日本の音楽チャートの流動性はぶっちぎり最下位
結論
日本の音楽のトップチャートでは、他国に比べて、同じ曲がずっとランクインし続ける。
1年間にチャート入りする楽曲数とアーティスト数の比較
音楽配信サービスSpotifyは国・地域別のデイリー再生数Top 50を公開している。そのデータをもとに、2021年の1年間で一度でもTop 50入りした楽曲数とアーティスト数を国・地域ごとに比較した。
日本で2021年にTop50入りしたのは149曲、163アーティストで、比較した国・地域の中では、ぶっちぎりの最下位(図中左下の赤文字)。逆に流動性の高いドイツは886曲と520アーティストで、それぞれ日本の6倍と3倍ほど。
<注意点>
2021年はデータの取得ミスにより、米国や英国を含む一部の国・地域が除外されている。ただ、除外されていた国・地域を含んだ2019 年上半期のデータ(当時公開されていた全62の国・地域分)でも、日本の流動性が最下位であることは変わらない。
1曲あたりの平均チャートイン日数
2020年1月1日から2021年12月31日までの2年間のデータをもとに、平均チャートイン日数を国・地域ごとに比較した。
日本は120.9日で、圧倒的1位。日本以外の国・地域の平均は41.2日なので、日本では約3倍の期間Top 50に入り続ける。
日本とグローバルチャートのチャートイン日数のヒストグラムを比較すると、日本独特の特徴がわかる。
グローバルチャート(緑)では、75%の楽曲が1ヶ月以内にTop 50圏外になる。長期間チャートインし続ける曲は徐々に減っていき、半年以上チャートに残るのは全体の3%以下である。一方、日本(赤)で1ヶ月以内にTop 50圏外になる楽曲は全体のたった1/3しかなく、約半数の楽曲は半年以上Top 50に残り続ける。1年以上チャートに残り続ける曲も珍しくない。
ちなみに、流動性の高いドイツや、だいたい中間に位置するチェコはグローバルチャートと似たようなヒストグラムになる。逆に、流動性の低いインドネシアは日本の分布に似ている。
次回、「日本の音楽チャートはガラパゴス。」
[出典]
Spotifyの公開プレイリスト デイリーソングチャート トップ50(2019年~2021年)をもとに、筆者が独自に作成。
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