンは4〜5kg程度になりました。
小型化によって人気を得たポメラニアンは、アメリカに渡り、1901年にアメリカンケネルクラブの公認を受けました。
犬種クラブによる最初のドッグショーは1911年に開かれました。犬種名はドイツ北部のポメラニア地方に由来しています。
ポメラニアンの値段価格
ポメラニアンは、チワワ、プードル、ダックスフンドに並ぶ日本の人気犬種です。
ブリーダーも多く各地でブリーディングが行われていますので、何箇所か見学して迎え入れることができます。
子犬の価格は30万円〜50万円で、珍しい毛色やチャンピオンの血統がある場合は、さらに高価になります。
キャンキャン吠えるイメージが強いですが、賢く学習能力が高いことはあまり知られていないかもしれません。
可愛いだけではないポメラニアンの魅力を、本記事を参考に知っていただき、迎え入れていただければと思います。
